フランス語教育 2004.7.26
ランコントルの紀要 Rencontres 18 を7月24日(土)に発送しました。
もうすでに着いてるかもしれません。
公式サイトでもご覧になれますが、まだアップしていません。もう少々お待ちください。
よい夏休みを!
フランス語教育 2004.4.02
ランコントル2004 は、今年も、大阪日仏センター=アリアンス・フランセーズで、3月25日(木)と26日(金)の両日、盛大に開かれました。全国から136名もの参加者を得ることができました。援助をいただいた関係機関に厚く御礼申し上げます。
論文執筆の方、締め切りは5月12日です。
写真はホームページの方にアップしますが、もうしばらくお待ちください。
フランス語教育 2003.12.03
ランコントル2004 は、来年も、大阪日仏センター=アリアンス・フランセーズで、3月25日(木)と26日(金)の両日、開かれます。
ふるってご参加ください。ただいま、アトリエ担当・論文執筆者を募集中です。
また、12月の6日(土)には、第3回ランコントル月例会が開かれます。こちらもふるってご参加ください。
詳しくはランコントルの公式サイトをご覧ください。
フランス語教育 2003.8.02
ランコントルの紀要、Rencontres 17 は7月22日に発送しましたが、ランコントルの公式サイトでも読むことができます。
です。
よい夏休みをお過ごしください。
フランス語教育 2003.5.06
ランコントルのホームページが引っ越しました。広告のない有料サイトに変えました。新しいアドレスは、
です。
紀要の締め切りは今月の7日です。忘れないでください。
フランス語教育 2003.3.31
ランコントルが参加者130 名という大盛況のもとに無事終わりました。参加者・アニマタールのみなさま、ご援助をいただいた諸機関、委員の方々、本当にありがとうございました。
副事務局長という大任を果たしたあとで疲れと心地よさとが混在している感じです。
また私自身のアトリエには十名の方々の参加を得、貴重な意見を賜りました。お礼を申し上げます。以下に、アトリエの原稿をアップします。(アクサンは省略してあります。)
ここから---------
Rencontres Pedagogiques du Kansai2003
Theme 2
おじさん教師のDALF 受験体験記
"J'ai reussi au DALF !" s'ecrie un prof ojisanesque.
野崎次郎 (NOZAKI Jiro)
Universit Kobe-Jogakuin
Jiro@ma1.seikyou.ne.jp
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/
0. はじめに
そもそも私がDALFの存在を強く意識したのは、去年の夏にトゥールで夏期講座を受け、その修了試験がTest d'acces
au DALFの試験をかねていたからにすぎない。私が学生の頃、DELF/DALFはおろか仏検すらなかった。学生時代に受けられる日本での「フランス語語学試験」といえば、「仏文業界人のエリート選抜」の機能を持つ「フランス政府給費留学生試験」ぐらいであった。
フランス語語学試験は、今までの大多数の中からの少数のエリート選抜という機能から、大衆的規模(量的には減っているが)での幾重にもわたる階層付けという機能をもつにいたったのである。それは日本におけるAPEFのフランス語検定においても、フランコフォニー戦略の要請による世界的規模での統一試験、DELF/DALFについてもいえることであろう。フランス語語学試験の大衆化である。
その事態は「留学」という現象が「エリート的なもの」から「大衆的なもの」へと転換したことと表裏一体のものであるといえるだろう。このアトリエではそのような現象の意味を明らかにするとともに、具体的な試験内容を検討することを通じて、若者の関心に定位したフランス語教育の新たな可能性を探りたい。
1. DALFとは? 試験制度としてのDELF/DALF
1) Googleで「DALFとは」を検索すると156件ヒットする。
http://www.google.com/intl/ja/
DELF・DALFとは
フランス文部省認定フランス語資格試験で、世界に散在するフランス語教育機関で学習するフランス語習得者の水準に統一性を保たせるために研究開発され、フランスでは1986年より実施されている。現在では世界130余ヵ国で実施され、パリ郊外セーヴルにおかれた中央機構Commission
nationale全国委員会がその管理にあたっています。
日本では1991年から開始され、DELFは年2回、DALFは年1回実施されています。〔私は大阪のセンターで2002年秋に受けた。〕DELF・DALF試験管理センターが関西日仏学館内に設置されている。各Centres
d'examenの採点結果は、フランスの中央機構の認可を受ける。
DELF・DALFの構成
DELF(DIPLOME D'ETUDES EN LANGUE FRANCAISE)第1段階(A1〜A4の4単位)、DELF第2段階(A5、A6の2単位)、DALF(DIPLOME
APPROFONDI DE LANGUE FRANCAISE) (B1〜B4の4単位)の3段階、全10単位で構成されている。
DELF第1段階は約100~400学習時間、DELF第2段階は約500~600学習時間〔日本での場合、このような時間計算はほとんど現実離れしているが、フランスの語学学校で学んでいる場合には、一定程度の意味があるようだ〕、DALFは上級レベル〔仏検一級と併願者が多いようである〕。その他にTest
d'acces au DALF という、DELFの証書をもたずにDALFが受験できるようにするためのテストがある。
DELF・DALFのレベル
DELFはフランス語によるコミュニケーションの一般的な能力を試すもので、2段階から成っている。
DELF第1段階=日常生活の様々な場面で適切にフランス語を運用する能力を備えている。フランスまたはフランス語圏をある程度支障なしに旅行することができる。
DELF第2段階=より優れたフランス語運用能力とフランス文化の一般的な知識、ならびに専門分野のフランス語の基礎知識を有する。フランスに滞在するにあたって、日常的な問題を自分で解決することができる。
DALF=フランス語全般と専門分野のフランス語に関する優れた能力を備え、フランスの大学をはじめとする高等教育機関に入学できる能力を有する。〔私はsciences
humaines et socialesを選んだ。〕
DELF・DALFのメリット
DALFに合格するとフランスの大学の学部留学の際、フランス語力評価試験が免除され、フランス政府給費留学生試験では、筆記試験の一部が免除されています。
また、フランスやフランス語圏の国の就労ビザの取得にも役立ちます。
国内においては、DELF・DALFの認知度が向上するのにともない、交換留学の学内選考や、編入試験の出願資格としてDELFあるいはDALFを採用する例が増加しています。〔これはこの試験の実際面での効用であるが、具体的なことはよくわからない。〕
DALFの試験内容
Unit 1 (ecrit) : 700 語程度の文章を約200語に要約(compte rendu)し、その文章に関する質問に短文で答える。2時間30分。
Unit 2 (oral) : 3分程度の録音(または録画)について、設問に答える。(聞き取り)約30分。
Unit 3 (ecrit) : あらかじめ選択した専門分野に関連する、合計700語程度の複数のテキストについての総論の作成と、それらのテキストに関する質問に短文で答える。2時間30分。
Unit 4 (oral) : あらかじめ選択した専門分野に関する事項をテーマとするエクスボゼと口頭試問。準備1時間、面接20分。
関西日仏学館のホームページ
web.kyoto-inet.or.jp/people/cestmika/newpage2.html
2) 受験体験記
◆「DALFへの道」(2000年秋のNAOCHANの受験体験記)
