■『妖月の航海』(井上雅彦/ソノラマ文庫NEXT)(H11/10/31読了。評価7)
<異形コレクション>の好評のせいか、最近井上雅彦氏の名前をよく見るようになった。これは剄文社ノベルスから出たのの復刻みたいなもんか。他に朝日ソノラマノベルスから出てたのも近いうちに復刊されるようである。
あえて分類するなら、海洋冒険ものであろう。ファンタジーにもひっかかってるかな。陸地のシーンが半分以上あるけれども(笑)クトゥルーものでもあるらしく、「ダゴン」なんかのクトゥルーのガジェットが頻出。クトゥルーものを一通り読んだら再読したいかも。私が一昔前に愛読していたかもしれないヤングアダルト系の作品かもしれない(そっちに行く前にミステリにはまった)。魅力的な小道具が満載で、使い方次第ではシニア向けで傑作になったかも。一応このソノラマ文庫NEXTという叢書はシニア向けなのであろうが、この作品はそもそもがヤングアダルトマーケット向けで書かれてのであろう。どーでもいいが、「かも」の使いすぎかも(笑)
とりあえず、井上雅彦ファンは押さえておくべき作品。しかし、近年の作品とは大いに異なりすぎる為に作者名がなかったら恐らくは井上雅彦の作品とは思わなかっただろうなあ。■『火恋 KAREN』(連城三紀彦/文藝春秋)(H11/11/5読了。評価7)
ミステリと言うよりはむしろ軽めの(というにはハードなのもある気がしないではないが)恋愛小説。或る意味「ミステリ的な」仕掛けもないこともないが、ミステリとしてのそれとは少しばかり違う気がする。この作品を「ミステリ」に入れたら、恐らくはこの世にある小説の7割ぐらいがミステリになるんだろうなあ。
返還前後の香港を舞台にした作品であるが、香港という魔都を描くというよりは香港という箱庭の中の恋愛模様と言う感じ。漫画を含め、恋愛ものを読んでると、恋愛って突き詰めていけば男と女のコン・ゲーム(騙しあい(愛))なのかなあと思うときが多々あるが、この本を読んでるときも少なからず思った。
鮮やかなどんでん返しがあるものの、この作品集を(広義の)ミステリのカテゴリーに入れるのはどうかなと思う。それは、花葬シリーズや初期短編に見られる人工性(パズル性と置き換えても良い)がうかがえないからであるが。もしかしたら、連城三紀彦と言う作家が成長した結果、人工性をカムフラージュする術を見つけ、それ故に「ミステリに見えない」という事になっているのかも。そうだとすると、改めて「連城三紀彦って凄い!」と思ってしまう。しかし、一方でそこら辺を意識してるか、つまりミステリを意識してるか否かと言う疑問が浮かぶが実際のところはどうなのであろうか。■『宴の夏 鏡の冬』(香納諒一/新潮社)(H11/11/7読了。評価7)
「Pontoon」に掲載されてる短編を幾編か読んだが、きちんとした本で読むのは初めてである。先日『秘密』(東野圭吾/文藝春秋)と日本推理作家協会賞を同時受賞した『幻の女』(幻冬舎)がハードボイルドだったようなので、謎解きやどんでん返しがいっさい期待してなかったのであるが(これはハードボイルドに対する異様な偏見の一つだよな(苦笑)。原ォ氏の諸長編で、謎解きやどんでん返しがないと思うのは明らかな間違いだとわかってるのに)、意外な人間関係、真相が示されて度肝を抜かれた思い。
書簡形式の「共犯」は、折原一が書いてもおかしくない(実際、書簡形式の作品があることはある)作品だが、これをハードボイルドの人が書いたとは(だから偏見だって)。少しひねりが足らない気もするが、よく考え抜かれてる(矛盾してないか?)。美空ひばりと思しき大スター追悼番組作成の裏の思惑「宴の夏」、デビュー作の「ハミングで二番まで」あたりが印象に残った。図書館で借りられたら、もう少しこの人の作品読んでみたい気がする。■『ブギーポップは笑わない』(上遠野浩平/電撃文庫)(H11/11/16読了・評価7)
