凡例
「タイトル(原題)」初出誌光文社文庫 山田風太郎ミステリー傑作選(全十巻)
第1巻 本格篇『眼中の悪魔』
「眼中の悪魔」別冊宝石 昭和23年1月号
「虚像淫楽」旬刊ニュース 昭和23年5月号
「厨子家の悪霊」旬刊ニュース 昭和24年1月号
「笛を吹く犯罪」オール小説 昭和24年3月号
「死者の呼び声」面白倶楽部 昭和27年8月号増刊号
「墓掘人」面白倶楽部 昭和28年8月号
「恋罪」探偵実話 昭和27年7月号、8月号
「黄色い下宿人」別冊宝石 昭和28年12月号
「司祭館の殺人」世界春秋 昭和25年3月号
『誰にも出来る殺人』(「講談倶楽部」昭和33年1月号〜6月号初出)
「女をさがせ」「殺すも愉し」「まぼろしの恋妻」「人間荘怪談」「殺人保険のすすめ」「淫らな死神」第2巻 名探偵篇『十三角関係』
「チンプン館の殺人」講談倶楽部 昭和24年9月号
「抱擁殺人」ホープ 昭和26年1月号
「西条家の通り魔(愴々歓喜仏)」富士 昭和25年1月号
「女狩」小説と読物 昭和29年12月号
「お女郎村」講談倶楽部 昭和29年12月号
「怪盗七面相」探偵実話 昭和27年4月号[連作第七回]
「落日殺人事件」読切小説 昭和29年4月号
「帰去来殺人事件」週刊朝日 昭和26年1月増刊
『十三角関係』(昭和31年1月 大日本雄弁会講談社より書き下ろし)第3巻 サスペンス篇『夜よりほかに聴くものもなし』
「鬼さんこちら」別冊週刊大衆 昭和36年8月26日号
「目撃者」面白倶楽部 昭和32年3月号
「跫音」小説春秋 昭和31年6月号
「とんずら」別冊週刊大衆 昭和36年6月10日号
「飛ばない風船」推理ストーリー 昭和37年5月号
「知らない顔」別冊週刊サンケイ 昭和37年9月号
「不死鳥」オール讀物 昭和32年12月号
「ノイローゼ」文芸 昭和30年10月号
「動機(この道はいつかきた道)」推理ストーリー 昭和37年4月号
「吹雪心中」推理ストーリー 昭和38年5月号
「環」推理ストーリー 昭和39年1月号
「寝台物語」面白倶楽部 昭和30年10月号増刊
『夜よりほかに聴くものもなし』(「時」昭和37年1月号〜12月号初出)
第一話「証言」/第二話「精神安定剤」/第三話「法の番人」/第四話「必要悪」/第五話「無関係」/第六話「黒幕」/第七話「一枚の木の葉」/第八話「ある組織」/第九話「敵討ち」/第十話「安楽死」第4巻 悽愴篇『棺の中の悦楽』
「女死刑囚」りべらる 昭和25年6月号
「30人の3時間(三十人の三時間)」オール讀物 昭和33年7月号
「新かぐや姫」面白倶楽部 昭和26年8月号
「赤い蝋人形」面白倶楽部 昭和27年1〜2月号
「わが愛しの妻よ」推理ストーリー 昭和36年12月号
「誰も私を愛さない」週刊タイムス 昭和29年6月号〜8月号
「祭壇」初出不明
「二人」小説倶楽部 昭和28年6月号
『棺の中の悦楽』(「女性の記録」昭和36年9月号〜翌1月号初出)第5巻 戦争篇『戦艦陸奥』
「戦艦陸奥」面白倶楽部 昭和28年6月号
「潜艦呂号99浮上せず」面白倶楽部 昭和28年10月号
「最後の晩餐」小説倶楽部 昭和29年4月号
「裸の島」講談倶楽部 昭和27年12月号
「女の島」講談倶楽部 昭和28年6月号
「魔島(黄金と裸女を追う男)」りべらる 昭和25年3月号〜5月号
「腐爛の神話」週刊朝日 昭和25年6月増刊
「さようなら」キング 昭和31年5月号別冊
「狂風図」新青年 昭和25年2月号
「黒衣の聖母」講談倶楽部 昭和26年2月号
『太陽黒点』(昭和38年4月 桃源社より書き下ろし)第6巻 ユーモア篇『天国荘奇譚』
「天国荘奇譚(天国荘綺譚)」宝石 昭和25年1月号
「露出狂奇譚」別冊週刊大衆 昭和35年5月号
「賭博学体系」オール讀物 昭和32年5月号
「極悪人」推理ストーリー 昭和37年10月号
「大無法人」傑作倶楽部 昭和31年11月号
「ダニ図鑑」漫画ストーリー 昭和38年5月号
『青春探偵団』
第一話「幽霊御入来」傑作倶楽部 明星 昭和31年9月号、10月号
第二話「書庫の無頼漢」高校時代 昭和32年1〜3月号
第三話「泥棒御入来(青春探偵団)」(初出不明)
第四話「屋根裏の城主」全国学園新聞 昭和33年7月6日〜10月5日
第五話「砂の城」全国学園新聞 昭和32年11月24日〜昭和33年3月2日
第六話「特に名を秘す」全国学園新聞 昭和33年4月6日〜6月29日第7巻 セックス&ナンセンス篇『男性周期律』