http://www.naochan.com/monde/france/DELF/dalf.html
◆ 「ボケ作日記」(2002年秋の野崎次郎の受験体験記)(2002.12.02)(12.09)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/cahier2002.4.html
2. なぜDALFなのか。問題傾向。仏検との比較。
コミュニカティブ・クラスのめざすフランス語は、たんなる「会話」であってはならない。しかしその多くはなぜ「初級会話」で終わってしまうのだろうか。なぜDALF
なのか、という問いに対する答えとしてこの問題を考えてみたい。
現在の日本におけるフランス語教育の主流はどのようなところにあるか。
「日本におけるフランス語教育は、文学を中心としたフランス文明に基づく教養主義から、その後、コミュニカティブ・アプローチによって「使えるフランス語」」の教育へと転換がはかられてきた。」(西山教行「現代フランス研究会活動報告」)というのがおおかたの一致するところであろう。そしてこの傾向は英語教育についてもいえ、さらにひろく大学における語学教育全般についていえることである。
コミュニカティブ・アプローチのメリットは十分に認めた上で、「これのみ」に頼ってしまうことによるデメリットとその原因を探ってみたい。
「言語能力」に四つの能力「読む」「書く」「聞く」「話す」がある。それは「アクティブな」言語能力(「書く」「話す」)と「パッシブな」(「読む」「聞く」)言語能力とに分けて考えることができよう。さらに「読む」「書く」能力と「聞く」「話す」能力とに分けることもできる。そしてそれがバランスよく発達しているのが理想であると考えられている。
たとえばプルーストの小説が読めても、プルースト並みの小説が書けるわけではない。ジョスパンの演説が聞いて理解できても、ジョスパン並みの演説ができるわけではない。そのように両能力には隔たりが存在する。教養主義的な言語教育ではその隔たりが「極端」でない限り、あまり問題とはされない。なぜか。受容することが重要なことだからだ。
しかし、コミュニカティブ・アプローチではその隔たりはできる限り最小のものにしようとする。なぜか。それはお互いにs'exprimer(自分の考え・感情を表現する)ことに重点が置かれているからだ。視点を変えるとそれは「背伸びをしない生き方」というものと連携しているとも考えられるが、当面、主張してみたいことは、その「隔たり」は無理のない程度にあった方がよいのではないかということである。
たとえばフランスで作られたmethodes(教科書)を日本で使う場面を想定しよう。それは当然、コミュニカティブ・アプローチに基づいて作られている。しかもフランス語文化圏での、あるいはヨーロッパ内での使用を前提とされている。つまり学習者は教科書以外にその「文化」にすでになじみ、あるいは、毎日、新聞を読んだり、フランス語のテレビを見たり、町を歩いてフランス語で道を聞かれたり、お巡りさんに不審尋問を受けたりなどして、現になじみつつある状況が前提されている。しかし日本における学習者は当該クラス以外に「フランス」に接する機会はほぼ皆無である。
コミュニカティブ・アプローチのはずが、逆に、一方通行的なものになりやすいのは明らかだ。あるいは、「日本からの発信」というような形で問題をすり替えるだけなものになる。相互的なものであるとしても、「自己紹介」や「天気の話」などで止まってしまいがちである。「相手の理解できないこと」はやらない(話さない、書かない)わけだから……。
しかしこれは何か考え違いしている。コミュニケーションがとれるところでしかコミュニケーションをとらないのを、コミュニケーションとは呼ばない。コミュニケーションとは、コミュニケーションがとれないときどのようにしてとるかということを考えるのをそう呼ぶのである。
そうした考え違いを避けるにはどうしたらいいのだろうか。結論から言うと、やはり「教養主義」的な面を再導入する必要があるだろう。そもそも「教養主義」(古い世代)と「使えるフランス語」(新しい世代)とを対立的にとらえること自体無理があったのである。そのことを実感できたのは、DALFの準備クラスを受講したときのことである。
「隔たり」を具体的に自覚することが必要なのである。そのためにはプルーストにせよジョスパンにせよ、まねをして「使える」表現を見つけることである。ここで表現とは、単語や熟語などにとどまらない。言い回し、論理展開などを含む。むしろ後者に力点がある。
そのことを学ぶには「名著を読みなさい」という古典的な言い方も可能だろうが、それはなかなか難しい。最近の若者は「断片的な」生き方が身に付いているからだ。
だから新聞や雑誌の短めの文章(これでも「長文」と呼ばれている)を読み続けることであろう。これらのジャンルの文章でさえ、文学作品と勝るとも劣らず、「フランス的文章作法」を知ることができる。私はそれをまねしろと主張しているのではない。それを知らずして、「フランス語」を知ったことにならないだろうし、それをめざしてはじめてコミュニカティブなフランス語に近づくことができるといっているのである。
DALF はその学習のきっかけを作ってくれる。仏検が文法重視の「日本的な」検定制度である(2級、1級などでは、確かに「フランス的」な面が濃くなってはいるが、たとえば、ある動詞に対応する名詞をそのまま質問するというような文法問題があったり、設問形式がやはり「日本的な」試験問題である)のに対して(いうまでもなく、その必要性は否定していない。それどころか推奨すべきと考えているが)、DALFはその「検定の思想」に始まり、出題の仕方、採点の基準などにわたり、とても「フランス的」なものである。
3. 弟子は師匠をめざすのではなく、師匠がめざしているものをめざす。自己修練。
1) Institut de Touraineの上級クラスでの体験(2002年夏学期)。
私は夏学期のクラス分けテストで、いきなり8eに振り分けられた。9eと8eの上級クラスは「スイス・アルマン」が多数派で、まじめな雰囲気。むしろ「古典的な」クラスである。私のクラスはおじいちゃん先生で、いきなり直説法単純過去や接続法半過去の活用を言わされたりした。昔ながらのディクテなどもあった。
このクラスがTest d'acces au DALF の準備クラスをかねていることは途中で知った。この学院の修了試験がそのテストをかねていたのである。受験料が無料だった(授業料に含まれている)ので受けることにした。そのテストがどういうものかも知らずに……。そしてそれは日本に来てDALFを受けてみて気づいたことに、DALFの受験準備クラスにもなった。
授業を受けて特に役だったのは、作文(週末に宿題として出された)の作り方、レジュメの切り方である。
◆ connecteurを使った課題作文(まずは200~250語)
Desormais, de nos jours, certes mais, non seulement mais encore,
en revanche, de plus, enfin, donc を必ず使うこと。私は2番目のL'organisation
du travail a temps partiel est-il souhaitable? を選んだ。その添削ずみ作文は、Petits
ecrits en francais :
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/petitsecritsfr.html
◆ レジュメはle monde の記事が多かった。
◆DALFの試験の内容は:「ボケ作日記」(2002,8.26.)(8.29)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/cahier2002.4.html
とくに、2002年のB4 について触れておこう。
テーマ:Les 35 heures de travail hebdomadaire et la relation des Francais
au temps libre.