ネット上でちらほら評判を聞いてたシリーズであったので、読むことに踏み切った。来年講談社ノベルスから本を出すようだし。
デビュー作である本書は、五つの短編を積み重ねることで成立している。いわば連作短編集の体裁をとっているわけであるが、見方を変えればモジュラー(多重視点同時進行)型長編と見れなくはない。モジュラー型の日本語訳って「多重視点同時進行」出よかったけ?>識者 各短編の時系列を整理して図にすると面白いかも。また、こういう仕方もあるんだと或る意味目から鱗みたいなのもあった。
結局「ブギーポップ」って何者なのであろうか? 多重人格の片側にしてはなんとなく釈然としないし。ブギーポップは何者か? どうして誕生したのか? という疑問には前者に関してはおおいおい明らかになるであろうし、後者はすでに誕生秘話は本になってるようである。どうして? と言うのに関しては何かが迫ってるときに出てくるようなことをブギーポップ℃ゥ体が言ってるのであるが。
ミステリ的な側面はさほど目新しくはないが、様々なジャンルのハイブリッド加減(と言う言葉はないか)は面白く、そこが人気の原因なのであろうか。ブギーポップ≠フキャラクターは、どことなく御手洗を彷彿させられる。気のせいか。
とりあえずこのシリーズはかなりの数出てるので、おいおい制覇していこうかな。■『魔術戦士(マジカル・ウオーリアー)(1)蛇神召喚』(朝松健/ハルキ文庫)(H11/11/22読了・評価8)
「召喚」と言う言葉を魔術的な意味で流布させた第一人者が書いた召喚小説。そもそも召喚と言う言葉は裁判に人を呼び出すことを指したようであるが、現在では呪術的な儀式で神や悪魔を呼び出すことに使われることが多いのではなかろうか。閑話休題。
長編連作の一作目という事でプロローグ的な意味合いが強いような気がする。アクション、魔術(マジカル)、エロスというガジェットを巧みに組み合わせる手腕はさすが。ノンストップエンターテイメントの面目躍如と言うところであろうか。しかも、すべて計算し尽くされたものであるから安心して読むことが出来る。
様々な不運な運命をたどり完結しなかったらしいが、或る意味幸運だったのかもしれない。バイオレンスアクションブームの時期に下手に完結していたら、他の便乗に載った駄作群の中に埋もれてしまい、忘れ去られたのかもしれないのであるから。そしてなにより完全版としての改稿の機会を得た。小学館SQ文庫刊行時はどうもエロス残虐描写が削られてたようであるが、エロスや残虐描写がない「魔術戦士」連作はワサビがない寿司みたいなもので味気ない。改めての改稿で復活することは、作者や読者にとって幸運である。まあヤングアダルト層の文庫だった故に致し方なかったのであろうが。現在のホラーのムーヴメント、笹川吉晴という論客などに擁護され、初刊刊行時よりも、バイオレンス小説という枠を越えた評価を受けることが出来るであろう。この一作目を読んだ限りでは、かなりの傑作シリーズとして完結しそうである。私事で恐縮であるが、そもそも私がミステリではなく『孔雀王』(荻野真/集英社漫画文庫)でエンターテイメントの洗礼を受けたことを思い出させられた。来年の5月に完結の際は「ML別館」で特別に「魔術戦士」の項を設けて触れたいと思う。それまでは日誌で軽く触れることにしよう。■『匣の中の失楽』(竹本健治/講談社ノベルス)(H11/11/20読了・評価9)
「幻影城」と言う伝説の雑誌に連載という破格のデビュー作である。破格のデビュー作といえば、「SFマガジン」(早川書房)に一挙掲載で世に出た『神狩り』(現:ハルキ文庫)の山田正紀氏、旧「宝石」の別冊一挙掲載でのデビューを飾った『刺青殺人事件』(ハルキ文庫近刊)の高木彬光。いわば、この二人のデビューに匹敵するインパクトをも持つといってもいいであろう。リアルタイムの衝撃というのはわからないものの、想像は可能。というか、引き合いに出した二人もリアルタイムの衝撃というのは想像するしかないんだけれども(笑)