「春本太平記(春本盛衰記)」小説の泉 昭和30年4月号
「痴漢H君の話」別冊週間大衆 昭和37年8月27日号
「美女貸し屋」読切倶楽部 昭和32年6月号
「ドン・ファン怪談」傑作倶楽部 昭和29年12月号
「紋次郎の職業」別冊漫画サンデー(掲載号不明)
「童貞試験(完全なる結婚)」読物娯楽版 昭和30年2月号
「色魔」富士 昭和27年6月号増刊
「ウサスラーマの錠」宝石 昭和24年7月増刊号
「女妖」面白倶楽部 昭和28年2月号
「殺人喜劇MW」別冊講談倶楽部 昭和30年11月号
「男性週期律(男性周期律)」あまとりあ 昭和27年2月号、7月号
「陰茎人(鼻)」探偵倶楽部 昭和26年4月号
「男性滅亡」読切小説集 昭和30年2月号
「ハカリン」講談倶楽部 昭和29年2月号増刊
「自動射精機(男性自身機)」オール読物 昭和41年7月号
「自立神経失調同盟」週刊朝日 昭和49年11月増刊号
「満員島」小説と読物 昭和31年5月号第8巻 怪奇篇『怪談部屋』
PartT
「蜃気楼」宝石 昭和23年6月号
「人間華」モダン小説 昭和24年1月号
「手相」宝石 昭和22年10月号
「雪女」『眼中の悪魔』(岩谷書店)昭和23年11月発行への書き下ろし
「笑う道化師」犯罪読物別冊 昭和23年9月号
「永劫回帰」宝石 昭和23年12月号
「まぼろし令嬢」ロック 昭和24年2月号
「うんこ殺人」小説 昭和23年6月号、7月号
「万太郎の耳」ロック 昭和23年4月号
「双頭の人」宝石 昭和24年1月号
「呪恋の女」りべらる 昭和27年7月号
「畸形国」ホープ 昭和25年1月号
「黒檜姉妹」ホープ 昭和24年2月号
「蝋人」小説世界 昭和25年2月号
「万人抗」ユーモア 昭和24年6月号
「青銅の原人」月刊読売 昭和23年11月号
「二十世紀ノア」講談倶楽部 昭和30年9月
「冬眠人間」講談倶楽部 昭和30年3月号
「臨時ニュースを申上げます」小説倶楽部 昭和33年9月号
「1999年」講談倶楽部 昭和31年10月号
PartU
「あら海の少年」四年の学習 昭和31年12月号
「ぽっくりを買う話」小学生朝日 昭和27年3月23日号
「びっこの七面鳥」野球少年 昭和29年12月号
「エベレストの怪人」読みものとまん画 昭和28年7月夏休み号
「とびらをあけるな」なかよし 昭和33年1月号〜12月号
PartV
「無名氏の恋」週刊実話 昭和37年4月30日号
「私のえらんだ人」週刊実話 昭和37年5月28日号第9巻 少年篇『笑う肉仮面』
「水葬館の魔術」探偵王 昭和26年8月号
「姿なき蝋人」譚海文庫 昭和26年第5号
「秘宝の墓場」少年少女譚海 昭和26年12月号
「魔船の冒険」少年 昭和27年7月号
「なぞの占い師」少年 昭和28年1月号
「摩天楼の少年探偵」少年 昭和28年7月号
「魔の短剣」少女サロン 昭和26年7月号
「魔人平家ガニ」おもしろブック 昭和32年夏休み漫画読物号
「青雲寮の秘密」おもしろブック 昭和31年8月、10、11月号
「黄金明王のひみつ」中学時代一年生 昭和32年1〜3月号
「冬眠人間――(中学時代二年生版)」中学時代二年生 昭和32年4〜6月号
「暗黒迷宮党」中学時代二年生 昭和32年7〜11月号
「なぞの黒かげ」四年の学習 昭和32年10月号〜33年3月号
「冬眠人間――(少年クラブ版)」少年クラブ 昭和34年1〜12月号
「笑う肉仮面」野球少年 昭和31年11月号〜昭和32年9月号第10巻 補遺篇『達磨峠の事件』
PART1(短篇)
「達磨峠の事件」宝石 昭和22年1月号
「天使の復讐」平凡 昭和23年2月号
「泉探偵自身の事件」新探偵小説 昭和23年5月号
「全き円は天上に」いろは 昭和23年10月号
「天誅」日本ユーモア 昭和24年1月号
「疾風怪盗伝」富士 昭和24年10月号
「旅の獅子舞」新青年 昭和24年11月号
「死人館の白痴」富士 昭和25年4月号
「片目の金魚」富士 昭和25年6月号に掲載
「東京魔法街」宝石 昭和26年3月号
「下山総裁」りべらる別冊 昭和25年3月号
「渡辺助教授毒殺事件」週刊朝日 昭和26年10月増刊号
「霧月党」講談倶楽部 昭和28年12月号
「ビキニ環礁午前四時」講談倶楽部 昭和29年5月増刊号
「一刀斎と歩く」講談倶楽部 昭和31年3月号
「ふしぎな異邦人」別冊平凡 昭和32年11月号