2) Centre-Alliance d'OsakaのDALF受験準備クラスでの体験(2002年秋学期)。
Olivier Birmann の授業。彼はle monde が大好きで、ほとんどそればかり読んでいた。le monde
のもってまわった言い回しはフランス的な文章の作り方の一つの典型と思えるが、受講生たちはひーふー言っていた。私はおもしろかったけれど……。私にとって、不得手な「聞く」「話す」能力を開発したかったので、話し好きのビルマン先生の授業はとてもよかった。書く方は、夏期講座で準備ができていると考えていたし、職業柄、またフランス語学習の来歴からしてそれほど無理はない。ただ、口頭理解とエクスボゼが心配だった。エクスボゼは下書きが可能と言うことを知ってだいぶ気が楽になった。
3) インターネットを使った受験対策。さまざまなサイトの活用。
・ 筆記対策。「長文読解」の必要性。文学テキストに限らず、新聞・雑誌などの記事も読む。
lemonde http://www.lemonde.fr/に限らず、la liberation http://www.liberation.fr/,
le parisien http://www.leparisien.fr/home/index.htmなどたくさんある。
DALFに出題されるのは、le monde, le nouvel observateur, l'express などが多い。
・ ヒアリング対策。france2.fr/ , rfi.fr/, canalplus.fr/, など。
「僕のおすすめリンク集」:
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/myfavorite.html
4. la Francophonieの思想を批判的にとらえることは可能か。la Francophonieの功罪。
フランコフォニーとは、フランス語の使用を何らかの形で共有する世界52カ国の国際運動を指すもので、1970年3月20日にニジェールの首都ニアメにて結成された「文化技術協力機構」(現在の「フランコフォニー政府間機構」の前身)がこの運動の母体となり、その設立を記念して、世界各地でフランコフォニー・フェスティヴァルが開かれ、フランス語の普及と文化の多様性が訴えられています。(SJDFのHP掲載の2003年フランコフォニー・フェスティバルの案内)
現在、フランコフォニーの顕彰が叫ばれる背景には、"le refus d'un modele uniforme de
bilinguisme"(二言語併用という画一的モデルの拒否、つまり世界いたるところでの「母語」プラス「(外国語としての)英語」ですまそうという画一性)への反発)がある。世界の世界化(mondialisation)が、アメリカ的なグローバル化(globalization)として進行しつつある(これがそのままうまくいくかどうかは疑問ではあるが)ことへの反発である。
現在、フランコフォニーが「多言語主義・多文化主義(文化の多様性)」に基礎づけられて主張されることの根拠はそこにある。「フランス語を話す世界中の人々の国際運動として、フランコフォニーの国際機関の設立は、1970年のことであったが、そもそも「フランコフォニー」という語が語り出され、その思想的基盤(「文明化の使命」「言語同化主義」「フランス人の創出」)が明示化されたのは、第三共和制の「植民地的拡大政策」の時代、1880年代のことであった。
このことの意味は何か。
私は「帝国主義の復活」などという単純なことをいおうとしているではない。そうではなく、この「二つのフランコフォニー」がまったく別なものではなく、むしろある一つの事柄の表裏一体のものではないだろうかということを検証することにある。しかしそれに触れるには問題が広がりすぎたようだ。
ただ、フランス語の教師であるということ、さらにDALF 受験を強くすすめるということ、そうするとき私たちは、Alliance
Francaise のフランコフォニーの運動と無関係ではいられないということだけは押さえておく必要があるだろう。
Googleで「Francophonieとは」検索すると61件ヒットする。
http://www.google.com/intl/ja/
◆西山教行「フランス語は「フランス人」を創出するか」in『言語帝国主義とは何か』(藤原書店、2000.9)
◆三浦信孝『フランス第三共和政の言語同化政策』(1999.10)
http://www.mfj.gr.jp/colloque_9910/resume/Miura.html
ここまで----------
その他に参加したアトリエは、初日の二十七日は、大久保政憲「OPUSに関連づける単機能の練習問題パターンの紹介」、Michel DRIGUES-SUGIMOTO "L'utilisation de PowerPoint pour les cours de debutants a l'universite" だった。ともコンピューターを活用した授業の紹介。二日目十八日は、KOMATSU-DELMAIRE Sachiko "Classe de francais intermediaire avec Internet", 高岡優希「7年目のシャンソン講座(歌うフランス語講座)と新しい中級への試み」、川勝直子「高校におけるフランス語教育」。1限目はコンピュータ(PowerPoint)を使ったお茶の水女子大での実践例で、とても丁寧な授業展開をしているようで感心もし、また、PowerPoint についてもだいぶわかってきた。3限目の川勝先生のアトリエには高校の先生が多数参加していた。その熱心さに感動した。
来年もまたランコントルでお会いしましょう。
フランス語教育 2003.3.21
ランコントルの公式サイトに物心両面でご援助をいただいた機関への謝辞と委員の名前、写真をアップしました。ご覧ください。日本語版やフランス語版のトップページではなく、ほんとのトップページです。アクセスカウンターのついているindexのページ。