「匣」とタイトルにあるように、物語という「匣」が重ねられる。以前『匣の中』(乾くるみ/講談社ノベルス)の「ML別館」収録分で本書を引き合いに出したとき、「『匣の中の失楽』は物語という「匣」から出入りさせてくらくらさせる」と述べたが、かなりいい加減な言い方であった。本書は物語という「匣」に読者を閉じこめてくらくらさせるのだ(え、かわんないって?)。奇数章偶数章で作中作関係が入れ替わるのであるが、物語の出入り口の通路が閉塞してるのだ。って、自分でも何言いたいのかわからなくなってきたなあ(笑)(をいをい) この作品の奇数章偶数章の関係はどことなく有栖川氏の学生編と火村ものの関係を想像させる。
執拗に繰り返される推理合戦は『虚無への供物』 (中井英夫/創元ライブラリ)を、ペダントリーの奔流はかの難解作品『黒死館殺人事件』(小栗虫太郎/教養文庫)を彷彿させる。三代ミステリの一つと言うことで、もしかしたら『ドグラ・マグラ』(夢野久作/教養文庫)を彷彿させるところもあるのであろうが、気が付かなかった。
しかし、なんだかんだ言って一番瞠目すべきところは、内容もさることながら、この作品を20代で書き上げてしまったと言う事実はなかろうか?■『アンハッピードッグズ』(近藤史恵/中央公論社)(H11/11/23読了・評価7)
新婚旅行でパリに到着早々スリにあい、難儀していた都築夫婦を部屋まで連れてきた岳。岳はパリで働いていた。そして、岳の同居人の真緒。二人は結婚しているわけではない。運命の皮肉か、睦美は岳に惹かれる。
純粋な「恋愛小説」であろう。謎解きもなければ、死体もない。そこにあるのは男女の恋愛模様のみ。しかし、恋の行方はプリズムを通った光のごとく屈折している(この例えでいいのか?)。なんと言えばいいのであろうか。修羅場もなければ哀愁もない。いや、正確にはあるのであろう。否。ある。あるのだが感じさせない。さらりとした、淡々とした筆致で語られる。近藤史恵の作品群の中で、一番さらりとした作品ではなかろうか。
前に「恋愛は男と女の騙し合いみたいなものだ」と書いたことがあった気もするが、この作品を読んでいると騙しあいと言うよりはむしろ、騙されあいというのが正しいのかもしれない。「愛されている」と騙されていること。
小説構造というか人物配置構造(と言う言い方が合ってるかさておき)は――こう思うのは私だけであろうが、否、私だけであろう――山田風太郎の某長編(『太陽黒点』)を思い出した。それは以下某長編のネタばれ『太陽黒点』の破滅に向かう男女は自分らが第三者に操られてることを自覚していないからなのであるが。やはり、結末に至るプロセスで都築夫妻にも明確な自覚はないように見えるが。いや、正確にはあるかなあ(自信なし)××る方には、自覚大ありのようであるが。この作品は、恋愛小説であるが、××ミステリの佳作と言ってもいいかもしれない。まあ、これが××ミステリならば、世の中の恋愛小説の何割かは確実に××ミステリだというつっこみがあるんだろうけれども。(XX:操り)■『凌辱の魔界』(友成純一/幻冬舎アウトロー文庫)(H11/12/6読了・評価7)
様々なところで言及される、友成純一の鬼畜ホラーポルノの復刊である。鬼畜系スプラッタとしてよく言及されるので興味があり探してはいたものの、ポルノ叢書で出てた奴らしいので今まで探し出すことが出来なかった(別段買うのが恥ずかしいとか、そういう意味ではなくて)。今回幻冬舎アウトロー文庫からの復刊は私のような読者には朗報であろう。
鬼畜具合に関して言えば、『殺人鬼』(綾辻行人/新潮文庫)の方が上かな。死体愛玩趣味などの描写など「うげ」、なんて思うところが多々あったが。もしかしたら、刺激に慣れきってしまったのか? なんせ、『殺人鬼』初読時は「もうええわ」なんて思ったが、この『凌辱の魔界』読了後は「うへえ」とは思ったものの「これだけ?」と言う思いもあったんだから(笑)