「女が車に乗せるとき」小説現代 昭和41年5月号
PART2(ショート・ショート)
「女」新世界 昭和23年8月号
「千人目の花嫁」主婦と生活 昭和29年8月号別冊付録
「鳥の死なんとするや(「この世の見納め」改題)」中部日本新聞 昭和34年5月31日付
「無用の訪問者」読売新聞 昭和34年8月9日付日曜版
「幻華飯店」漫画サンデー 昭和37年8月号
「妖物」別冊漫画サンデー 昭和38年10月号
「幸福」女性自身 昭和42年1月号
「しゃべる男」ショート・ショート・ランド 昭和57年2月号
「雲南」ショート・ショート・ランド 昭和57年11月号
PART3(少年向け)
「石の下」受験旬報 昭和15年2月上旬号
「鳶」受験旬報 昭和16年3月号
「鬼面」受験旬報 昭和15年4月号
「三年目」受験旬報 昭和15年10月号
「白い船」受験旬報 昭和16年4月号
「陀経寺の雪」受験旬報 昭和16年1月号
「信濃の宿」高校時代 昭和29年10〜12月号
「青雲寮の秘密(第二回)」おもしろブック 昭和31年9月号別冊付録
「肉仮面」探偵王 昭和29年1〜2月号(未完)山田風太郎コレクション1『天狗岬殺人事件』(出版芸術社)
PART1
「天狗岬殺人事件」孔雀 昭和24年1月号
「この罠に罪ありや」ルックエンドヒヤー 昭和24年3月号
「夢幻の恋人」モダン日本 昭和24年9月号
「二つの密室」小説公園 昭和26年7月号
PART2
「パンチュウ党事件」面白倶楽部 昭和29年2月号
「こりゃ変羅」小説現代 昭和46年12月号
「江戸にいる私」小説倶楽部 昭和34年4月号、5月号
「贋金づくり」探偵倶楽部 昭和29年1月号
PART3
「三人の辻音楽師」りべらる 昭和27年8月号
「新宿殺人事件」りべらる 昭和27年9月号
「赤い蜘蛛」りべらる 昭和27年10月号
「怪奇玄々教」りべらる 昭和27年11月号
「輪舞荘の水死人」りべらる 昭和27年12月号
PART4
「あいつの眼」傑作倶楽部 昭和32年6月号
「心中見物狂」富士 昭和25年6月号
「白い夜」新潮 昭和25年4月号
「真夏の夜の夢」サンデー毎日 昭和27年7月増刊号山田風太郎コレクション3『十三の階段』(出版芸術社)
「白薔薇殺人事件」モダン日本 昭和23年11月号
血ぬられた薔薇(香山滋)/死相の観世音(島田一男)/薔薇の罪に薔薇の罰(山田風太郎)/虹(楠田匡介)/昇天の物理学(岩田賛)/薔薇未だ崩れず(高木彬光)
「悪霊物語」講談倶楽部増刊 昭和29年9月号
発端編(江戸川乱歩)/発展編(角田喜久雄)/解決編(山田風太郎)
「生きている影」探偵実話 昭和29年6月号
瓜二つの影(角田喜久雄)/影法師の血(山田風太郎)/影の悲劇(大河内常平)
「十三の階段」探偵倶楽部 昭和28年12月号〜昭和29年4月号
地獄篇(山田風太郎)/無明篇(島田一男)/輪廻篇(岡田鯱彦)/煉獄篇(高木彬光)
「怪盗七面相」探偵実話 昭和26年10月号〜昭和27年4月号
怪盗誕生の巻(島田一男)/三人天一坊の巻(香住春吾)/黄金唐獅子の巻(三橋一夫)/仮装舞踏会の巻(高木彬光)/浅草女剣戟の巻(武田武彦)/青い月の秘密の巻(島久平)/諸行無常の巻(山田風太郎)
「夜の皇太子」探偵王 昭和28年2月号〜12月号
第一話(山田風太郎)/第二話(武田武彦)/ 第三話(香住春吾)/第四話(山村正夫)/第五話(香山滋)/第六話(大河内常平)/第七話(高木彬光)おんな牢秘抄(角川文庫)
「週刊実話特報」昭和34年4月15日創刊号〜12月10日号悪霊の群(出版芸術社)
「講談倶楽部」昭和26年10月号〜昭和27年9月号初出。
*高木彬光との合作。警視庁草紙(ちくま文庫)
「オール讀物」昭和48年7月号〜昭和49年12月号初出明治断頭台(ちくま文庫)
「オール讀物」昭和53年5月号〜昭和54年1月号初出明治波濤歌(ちくま文庫)
「週刊新潮」昭和54年9月13日号〜昭和55年12月24日号初出妖怪異金瓶梅[完全版](扶桑社文庫)
「赤い靴」講談倶楽部 昭和28年8月増刊
「美女と美童」面白倶楽部 昭和29年4月号
「閻魔天女」小説倶楽部 昭和29年8月号
「西門家の謝肉祭」小説公園 昭和29年12月
「変化牡丹」キング 昭和29年6月号増刊
「銭鬼」宝石 昭和29年4月号〜6月号
「麝香姫」キング 昭和29年10月号増刊
「漆絵の美女」キング 昭和29年9月号