http://rpk2003.hp.infoseek.co.jp
フランス語教育 2003.2.3
ランコントルの参加申込書の郵送を先週の土曜日に行いました。
もうそろそろ着いている方もいらっしゃると思います。今年は舞子ビラではなく、大阪の市内まっただ中でやることになり、今までとおもむきがだいぶ変わると思います。例年同様よろしくお願い申し上げます。
まだまだ、アトリエの時間割の決定とか、出版社の展示の手配とか、機材の調査とか、プログラムの作成・印刷・発送などなどまだまだやることがたくさんある。お手伝いのできる方を募集していますから、できる方はご連絡ください。
フランス語教育 2003.1.25
ランコントルの参加申込書ができました。ホームページからダウンロードできます。また、アトリエ担当者・論文執筆者向けのレジュメの書式も同様にダウン・ロードできます。
http://rpk2003.hp.infoseek.co.jp
ふっ、やっと終わった。テストの採点が山とたまっているので、今日はある程度採点してからと思っていたのだが、前事務局長にせかされて、今日の朝から午後までかかってなんとか夕方の六時にホームページにアップできた。それとは別の流れの仕事だが、アトリエ担当者にレジュメ執筆の案内を出すのに手間取った。
34名のアドレスをアドレス帳に打ち込むのに時間がかかる。一度メールをもらった相手だと、そのままアドレス帳に取り込めるのだが、ちょうど半数はファクスの申込書からなどなので、打ち込まなければならない。しかもこれが読みにくいときている。
さらにメール・アドレスのない人もいる。。またアドレスの読み違いで返送されたメールもある。そういう人にはファクスで送ることになる。まだまだデジタル生活は遠い世界かもしれない。
しかし書式や申込書などをホームページに載せておいて、各自でダウンロードできるようにしておいたので、ずいぶんと便利になったはずだ。それ一本でいければ郵送料と郵送の手間も省けてだいぶ楽になると思うのだが、まだまだ当分、郵送を省くわけにもいかず、楽になりそうもない。
郵送は来月の1日です。インターネット接続環境になく、郵便だけの人はそれまでしばらくご辛抱ください。
フランス語教育 2002.12.02
ランコントルのホームページアドレスは以下の通りです。詳しくはこちらを。
http://rpk2003.hp.infoseek.co.jp
ただいま、アトリエ担当者・論文執筆者を募集中です。
何か質問などがあれば、個人宛に直接メールをくださっても構いません。
フランス語教育 2002.11.13
ランコントル2003は、三月二十七日と二十八日に、大阪日仏センター=アリアンス・フランセーズで行われることになりました。舞子ビラとは違う雰囲気なので、今までとはまた違う新しいものが出てくるかもしれません。システムも大きく変わる予定。期待しましょう。
アトリエ担当・論考執筆のお願いは、11月17日に獨協大学で開かれる Journee Pedagogique de Dokkyo (フランス語教授法研究会)で「大々的に」配布されるとともに、近日中にランコントルのホームページにアップします。
フランス語教育 2002.10.27
バカンスもあけ、来年三月のランコントル2003は、すでにその準備に入った。10月19日の委員会では、三役も決め、テーマなどを決めた。会場のことがペンディングになっているので、11月9日に正式に決めることになる。
今年から僕が管理人になって公式サイトを立ち上げる予定なので、詳しいことの速報はそちらで見られるようにするつもりです。ホームページについても細部が決まっていないので(というかコンテンツが集まっていないので)まだ、一般公開していません。乞うご期待。
フランス語教育 2002.7.22
ランコントルの論文集『Renconres 16』を、7月の6日に発送しました。って、半月も前だから、とっくに着いてますよね。報告が遅れました。ランコントルのサイトにものせる予定ですが、これは九月になります。楽しみにお待ちください。
もうすでにバカンスが始まっていますので、頭も身体も働きません。しっかり休みましょう。Bonnes vacances !!
フランス語教育 2002.5.12
ランコントルが終わってから最初のコミテが昨日あった。百名を越す参加者があり、「成功」という報告。ただアンケートを出した人が48名しかいなかったのが気になる。
それと精細な会計報告が出なかったのだが、十万円ほどの赤字になりそうだ。賛助金が、去年は五十五万あったのだが、今年は三十九万。これが響いている。
今年からISSNを取得した論文集にも八編(ないしは九編)が集まった。僕も論文を書いている。またコミテとして「初稿」論文を読んでコメントを送った。直接僕宛の返答はなかったが、執筆者はそれを何らかの形で生かせてもらえたと思っているけれど、どうなんだろうな……。
すでに来年に向けての活動が始まっているのだが、Secretaire General と Adjoint と Tresorier のなり手がいない。これって三役の全部だな。どうなるんだろう。次回は六月十五日。そのときに決まると思うけれど……。僕がもう少しフランス語がぺらぺらに話せたら、なんの躊躇もなく引き受けるのだけれど、どうもねえ。
終わってから、粕谷さん、伊川さん、Georgette と近くの焼鳥屋でまずは「祝杯」。あとから、Adriana と横山さんが合流。「播鳥(ばんちょう)」という新しくできた店で、おいしい焼鳥屋だった。Gergette の提案。彼女はほんとに気が利く。うれしい。
フランス語教育 2002.4.08
三月二十八、二十九日にランコントルがあった。一日目にアトリエを担当した。今年は二日間でフルの六つのアトリエに参加した。
二十八日の1限目の僕のアトリエには二十名もの方が参加してくれた。ちょっと「暗いテーマ」で終わってしまったのが、残念だった。再履修科目に変わる三百名の「中規模講義クラス」というのがショックだったようだ。以下にその原稿と資料をアップします。