マッドサイエンティストと科学が生み出した魔物というのは、なんか最近で言えば『異形コレクション(4)悪魔の発明』(井上雅彦監修/廣済堂文庫)とか、『レフトハンド』(中井拓志/角川ホラー文庫)なんかが思い浮かぶ。確か前者にはマッドサイエンティストと科学が生み出した魔物そのまんまな話があった気がするし(定かではない)、後半で出てくる科学が生み出した化け物は後者に出てくるモンスターを思い起こさせる(っていっても、言うまでもないが、『凌辱の魔界』の方が先に書かれていた)。
もう一冊鬼畜ポルノが復刊されるらしいが、この作品と復刊される奴の売れ行きが良ければまだまだ復刊されるかもしれない。
■『王の眠る丘』(牧野修/早川書房)(H11/12/9読了・評価7)
92年に行われた「ハイ! ノヴェル大賞」に応募され見事大賞を射止めた作品。私の記憶が確かなら、この作品が牧野修の長編デビューになるのではなかろうか。『屍(かばね)の王』みたいな本格ホラーではなく、なんとファンタジー。ホラー坊主の異名をとる牧野修としては異色作、と言うことになるのかもしれない。
ファンタジーと言っても、魔法があるわけも、ドラゴンなどの幻獣が出て来るというわけではない。異世界を舞台にした作品である。恐らく、ファンタジーというのは私の認識が間違っていなければ、大雑把に言えば異世界を舞台にした冒険小説と言うことなのであろうか。ここでいう冒険小説とうのは所謂「ミステリー」の言葉で言い表されるものではない。
男たちの奇妙な友情あり、戦いあり、恋もありと恐らくは「ファンタジー」と呼ばれるジャンルが持つであろうほとんどの意匠を兼ね備えている。先に幻獣が出てくるわけではないと述べたが、正確には出てくる。しかし、幻獣は主ではない。この作品において幻獣は、物語の確信に食い込むガジェットですらないのかもしれない。じゃあ何だというつっこみがあるであろうが、なんなんだろう。幻獣が主眼でないことは確かなのであるが。
ファンタジーであるが、この作品の結末は或る意味ミステリ的なのかもしれない。私がミステリ者だからミステリ的かも、というのであるが。SF者ならばSFというかもしれない。いや、ミステリと言うよりはむしろSFであろう。
2000年1月にハヤカワ文庫JAから再刊予定らしいので、近年の牧野修に興味を持った人は読んでみると良いかもしれない。良い意味で裏切られるであろうから。
■『イツロベ』(藤木稟/講談社)(H11/12/11読了・評価7)
朱雀もの以外のノンシリーズ長編。この作品は、ミステリと言うよりはむしろ幻想もしくはホラーの領域になるであろうか。私はミステリとは思わない。
間野がアフリカに行き、そこで病気になる所などは『天使の囀り』(貴志祐介/角川書店)なんかを思い浮かべた。『天使の囀り』はブラジルだった気がするけれども。アフリカの奥地にいる原住民の描写なんか面白かったかも。
アフリカと日本と舞台が変わるが、場所を変えることによっての効果は上がってると言えばあがってるし、無いと言えば無い。なるほど、間野が過去を思い出すきっかけはアフリカにあったが(これがあがってるという根拠)、別段アフリカでなくても良かったんではないか(これが無いという根拠。正確には、無いと言う訳ではないか)、と言う思いもあるのだ。
中盤以降の展開は、どれが現実でどれが幻か区別が付かなくなりそうで、なんとなく『匣の中の失楽』(竹本健治/講談社ノベルス)を思い出した。夢か現(うつつ)か幻か。
ミステリプロパーでない藤木稟の本領発揮な作品なのかもしれない。
■『屍島』(霞流一/ハルキ文庫)(H11/12/19読了・評価7)
『赤き死の炎馬』(ハルキ文庫)に続く、奇蹟鑑定人のシリーズ第二弾。前作が島田荘司張りの謎の解体だったので期待して読んだ。馬の次が鹿というのは出来すぎというか、馬と鹿なだけに馬鹿すぎ(笑)。