「妖瞳記」別冊宝石 昭和29年11月号
「邪淫の烙印」読切小説集 昭和31年5月号
「黒い乳房」講談倶楽部 昭和32年4月号
「凍る歓喜仏」講談倶楽部 昭和32年8月号
「女人大魔王」講談倶楽部 昭和32年11月号
「蓮華往生」講談倶楽部 昭和34年1月号
「死せる潘金蓮」講談倶楽部 昭和34年4月号
「人魚燈籠」読物娯楽版 昭和30年4月号
*「邪淫の烙印」の原型作品本稿作成にあたっては、初出は山田風太郎系サイトでは最大手である「A LOCKED ROOM CASTAWAY」の「山田風太郎作品リスト」を参照し、各巻の巻末の解題と異同がある場合は巻末の解題に従った(「黄色い下宿人」は除く)。
山田風太郎作品年譜(ミステリ編)
昭和22年(1947)
達磨峠の事件(「宝石」1月号)
*探偵小説専門誌「宝石」の第一回懸賞入選作。山田風太郎ミステリはここから始まる。なお、昭和24年11月に出版された『眼中の悪魔』収録の「雪女」は第1回懸賞に同時に投稿されたもの。他には
飛鳥高「犯罪の場」/鬼怒川宏「鸚鵡裁判」/独多甚九「網膜物語」/香山滋「オラン・ペンデクの復讐」/岩田賛「砥石」/島田一男「殺人演出」
が入選。昭和23年(1948)
虚像淫楽(「旬刊ニュース」五月号)
*新人作家コンクール参加作品。1位を獲得。その他の参加作品は
島田一男「太陽の眼」/香山滋「緑色人間」/岩田賛「絢子の幻覚」/天城一「高天原の幻覚(「高天原の犯罪」と後に改題)」
の四編。
「みささぎ盗賊」が第1回探偵作家クラブ賞短編賞の候補に挙がるも受賞に至らず。昭和24 年(1949)
「眼中の悪魔」「虚像淫楽」の2作が第2回探偵作家クラブ賞短編賞受賞。この時、短編賞の他の候補作は
「天狗」「赤痣の女」(大坪砂男)/「猫」(角田喜久雄)/「蜥蜴の島」(香山滋)/「黒猫」(横溝正史)/「太陽の眼」(島田一男)
以降「天国荘綺談」「下山総裁」(昭和26年)「帰去来殺人事件」(昭和27年)「墓掘人」「赤い靴」(昭和29年)「二十世紀ノア」(昭和30年)「ノイローゼ」(昭和31年)らが候補に挙がるも、いずれも受賞せず。
11月 処女短編集『眼中の悪魔』を岩谷書店から刊行。収録作は
眼中の悪魔/虚像淫楽/手相/万太郎の耳/達磨峠の事件/雪女/みささぎ盗賊/芍薬屋夫人
の8編。昭和25年(1950)
天国荘綺談(後に「天国荘奇譚」と改題)(「宝石」一月号)
*後に書かれることになる連作短編『青春探偵団』の原型とも言うべき作品。昭和26年(1951)
悪霊の群(「講談倶楽部」十月号〜昭和二十七年九月号)
*高木彬光との合作。名探偵荊木歓喜登場作品。高木彬光擁する名探偵神津恭介との共演。執筆は山田風太郎が担当。初単行本化は昭和30年大日本雄弁会講談社より。昭和28年(1953)
赤い靴(「講談倶楽部」八月号増刊)
*奇跡的な傑作『妖異金瓶梅』第一話。遅れた原稿料のお詫びにもらった『金瓶梅』が元ネタ。版元にお金がなかったという当時の事情はさておき、『金瓶梅』を渡した編集者は偉い。ちなみに、遅れた原稿料は「厨子家の悪霊」のものらしい。『妖異金瓶梅』は後に書かれる忍法帖の橋渡しになる。
『妖異金瓶梅』の初単行本化は昭和29年大日本雄弁会講談社から『妖異金瓶梅』として刊行された物であるが、現行版と違い、前半部分のみである。後半部分は昭和34年に講談社から刊行された『秘鈔金瓶梅』に収録。現在の形で刊行された最初は昭和42年10月に桃源社から刊行された版である。それぞれの収録作品は
『妖異金瓶梅』
赤い靴/美女と美童/閻魔天女/西門家の謝肉祭/変化牡丹/銭鬼/麝香姫/漆絵の美女
『秘鈔金瓶梅』
妖瞳記/邪淫の烙印/黒い乳房/凍る歓喜仏/女人大魔王/蓮華往生/死せる潘金蓮
黄色い下宿人(「別冊宝石」12月号)
*ホームズパロディ。この作品のあまりにもの出来の良さに、編集部が海外作家贋作特集を組む為他の作家に贋作を注文したというエピソードもある。その時の贋作特集に寄せられたのは城昌幸「ユラリュウム」(E・A・ポオ)、高木彬光「クレタ島の花嫁」(ヴァン・ダイン)、島田一男「ルパン就縛」(ルブラン)、大坪砂男「胡蝶の行方」(チェスタトン)。「クレタ島の花嫁」は現在では二階堂黎人編『密室殺人大百科』に、「ルパン就縛」は扶桑社文庫《昭和ミステリ秘宝》『古墳殺人事件』に収録されているものが入手容易。昭和31年(1956)
十三角関係(大日本雄弁会講談社 1月)