2限目は堀茂樹先生の「企画『現代フランスを理解するためのキーワード50」。いきなりフランス語で通されたのでびっくりした。直にお会いするのは始めて、もっと若い方と思っていたのだが、ちょっとびっくり。夜の懇親会で直にお話をする機会を得、アゴタ・クリストフやダンコースの話、さらにフランスの核実験などについて話すことができて嬉しかった。
3限は西山教行先生の「ヨーロッパでは言語教育・学習をどのように統合しているか?」。ところどころで目にしたことのある方だったのだが、あまりの若いのでびっくりした。懇親会で僕のホームページの話題から話しかけられたので、嬉しいような、恥ずかしいような感じの会話を楽しんだ。
二日目の1限は釣馨先生の「フランス文化のグローバル化と世代間ギャップ--われわれは同じフランス語教師なのか」。去年も出た。相変わらず「国民国家批判」の論調なのが気になる。それで済むもんじゃないよねといったら、その先が問題なんです、とは言っていたが……。
2限は菊地歌子先生の「タンデム・コミュニケーション・クラス設立元年」。菊地先生には今年から関大でお世話になる。フランス人ネイティブとのリレー方式の授業をどのように効率的に組み立てていくかがテーマであった。
3限は毎年「恒例」となったかの感の粕谷先生とジョルジェット川合先生の「フランス語教育のアピールII」。フランス語教育の必要性をどのように訴えていくかについての討論会。フランス語と日本語の混じった熱い討論であった。まあ、結論は出ない。
-------- ここから -------------
Rencontres Pedagogiques du Kansai 2002
異文化理解としての外国語学習の陥穽
−立命館大学(フランス語)の場合−
Jiro NOZAKI
野崎次郎
神戸女学院大学 Universit Kobe -Jogakuin
jiro@ma1.seikyou.ne.jp
0) はじめに
異文化理解と外国語学習とは不可分のものではあるが、前者を強調するあまり後者がおろそかになるという傾向がすでに一部の大学で出始めている。両者のバランスをどうのように取ったらいいのか討論してみたい。
まずなぜ立命館大学なのかについて。
1) 私は今年度ちょうど、立命館大学で以下のような「文化と言語」の関わり方について検討しやすい、典型的な三通りのケースに当たるクラスを担当することができた。
2) 立命館大学の「教学改革」は他の私立大学の「改革」に大きな影響力を持っており、先例となりやすい。例えば、授業アンケート、セメスター制、半期十五週完全実施など。
3) 語学教師は与えられカリキュラムの中で授業に最善を尽くすだけであるというのはその通りではある。とくに非常勤講師の場合は「教学政策」(カリキュラム決定)に関与できない。とはいえ、やはり「言語政策」を無視して自分の言語教育を考えていくことはできないのでないかという思いがある。言語教育は言語政策と切り離して考えることも実践することもできないと思う。
では、以下の三通りのケースで検討を加えていきたい。三通りとは、(1) フランス語をはじめて学習する「初級の学生」、(2) すでに一年以上学習している「中級」の学生、(3) 最後に「初級」の単位を落とした「再履修の学生」である。それぞれの場合における問題点を摘出しながら、その根底に流れる問題点、解決の方向を探っていきたいと思う。
1) PANORAMA 1 における civilisation のページの活用(初級の学生)
立命館大学(法学部)には、一年間週四コマ、フランス語を履修する「初修重視」コースがある。私はその四コマのうち一コマに当てられている「総合」クラスを担当している。「フランスの文化」面に重点を置きながら、文法や文章読解などの練習を行うというコンセプトのクラスである。まず、このクラス実践の報告をしながら、問題点を討論してみたい。
PANORAMA 1 をテキストとして採用されるいたった経緯。フランスの香りのするテキストを使ってみよう。
このクラスのねらい。資料 (1) の冒頭の6行。
実際の授業例。
1) p.10-11 他人の紹介、自己紹介(これはごくふつうの最近の教科書的、写真入りも含めて。このテキストのはむしろ日本になじみが薄い人たち。)
2) p.13 カフェのオープンテラス。p.21 パニーニ屋さん。最近のファスーフード化の現象。
3) p.39 オタンティークなフランスの時刻表を見ながら時刻表現の練習。
4) p.47 オタンティークなフランスの地図を見ながらの道順のいい方の練習(実際はできなかった)。すべての道に名前が付いている。碁盤目状でない。道順の説明が「関西風」と違う、などなど。
『フランス語2001』との対比。
学生の意識調査として、最終授業時に取ったアンケートをご覧ください。
2) 「異文化理解セミナー」と短期留学(中級の学生)
立命館大学では、全学の学生対象に「異文化理解セミナー」という科目が設置され、要卒単位として単位認定される。「事前講義」、「短期留学」(五週間)、「事後講義」とフランス語・日本語のレポート提出からなる学生参加型のセミナーである。「異文化理解」の授業のあり方として理想的な形式を備えていると思えるが、実際は、さまざま問題を抱えている。それを明らかにしてみたい。
立命には「副専攻」というものがあり、このクラス選択者の八割方は「副専攻」でフランス語コースをとっている。立命でフランス語を積極的に学ぼうという学生集団である。したがってここでの経験を直ちに一般化はできないが、モティべーションの高い、「中級の学生」の例として考えていいだろう。
学年はおもに二回生。二十五名の学生を書類審査で選抜する。土曜などの「正規の」授業のない時に七コマの「事前講義」(フランス語関係)。二コマの「事後講義」。五週間の現地の授業、遠足など。フランス語のレポート。日本語のレポート。これらで単位認定を行う。
このセミナーはトータルに考えると、「言語と文化」を統合的に進められる理想型を備えていると思える。しかし、実体はあまり高望みすると「失望」するかも知れない。これは最近の学生の「レベル」と関連している。高校生並み?