木に生えた鹿の首が馬の声で泣く。この怪現象の鑑定のために奇蹟鑑定人の天倉は鹿羽島に赴くわけであるが、島でも事件が起こる。マッドサイエンティストが遺伝子操作で馬と鹿を掛け合わせた「馬鹿」が人を襲ったのか? 様々な謎が天倉たちを襲う。
ギャグは前半は爆笑もの。いちいち挙げないが、電車の中で爆笑してしまいちと恥ずかし。ギャグはよかったが、ミステリ的には少し今一つな気が。それでも、ミステリ以外の点ではなかなか楽しませていただいた。と言うよりはむしろ、私の期待のかけ方のポイントが違ってたから今一と感じたのかも。謎解きはよくよく考えたらスマートだからだ。島荘張りの大業トリックは無いものの(強引すぎるのはあるが)、きちっとまとまっている。
とりあえず、次回作には期待したい。■『異人館の妖魔(ファンタズマ)』(井上雅彦/ソノラマ文庫NEXT)(H11/12/27読了・評価7)
江戸時代の長崎を舞台にシーボルト博士や、後にドラキュラ伯爵を倒すことになるヘルシング助教授が邂逅する作品。波瀾万丈の展開は目を見張らせる。この作品、漫画化するならば絵は「週刊少年マガジン」で時代劇を書いてる人(名前、タイトル失念)がやったら結構面白い漫画になるに違いない。私は、この作品を読でるときはこの人の絵を思い浮かべた。
存在しない本「日本妖物誌(ファンタズマ・ヤポニカ)」があったならば、と言う発想の元に生み出されたこの作品、ホラーと言うよりはむしろホラーアクション小説というべきか。朝松健の『魔術戦士』連作との対極にあるホラーアクション。アクションとホラーの割合はホラーのほうがかなり多いのであるが、なんとなくホラーアクションと呼びたくなる。
しかし、この作品の主人公格――いや、サブタイトルが「ヤング・ヴァン・ヘルシング(1)」だから主人公かな――のヘルシングはブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』(創元推理文庫)にでてくる人らしいので、原典かつホラーの古典である『吸血鬼ドラキュラ』は読んでおいた方が良いかなあ。
妖魔が跋扈する長崎の描写もさることながら、シーボルトたちを助ける裏社会の長の湖秋虎の正体が思いっきりツボだった。こういう虚構と歴史上の人物が平気で邂逅出来るところが小説という表現方法の強みであろう。いや、漫画を含む映像でも出来るのは解ってるが、小説ほどの破壊力と言うのがあるかどうか疑問。
このシリーズはまだまだ先があるようなので、今後が楽しみである。■『魔術戦士(マジカル・ウオーリアー)(2)妖蛆召喚』(朝松健/ハルキ文庫)(H12/1/15読了・評価8)
ハルキ文庫で捲土重来を期待し再開された魔術戦士連作の二作目。1巻目から読んでない人は順番に読むことを勧めておく。
とまあ、どうでも良いことはさておき(じゃあ書くなよ)、アクションは1巻に引き続き健在である。また、本書では志門聖志の魔術戦士となる前の経歴も明かされたり、前作で助け出された女性がまた拉致されたりでページをめくる手を止めさせてくれない。幕切れも次巻以降どのような展開になるのかを予想させない。
この魔術戦士連作は『魔術戦士(1)蛇神召喚』の後書きに相当する「メイキング・オブ・魔術戦士(マジカル・ウォーリアー)」は或る意味夫婦合作であると言うことが書かれていたが、本書の「メイキング・オブ・魔術戦士」は初刊当時の状況が書かれていて興味深い。結局、この連作は初刊当時では新しすぎたのであろうか? 様々な理由を付けられて出版を断られたのであるが、その最たる原因は魔術的知識の奔流にあるのであろうか。様々な魔術用語が出てくるが、魔術の用語、知識を十分に受け入れる土壌が果たして読者層にどれぐらいあるのか? と言うのが出版者側にあったのかもしれない。現在ではゲームなどの影響でかなりの土壌が出来てると思うが。
本格マジカルアクションシリーズの三作目が来月(H12/2)に出るらしいが、目が離せないシリーズであることは確かであろう。