*名探偵荊木歓喜が活躍する長編。『十三角関係』は書き下ろし探偵小説全集の10巻目の配本。全13巻刊行予定だったが、全11巻で終了。余談だが、十三巻目の椅子を巡る公募で十三番目の椅子に鮎川哲也『黒いトランク』が入選。この公募が後の江戸川乱歩賞になり、第零回江戸川乱歩賞とも言われることもある。
1月 『拳銃対拳銃』のタイトルで『悪霊の群』が映画化。監督は小沢茂弘。配役では荊木歓喜と神津恭介はない。
12月 『高校生と殺人犯』公開。原作に山田風太郎の名前はあるものの、何が原作かは不明。昭和33年(1958)
誰にも出来る殺人(「講談倶楽部」一月号〜六月号)
*初単行本化は昭和33年7月に講談社より刊行された物。東京文芸社版と廣済堂文庫版は『誰にもできる殺人』となっている。山田風太郎が得意とした長編化する連作短編、<連鎖式>の最初の作品。収録作は
女をさがせ/殺すも愉し/まぼろしの恋妻/人間荘怪談/殺人保険のすすめ/淫らな死神
の6編。
落日殺人事件(桃源社 7月)
*荊木歓喜の短編での活躍の初単行本化。収録作は
歓喜登場(チンプン館の殺人)/抱擁殺人/西条家の通り魔/女狩/お女郎村/落日殺人事件/帰去来殺人事件
の7編。『落日殺人事件』がタイトルなのはこの桃源社版だけ。他の版は『帰去来殺人事件』。平成8年出版芸術社より復刊された際に「怪盗七面相」が増補される。
笑う肉仮面(東光出版社 12月)
*光文社文庫から『笑う肉仮面<少年篇>』が出るまでは山田風太郎の唯一の少年物単行本だった。古書価20万円したとかしないとか。収録作は
笑う肉仮面/なぞの黒かげ
の2編。昭和34年(1959年)
青春探偵団(講談社 1月)
*収録作は
幽霊御入来/泥棒御入来/屋根裏の城主/砂の城/特に名を秘す
の5編。
現在流布している『青春探偵団』に収録されている「書庫の無頼漢」は平成九年の廣済堂文庫版が最初の収録。昭和39年の東京文芸社版では『殺人クラブ会員』と改題された。
おんな牢秘抄(「週刊実話特報」昭和34年4月15日創刊号〜12月10日号)
*初単行本化は東都書房より昭和35年1月に刊行された物。昭和36年(1961)
棺の中の悦楽(「女性の記録」9月号〜昭和37年1月号)
*初単行本化は昭和37年3月桃源社より刊行された物。昭和37年(1962)
夜よりほかに聴くものもなし(「時」1月号〜12月号)
*初単行本化は昭和三十七年十二月に東都書房より刊行された物。収録作は
証言/精神安定剤/法の番人/必要悪/無関係/黒幕/一枚の木の葉/ある組織/敵討ち/安楽死
の10編。昭和38年(1963)
太陽黒点(桃源社 4月)
*書き下ろし長編。予告では『射殺権』や『脳人』、『将棋倒し』といった仮題がついていた。昭和39年(1964)
環(「推理ストーリー」1月号)を最後に昭和四十八年迄ミステリ関係の新作はほぼ途絶える。その間は時代小説や忍法帖がほとんどの割合を占める。
8月 東都書房より《山田風太郎の妖異小説》が全6巻予定で刊行開始。10月完結。ミステリ関係は『妖異金瓶梅』『秘鈔金瓶梅』の2冊。
10月 桃源社のポピュラーブックスより《山田風太郎奇想小説全集》刊行開始。全6巻。昭和40年3月完結。昭和54年の《山田風太郎奇想小説》全6巻はこれの再刊。各巻の収録作は
『男性週期律―奇想天外の物語―』(満員島/男性週期律/二十世紀ノア/男性滅亡/臨時ニュースを申上げます/1999年)
『天国荘奇譚―ナンセンスと怪奇の物語―』(天国荘奇譚/陰茎人/蝋人/ハカリン/万太郎の耳/二人/祭壇)
『春本太平記―ユーモアとエロチシズムの物語―』(春本太平記/痴漢H君の話/美女貸し屋/ドン・ファン怪談/紋次郎の職業/童貞試験/大無法人/ダニ図鑑/女妖)
『女死刑囚―凄惨と哀愁の物語―』(女死刑囚/30人の3時間/新かぐや姫/寝台物語/赤い蝋人形/跫音/とんずら/わが愛しの妻よ)
『戦艦陸奥―戦争をめぐる悲壮美の物語―』(戦艦陸奥/潜艦呂号99浮上せず/最後の晩餐/裸の島/女の島/さようなら/狂風図/黒衣の聖母)
『虚像淫楽―風変りな推理の物語―』(虚像淫楽/死者の呼び声/墓掘人/笛を吹く犯罪/恋罪/黄色い下宿人/司祭館の殺人)昭和40年(1965)
4月 東京文芸社より《山田風太郎推理全集》が全6巻で刊行開始される。9月に完結。収録されたのは