そしてもう一つ重要なことがある。これは最近の学生の「異文化」への態度の変化に見られる。「異文化理解」というはやりの科目は「日本文化論」のはやりと連繋しているが、単純化すると、根底に流れているのは「日本文化優越論」であろう。
かつて「外国文化」を学ぼうとしたときには「追いつき追い越せ」的なコンプレックスにせき立てられて、「必死になって学ぶ」という姿勢であったが、最近の学生はむしろ「発信」の方に興味がある。「異文化理解」とは「異文化」から「理解」されることというとらえ方の方に重点があるように思える。
アンケート結果をご覧ください。
3) 「語学再履修クラス」の廃止と振り替え科目としての「中規模講義クラス」(異文化理解系)の設置の動き(2002年度新一回生から)
立命館大学では、語学の単位不認定者は通常クラスと別個に設置された「再履修クラス」で再履修することになっている。認定ラインは「かなり易しめ」。それが2002年度入学生から「異文化理解系・中規模講義クラス」への振り替え履修でもって、「語学再履修クラス」にかえようという動きがある。「ダブルスタンダード」化の進行として、この動きの持つ問題点も洗い出してみたい。
「再履修クラス」は「正規のクラス」が二十数名編成にたいして、クラスによるばらつきもあるが、三十から五十名前後である。熱心な学生も何割かいるが、フランス語を「学習する」ことに困難を覚えている学生も数多い。
したがってテキストは易しめのものを選び、テストも易しめにならざるを得ない。緩やかな「ダブルスタンダード化」(合格基準の二重化)。
ところが近年「語学学習困難」な学生の割合が増大してきたことにより、語学は簡単なところでおさえ、「文化面」を教えることで振り替えようという方向が示されてきた。それが「中規模講義クラス」(三百人前後)への振り替えである。これはかなり激しい「ダブルスタンダード化」と言えよう。
「「中規模講義+自習+テスト」という再履修の新しい形態は新1回生が対象で,2002年度2回生以上は従来の再履修で開講する ・英語は「再履修の新しい形態」を2002年秋より導入
・その他の語学は「再履修の新しい形態」を2003年春より導入 」(非常勤講師組合ホームページ)
外国語学習は異文化理解のためのものである。だとすれば、語学に時間をかけるよりも、文化理解に時間をかけた方が有効であるという「正論」がまかり通る。すべての学生が語学に向いているわけではない、というわけだ。その「正論」が「語学不要論」へとすり替えられる。なんともはや。この「正論」にどう立ち向かうか。
さらに(私にとって)悩ましい問題がある。それは現在3クラス持っている「再履修クラス」が減っていくということではなく、その振り替え科目の担当者に私が当たりそうであるという皮肉な現実なのである。私はそれを受けるべきか、受けるとしたらどのような授業が可能なのか。
4) まとめ
「言語と文化は一体である」というのは当然のように見えながら、当該言語を学習せずに「異文化理解」を行うという動きもあるので、実際のところ、さまざまな問題を含んでいる。私たちはアジアの文化を理解するとき、アジアの言語を学習しているであろうか。ドイツやロシアの文化を理解するとき、その言語を学習しているであろうか。すると、その言語の学習をしなければ、その文化の学習はできないというのは、一面で、過度の主張であるということになる。
ではなぜ、フランス文化を学ぶのにフランス語の学習が必要であるということになるのか。そこには、「より深く」学ぶには、という限定が前提にある。なぜ「フランス文化」だけが「日本の学生」にとってとりわけ必要なのか。フランス語やフランス文化が他の言語や文化と並ぶ「そのうちの一つ」にすぎないと思われている「現在の日本の学生」にとっては、「フランス文化・フランス語の特権性」が納得できるものとして提起されない限り、当該言語(フランス語)への学習モチーフは根底から基礎づけられることはないだろう。
資料1
総合1(二セメ)授業内容についてのアンケート
2001.12.20
(野崎次郎)
今年度から立命館大学法学部の初修外国語重視コース(一回生の後期から授業開始)では、Panorama 1 というフランスで作られた教科書を実験的に使い始めました。基礎・展開クラス(週に二コマ)では対話編と文法編を、総合クラス(週に一コマ)では語彙編と文化編を扱うという分担でした。(別にネイティブの先生による表現クラス(週に一コマ)があり、二回生前期の三セメまでこのままの時間配分)
総合クラスでは、基礎・展開クラスですでに学習した事柄に基づいて、@文法の復習問題、A語彙を増やす練習問題、B発音や聞き取りの練習、C写真や資料を見ながらフランス文化特有の事柄について学ぶことなどを主眼に授業を行ってきました。その成果を学生さんたちの目からどのように見えたか調査したいと思います。
総合クラスの授業内容についてのアンケートにご協力をお願いします。なお、このアンケート結果は今後の総合クラスの授業改善のために役立たせてもらいますとともに、2002.3.28~29 に舞子ビラで行われる「関西フランス語教育研究会」での発表資料としても活用させていただきますので、あわせてご了承ください。
1) 週に四コマの授業が現在のように分担されていることについてどう思いますか。
1. とてもよい 2. かなりよい 3. わからない
4. かなりわるい 5. とてもわるい
2) 「わるい」と答えた方に。その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください。
3) 半期のフランス語の授業を受けて、フランス語やフランス文化に対する興味は高まりましたか。
1. とても高まった 2. かなり高まった 3 わからない
4. 興味をかなりなくした 5. 興味をすっかりなくした
4) 「興味は高まった」と答えた方に。それはとくにどのクラスの授業を受けてですか。
1. 基礎・展開クラス 2. 総合クラス 3. 表現クラス
(理由
5) 「興味をなくした」と答えた方に。それはとくにどのクラスの授業を受けてですか。
1. 基礎・展開クラス 2. 総合クラス 3. 表現クラス
(理由
6) 総合クラスの授業内容についてお聞きします。@ABCの時間配分について
1. とてもよい 2. かなりよい 3. わからない
4. かなりわるい 5. とてもわるい
7) 「わるい」と答えた方に。それは、どんな内容・テーマの時間配分が多すぎた(または少なすぎた)のでしょうか、具体的にお答えください。
8) 教科書にフランスで作られた(日本語の入っていない)Panorama 1 を使ったことについて
1. とてもよい 2. かなりよい 3. わからない
4. かなりわるい 5. とてもわるい
9) 「よい」と答えた方に。どのような点が「よい」と思えましたか。
10) 「わるい」と答えた方に。どのような点が「わるい」と思えましたか。
11) 総合クラスの授業では「フランス語」の練習時間を減らしてでも、「文化の話」にできるだけ触れるように注意を払って来たつもりです。そのことについてお聞きします。「文化の話」は、
1. とてもおもしろかった 2. かなりおもしろかった 3. わからない
4. あまりおもしろくなかった 5. ぜんぜんおもしろくなかった
12) 「おもしろかった」と答えた方に。どのような点がおもしろかったですか。記憶に残っている話を具体的にあげてください。
13) 「おもしろくなかった」と答えた方に。どのような点がつまらなかったですか。また、その分の時間を何に当てればよかったと思いますか。
14) その他ご自由にお書きください。
(ご協力ありがとうございました)
資料2
総合1 2001年度(二セメ)アンケート結果 (25名)
1) 四コマに分けることについて
1. 1 (4%) 2. 10 (40%) 3. 12 (48%) 4. 0 (0%) 5. 2 (8%)
2) 悪い理由 ・先生によって説明の上手さが異なるので、わかりにくかった。
・理解しにくい。とくに「総合」がひどすぎた。
3) 興味高まったか、なくしたか
1. 2 (4%) 2. 16 (64%) 3. 4 (16%) 4. 0 (0%) 5. 3 (12%)
4) どのクラスで高まったか?
1. 3名 2. 7名 3. 8名 無回答 7名 22名中(複数回答あり)
高まった理由・フランスの文化や生活背景など教えてくれたから(総合)
・具体的なエピソードをまじえて話してくださるので面白い(総合)
・授業内容がそうだから(総合)
・野崎先生の教え方がわかりやすくてよかった(総合)
・フランスの文化などを写真のみではあるが知れたから(総合)
・フランスの文化とかも教えてもらえて面白いから(総合)
・日常的な会話で使うような表現の学習だったから(表現)
・フランス人と接して(表現)
・発音とか表現の練習をすると、ちょっとずつ身についているという実感が出て、やる気が出てくるから(表現)
・フランス人の雰囲気や気質、人間性などが、先生やビデオを通して興味がもてた(表現)
・写真やビデオ(基礎展開)(表現)
・丁寧に教えてくれたから。また説明がわかりやすい(基礎展開)
・テキストからいろいろ学んだ(基礎展開)
5) どのクラスでなくしたか?
1. 0名 2. 1名 3. 2名 無回答 0名 3名中
なくした理由
・全く学生のことを考えていない。自分のペースでやればいいというものではない(総合)
6) 「総合」の@ABCの時間配分について
1. 1 (4%) 2. 10 (40%) 3. 12 (48%) 4. 1 (4%) 5. 1 (4%)
7) 悪い理由 ・道の尋ね方、値段の尋ね方をもっと詳しくやりたかったです。あとはよかったと思います
・説明が不足している。どこをやっているのかわからないことが多い
8) フランス製の教科書について
1. 3 (12%) 2. 4 (16%) 3. 7 (28%) 4. 8 (32%) 5. 3 (12%)
9) よい理由
・見た目がきれいだし、フランスの雑誌を読んでいるようで興味がわく点と全部フランス語というだけでやる気が出る点
・言語学習において、その言語以外は必要ないと思われる
・授業に集中するから
・写真など
・べつによいというわけではないが、日本語が入っていないことへの抵 抗は全くなかったから
・日本語が書かれていたら、どうしてもそっちに頼って自分で調べようとしなくなるから
・下手な日本語に頼らなくて済む
10) 悪い理由
・分からなくなって後で自分でその部分を勉強しようと思って本を開いても、その説明に書いてあるページが読めないので全く勉強にならなかったので
・自習したいときに日本語記載がないので意味や問いかけが分からないと全くやる気が出なくなり、もういいと思う。
・最初からフランス語が分かるわけではないので、日本語の説明がある方がわかりやすい
・とっつきにくい
・日本語訳を授業だけではよく理解できない。先生が日本語訳を配ってくれれば足りると思う
・すべてがフランス語であるので読む気がなくなるときがある
・問題の意味など分からなさすぎる。索引をひいても意味が分からない
・めんどう。辞書を使わないといけない
・問題文や文法の説明までフランス語で書いてありとても使いづらい
・練習問題の問題文の意味が分からないため、予習するときに困る。問題文を訳すところから始めなければならない
・わかりづらい
11) 文化の話は?
1. 3 (12%) 2. 12 (48%) 3. 8 (32%) 4. 0 (0%) 5. 2 (8%)
12) 面白かった点は?
・知らなかったことを教えてもらえてよかった
・ファーストフードレストランが普及してきた話。現在の状況が分かる点が興味深い
・祝日
・駅の話
・フランス人は食事の時間に正確なこと
・フランス人の気質
・フランスに行ったことがないので先生が実際にいったときの話が面白かった
・文化や習慣の日本との違い
・フランスの鉄道に関した話(全く知らなかったことを知ることができた)
・今日のフランスの休日の話。うらやましいと思った。
・地下鉄とか電車の話。呼び方(名前)が違うと聞いて、まぎらわしいけど、知らなかったのでおもしろかった
・誕生日
・フランスの食事時間について、ゆっくり食べるという話
13) つまらなかった点は?