『誰にも出来る殺人』『十三角関係』『太陽黒点』『夜よりほかに聴くものはなし』『眼中の悪魔』(飛ばない風船/鬼さんこちら/動機/賭博学大系/ノイローゼ/不死鳥/知らない顔/露出狂奇譚/眼中の悪魔)『棺の中の悦楽』
8月 『棺の中の悦楽』が『悦楽』のタイトルで映画化。監督は大島渚。昭和46年(1971)
10月 講談社より《山田風太郎全集》が全16巻で刊行開始。昭和48年1月完結。この中でミステリ関係は
『山田風太郎全集10』(妖異金瓶梅/女人国伝奇/逆櫓試合/麺棒試合)
『山田風太郎全集14』(棺の中の悦楽/陰茎人/蝋人/満員島/男性週期律/自動射精機/ハカリン/万太郎の耳/天国荘奇譚/1999年/最後の晩餐/女死刑囚/紋次郎の職業/黄色い下宿人/蓮華盗賊/万人抗)
『山田風太郎全集15』(太陽黒点/十三角関係/黒衣の聖母/跫音/とんずら/ダニ図鑑/極悪人/祭壇/環/虚像淫楽)
『山田風太郎全集16』(誰にも出来る殺人/夜よりほかに聴くものもなし/死者の呼び声/わが愛しの妻よ/女妖/さようなら/吹雪心中/春本太平記/大無法人/ノイローゼ/飛ばない風船/鬼さんこちら/眼中の悪魔)
の4冊。昭和48年(1973)
警視庁草紙(「オール讀物」7月号〜昭和49年12月号)
*明治小説第一弾。初単行本化は昭和50年3月文藝春秋社より刊行された物。
2月19日 「恐怖劇場アンバランス」の第七話「夜が明けたら」放送。原作は『夜よりほかに聴くものもなし』の「黒幕」。
5月 講談社より発行された《現代推理小説体系》の七巻目の配本として『現代推理小説体系7 香山滋 島田一男 山田風太郎 大坪砂男』が刊行される。山田風太郎作品は
虚像淫楽/眼中の悪魔/誰にも出来る殺人
が収録される。
他は
香山滋「海鰻荘奇談」「蝋燭売り」「ネンゴ・ネンゴ」
島田一男『上を見るな』
大坪砂男「天狗」「私刑」
昭和52年(1977)
4月 社会思想社の教養文庫より《山田風太郎傑作選》刊行が開始される。全4巻。11月完結。ミステリ関係は
『夜よりほかに聴くものもなし』(眼中の悪魔/黒衣の聖母/大無法人/夜よりほかに聴くものもなし)
『棺の中の悦楽』(虚像淫楽/万太郎の耳/満員島/棺の中の悦楽/わが愛しの妻よ)
『誰にも出来る殺人』(蝋人/死者の呼び声/黄色い下宿人/さようなら/誰にも出来る殺人/飛ばない風船)
の3冊。昭和53年(1978)
明治断頭台(「オール讀物」5月号〜昭和54年1月号)
*初単行本化は昭和54年2月文藝春秋社より刊行された物。
4月 立風書房より《山田風太郎奇怪小説集》が刊行される。全4巻。4月と5月に2冊ずつ刊行。各巻収録作は
『ダニ図鑑』(痴漢H君の話/美女貸し屋/紋次郎の職業/恋罪/最後の晩餐/知らない顔/笛を吹く犯罪/蜃気楼/大無法人/極悪人/ダニ図鑑)
『厨子家の悪霊』(人間華/蝋人/双頭の人/畸形国/黒檜姉妹/青銅の原人/万太郎の耳/眼中の悪魔/厨子家の悪霊)
『黒衣の聖母』(30人の3時間/わが愛しの妻よ/女死刑囚/寝台物語/跫音/とんずら/祭壇/さようなら/黒衣の聖母/女の島)
『男性滅亡』(男性滅亡/二十世紀ノア/臨時ニュースを申上げます/冬眠人間/1999年/陰茎人/ハカリン/満員島) 昭和54年(1979)
明治波濤歌(「週刊新潮」9月13日号〜昭和55年12月24日号)
*オムニバス作品集。初の単行本化は昭和56年6月新潮社より刊行されたもの。初刊版は「天の巻」「地の巻」の二巻構成。文庫化されて以降は上下巻の表記。収録は
天の巻(上巻)
それからの咸臨丸/風の中の蝶/からゆき草紙
地の巻(下巻)
巴里に雪のふるごとく/築地西洋軒/横浜オッペケペ
7月 「別冊新評 山田風太郎の世界」が発行される。中島河太郎の「山田風太郎の風刺と諦観」、宅和宏の「早く来すぎたミステリ作家」等の評論、高木彬光や色川武大などのエッセイが収録された。「中島河太郎・編 資料室」は日下三蔵の「山田風太郎中毒患者記録」によれば、かなり貴重な資料であったようだ。昭和58年(1983)
5月 大和書房《夢の図書館ミステリ・シリーズ》より『帰去来殺人事件』が再刊される。11月に同叢書より『十三角関係』も再刊。平成5年(1993)
3月 国書刊行会の《探偵クラブ》より『虚像淫楽』刊行。収録作は
みささぎ盗賊/眼中の悪魔/虚像淫楽/蓮華盗賊/黒衣の聖母/死者の呼び声/黄色い下宿人/赤い靴/変化牡丹
の9編。平成7年(1995)
3月 講談社文庫大衆文学館より『奇想小説集』刊行。この講談社文庫大衆文学館ではミステリ関係からは他に『棺の中の悦楽』(平成8年6月)と『奇想ミステリ集』(平成9年2月)が刊行された。『奇想小説集』と『奇想ミステリ集』の収録作はそれぞれ
『奇想小説集』(陰茎人/蝋人/満員島/自動射精機/ハカリン/万太郎の耳/紋次郎の職業/万人抗/黄色い下宿人)
『奇想ミステリ集』(新かぐや姫/女妖/二人/ノイローゼ/目撃者/不死鳥/露出狂奇譚/祭壇/春本太平記/青銅の原人/笛を吹く犯罪/墓掘人/司祭館の殺人)
同月 『美女奉行 おんな牢秘抄』のタイトルで『おんな牢秘抄』が映像化。ビデオのみか、公開されたか不明。同年9月『美女奉行おんな牢秘抄U』。
同月 「GQ Japan」で山田風太郎特集が組まれる。笠井潔によるロングインタビューや新保博久「乱歩と風太郎」、「全作品紹介、急ぎ足で」(山田風太郎自身によるA〜Cの3段階評価つき)など男性ファッション誌とは思えない充実度を誇る。
山田風太郎自身による三段階評価は、
忍法帖
A―『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』『忍者月影抄』『忍法忠臣蔵』『信玄忍法帖』『柳生忍法帖』『伊賀忍法帖』『魔界転生』『忍びの卍』『笑い陰陽師』
B―『江戸忍法帖』『外道忍法帖』『風来忍法帖』『忍法八犬伝』『忍法封印いま破る』『銀河忍法帖』『海鳴り忍法帖』『柳生十兵衛死す』
C―『軍艦忍法帖』『自来也忍法帖』『魔天忍法帖』『忍法剣士伝』『秘戯書争奪』『忍者黒白草紙』『忍法双頭の鷲』『武蔵野水滸伝』
P―『忍法相伝73』
明治もの
『地の果の獄』のみB、あとはA
時代もの
A―『妖異金瓶梅』『妖説太閤記』『魔群の通過』『八犬傳』『婆沙羅』『室町お伽草紙』
B―『白波五人帖』『叛旗兵』『旅人 国定龍次』
C―『妖説忠臣蔵』『ありんす国伝奇』「明治かげろう俥」『おんな牢秘抄』『修羅維新牢』
D―『いだてん百里』
E―『御用侠』
ミステリ
A―『夜よりほかに聴くものもなし』『太陽黒点』
B―『十三角関係』『誰にも出来る殺人』『青春探偵団』『棺の中の悦楽』
C―「厨子家の悪霊」『帰去来殺人事件』『神曲崩壊』
ノンフィクション
『風眼抄』『半身棺桶』『死言状』『人間臨終図巻』あたりはA、日記と『同日同刻』は採点不能
4月 角川ホラー文庫より自選恐怖小説傑作選『跫音』刊行。収録作は
30人の3時間/さようなら/女死刑囚/跫音/双頭の人/黒檜姉妹/雪女/笑う道化師/最後の晩餐/呪恋の女
の10編。
5月 出版芸術社の叢書《ふしぎ文学館》より『怪談部屋』刊行。昭和31年に妙義出版から出ていた同題短編集を大幅に増補したもの。収録作は
蜃気楼/人間華/手相/雪女/笑う道化師/永劫回帰/まぼろし令嬢/うんこ殺人/陰茎人/二十世紀ノア/冬眠人間/双頭の人/畸形国/黒檜姉妹/蝋人
の15編。妙義出版版は太字のものを収録。平成8年(1996)
5月 廣済堂文庫で《山田風太郎傑作大全》が『妖異金瓶梅』を皮切りに刊行される。平成10年7月完結。《山田風太郎傑作大全》でのミステリ関係の本は、
『妖異金瓶梅』『十三角関係』『誰にもできる殺人』『夜よりほかに聴くものもなし』『青春探偵団』『天国荘奇譚』(天国荘奇譚/恋罪/ドン・ファン怪談/童貞試験/寝台物語/大無法人/臨時ニュースを申し上げます)『赤い蝋人形』(赤い蝋人形/賭博学大系/美女貸し屋/とんずら/わが愛しの妻よ/痴漢H君の話/ダニ図鑑)『太陽黒点』
の8冊。『太陽黒点』は帯や裏の粗筋紹介、投げ込みチラシでネタを思いっ切り割っており、一部で話題になる。『十三角関係』『青春探偵団』『太陽黒点』はこれが初の文庫化。全24巻。
7月 『帰去来殺人事件』が出版芸術社より復刊。詳細な著作リスト付き。平成9年(1997)
菊池寛賞受賞
2月 集英社文庫より風太郎傑作ミステリー『天使の復讐』刊行。収録作は
狂風図/天使の復讐/色魔/鬼さんこちら/飛ばない風船/知らない顔
の6編。
5月 筑摩書房で《山田風太郎明治小説全集》刊行開始。第一回目の配本は『警視庁草紙』。10月完結。文庫版は全14巻、愛蔵版は全7巻。
6月 ハルキ文庫より《山田風太郎奇想コレクション》刊行開始。全5巻。ミステリ関係は
『厨子家の悪霊』(厨子家の悪霊/殺人喜劇MW/旅の獅子舞/天誅/眼中の悪魔/虚像淫楽/死者の呼び声)
『黒衣の聖母』(戦艦陸奥/潜艦呂号99浮上せず/裸の島/女の島/腐爛の神話/黒衣の聖母)
『男性滅亡』(男性滅亡/男性週期律/1999年/自立神経失調同盟/誰も私を愛さない)
の3冊。平成11年(1999)
七月 マガジンハウスムックから『風太郎千年史』(新保博久編)が刊行される。太字がエッセイ、斜体はインタビュー、残りは小説。収録作は
赤い靴/銭鬼/山屋敷秘図/忍法棒占い/忍法小塚ッ原/大いなる幻術(水木しげる画、京極夏彦着彩の漫画)/首/東京南町奉行/巴里に雪のふるごとく/黄色い下宿人/わが家は幻の中/父の死/風眼帖(1〜4)/中學生と映畫/石の下/戦中派不戦日記 昭和二十年八月/黒衣の聖母/わが推理小説零年/達磨峠の事件/歓喜登場/奇想とユーモアの異色作家山田風太郎/推理交響楽の源流/読まなくたってかまわない/ナンセンスだから面白い/自筆死亡記事/1999年
この中での当時の目玉は一九七一年に刊行されたポピュラーブックス版『妖異金瓶梅』に収録されたのを最後に収録されていなかった「銭鬼」や処女短編集以降長らく本に収録されていなかった「達磨峠の事件」であろう。「大いなる幻術」の原作は「忍者 枯葉塔九郎」。また、作中の年代順に作品配列が為されている趣向にも注目。平成12年(2000)
3月 第四回ミステリー文学大賞受賞
同月 東京文芸社版を最後に長らく名前のみの作品となっていた『悪霊の群』が三十六年ぶりに出版芸術社より再刊。平成13年(2001)
1月 単行本未収録短編を収録した山田風太郎コレクション『天狗岬殺人事件』が出版芸術社より刊行される。収録作は著作リスト参照。
3月 第4回ミステリー文学大賞受賞受賞記念で《山田風太郎ミステリー傑作選》が全10巻予定で刊行開始。第1回目の配本は『眼中の悪魔<本格編>』と『十三角関係<名探偵篇>』の2冊。詳しくは著作リスト参照。各巻解題は日下三蔵が担当。
9月 「NHK金曜時代劇」で28日より「からくり事件帖」が全九回で放送開始。原作は『警視庁草紙』。
10月 《KAWADE夢ムック》より『追悼特集 山田風太郎 綺想の歴史ロマン作家』刊行。詳細な著作リスト付き。
『妖異金瓶梅』の完全版が扶桑社文庫の《昭和ミステリ秘宝》から「第三期 時代篇」のシリーズで刊行される。内容は廣済堂文庫版に「銭鬼」と新たに発掘された「人魚燈籠」を増補した物。「人魚燈籠」は「邪淫の烙印」の原型短編。
11月11日「知ってるつもり!?」で山田風太郎が取り上げられる。
同月 「ユリイカ」で山田風太郎特集が組まれる。「山田風太郎中毒患者記録」(日下三蔵)、「塚もうごけ、わが哭く声は秋の風」(川出正樹)、「本格と戦争がリンクするとき――山田風太郎ミステリ試論」(末国義己)、「検証「黄色い下宿人」――シャーロキアンが読む風太郎」(北原尚彦)の四編のミステリに関する評論も収録。ほかに日下三蔵の手による「山田風太郎執筆年譜」もあり、また、故・中島河太郎との対談も再録されている。
12月 「立命館ミステリマガジン」に「狂風記――山田風太郎特集ミステリ編」が掲載される。
同月 「このミステリーがすごい! 2002年度版」刊行。7位に『天狗岬殺人事件』が、20位に『忍法創世記』が入選。その他、追悼特集として「山田風太郎忍法帖ケッサクセン」として忍法帖作品紹介や、「著名人に聞く 私の山田風太郎ベスト」が掲載される。平成14年(2002)
5月 《山田風太郎ミステリー傑作選》完結平成15年(2003)
1月 NHKラジオ《青春アドベンチャー》にて『妖異金瓶梅』がラジオドラマ化。全10回。2月 山田風太郎コレクションより『十三の階段』刊行
このリストの作成は『追悼特集 山田風太郎 綺想の歴史ロマン作家』(河出書房新社)の著作リスト及び年譜、光文社文庫《山田風太郎ミステリー傑作選》の各巻の改題及び解説、『日本ミステリーの100年』(山前譲/光文社知恵の森文庫)を参考にしました。なお、過去の映画化に関しての情報は「日本映画データベース」を、探偵作家クラブ賞関係は「推理小説ノート」を参照しました。『妖異金瓶梅』に関するエピソードは《昭和ミステリ秘法》版『妖異金瓶梅』の解説によります。「GQ」の作者評価は「2ちゃんねる」の山田風太郎スレッドより。
雑誌などの特集は、『追悼特集 山田風太郎 綺想の歴史ロマン作家』と「ユリイカ 二〇〇一年十二月号」以外はここを参照しました。『おんな牢秘抄』の初出出展はここ (初稿版校正協力・水原晶夫)