・もっと基礎的なことをみっちりとやってほしかった。中高六年間やった英語でもしっかり完全にできないのにまして全く新しい語学においてはいうまでもない
・基礎クラスの方が文化についてもよく分かった。先生の準備不足
14) その他ご自由に
・発音指導など丁寧で楽しいです
・総合クラスの授業は全部の授業の中でも一番集中できたし、野崎先生がわかりやすく教えてくださるので、とてもよかったです
・文化の話は少なかったように思う。もう少し増やしてほしい。
・よく聞くけど意味を知らない仏語とかの意味がすこし分かって楽しい。
・楽しかったです
・基礎で消化不良があった部分はつらかった
・もっと復習を増やしてほしい
資料3
「異文化理解セミナ」(事前講義)についてのアンケート
2002.1.16
(野崎次郎)
「異文化理解セミナ」(フランス語圏)の授業内容(事前講義)についてのアンケートにご協力をお願いします。なお、このアンケート結果は今後のクラスの授業改善のために役立たせてもらいますとともに、2002.3.28~29 に舞子ビラで行われる「関西フランス語教育研究会」での野崎次郎の発表資料としても活用させていただきますので、あわせてご了承ください。
1) 事前講義は、担当者の全般的な話、学生によるグループ発表、前年度学生との交流会という三本立てでしたが、このような組み立てついてどう思いますか。
1. とてもよい 2. すこしよい 3. わからない・ふつう
4. すこしわるい 5. とてもわるい
2) その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください:
3) 事前講義は派遣先での研修に役立つと思いますか。
1. とても役立つと思う 2. すこし役立つと思う 3. わからない・ふつう
4. あまり役立たないと思う 5. まったく役立たないと思う
4) 「役立つ」と答えた方に。それはとくにどのクラスの授業を受けてですか。複数回答可。
1. 担当者の話 2. 学生のグループ発表 3. 前年度学生との交流会
(その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください:
5) 「役立たない」と答えた方に。それはとくにどのクラスの授業を受けてですか。複数回答可。
1. 担当者の話 2. 学生のグループ発表 3. 前年度学生との交流会
(その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください:
6) 事前講義を受けて、フランス語、フランス文化やフランスでの生活に対する理解は深まりましたか。
1. とても深まった 2. すこし深まった 3 わからない・ふつう
4. あまり深まらなかった 5. まったく深まらなかった
7) 「深まった」と答えた方に。それはとくにどのクラスの授業を受けてですか。複数回答可。
1. 担当者の話 2. 学生のグループ発表 3. 前年度学生との交流会
(その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください:
8) 「深まらなかった」と答えた方に。それはとくにどのクラスの授業を受けてですか。複数回答可。
1. 担当者の話 2. 学生のグループ発表 3. 前年度学生との交流会
(その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください:
9) あなた自身、事前講義に積極的に関わったと思いますか。
1. とても積極的 2. すこし積極的 3. わからない・ふつう
4. すこし消極的 5. まったく消極的
(その理由はなんでしょうか、具体的にお答えください。
10) あなたにとって「異文化理解」とはなんでしょう。一行で書いてください。
11) あなたにとって「フランス語」とはなんでしょう。一行で書いてください。
12) あなたは「異文化理解」と「外国語学習」との関連について(フランス語の場合、その他の言語の場合)どのように考えますか。数行で書いてください。
13) その他ご自由にお書きください。
(ご協力ありがとうございました)
資料4
異文化理解2001 アンケート結果(抄)
10) あなたにとって「異文化」とは?
・自文化理解 ・カルチャーショック ・異なる生活をする人々とのふれあい
・自分が広がる ・自分へのチャンス ・偏見を持たずにものごとを見ること
・自分と違うことを認めること ・外国の人々と関わり合うこと
・その国に行って体験してみてはじめて分かることだと思う
・国際間のコミュニケーション ・新たに知人を作り交流を深めること
・自国の文化も認識しつつ相手の国の文化にも触れること
・新しい世界 ・他者理解と自己分析 ・自文化理解および自分理解
・自国の文化を理解した上で、相手の文化を理解すること
・異文化にふれあうことで日本と比較して物事を捉えること
・同化、融合と発展(相乗的なものとして) ・異文化の人とのコミュニケーション、体験
11) あなたにとって「フランス語」とは?
・フランス文化を理解する上で必要なもの ・第二国際語 ・愛すべき言語
・フランス語を話す人々にとっての当たり前の日常言語 ・興味の対象 ・命
・習得したいもの ・今後も学んでいきたい言語 ・異文化理解の手段 ・道具
・フランス語を母国語とする人とのコミュニケーション手段 ・難しい ・楽しみ
・是非身につけたい言語 ・話したい言葉 ・将来のための手段 ・一つの言語
・うまくなりたい ・一番関心があり、自分のものにしたいもの ・今一番興味深い勉強
12) 「異文化理解」と「外国語学習」の関連
1) 外国語を学習した後、実際に使用するにはその国の文化を理解していなければ、言葉が理解できたとしても、コミュニケーションをはかることはできない。
2) 外国語学習でしゃべれるようになれば異文化理解には大いに役立つ。現地の人と話すことが理解への第一歩。
3) 外国語学習はその国を理解しようとすれば、言語に文化が反映している面もあるので無視できないもの。
4) 言葉を学ぶことによって他の文化とのコミュニケーションが可能になる。
5) 外国語の学習はどの言語も異文化理解のためのツールである。
6) はじめて、海外で語学を中心に学ぶが、言語ももちろんだが、興味の輪を広げるチャンスがたくさん含まれていると思う。
7) 異文化を理解するための一つの手段が、外国語学習だと思う。
8) 外国語学習をする上で、異文化理解は欠かせないと思う。
9) とても密接で切ろうとしても切れないような関係だと思う。
10) 外国語は異なる文化を理解するための手段、道具であり、異文化理解は外国語習得のために大きなきっかけであると思う。
11) 異文化理解のためには語学が必要であると思う。表面的にいける部分はあると思うけれど、やっぱり考えていることなどは会話を通してでしか分からないと思う。
12) 外国語学習は異文化理解を助けると思う。また、その逆もあり得ると思う。
13) 言語自体がその国の文化であるし、異文化を理解するにはそこの言葉でないと伝わらないこともある。
14) 異文化理解をするためには、やはり外国語学習が必要です。また、外国語学習をすることで、異文化理解をする機会があります。
15) 外国語学習は概して「頭の中の外国人」にたいして行われるもの、異文化理解は「実在している外国人」にたいして行われるもの。
16) 外国語学習は異文化理解の一部。外国語を学習しただけでは、異文化を理解したとは言えない。
17) 言語と文化の中心
18) 外国語学習をたくさんしても異文化理解はできないと思う。どの言語についても言えることだと思うが、ふたつの間に自分のその文化への興味がないことには始まらない。
資料5
●事前講義 第二回 2001. 11. 3 (土)二限 (BKC)
1. テーマの選定における最近の学生の傾向
天下国家を論じる「大問題」(例:知識人と革命、歴史と主体性、EUの歴史と今後、移民問題)と身近な「小問題」(例:モードの歴史、フランス家庭料理、フランスのピカチュー、フランスのラーメン屋、フランスのマクド)
今まで大学という場は古典的な「大問題」を扱うとされていたが、「消費社会の進展」「大学の超大衆化」とともに見やすい「小問題」が流行。
サブカルチャーを学問対象とする「カルチュラル・スタディーズ」の興隆
多様性とたこつぼ化(オタク化) 共通の話題の欠如
2. アメリカの同時多発テロと「異文化理解」(これは「大問題」の例かな?)
テロを受けたときのブッシュ大統領の即座の「報復発言」「十字軍」
「アメリカの正義」と「日本の後方支援」 Pax Americana
「文明の衝突」(ハンチントン)(「ポスト冷戦」の世界対立は?)
「異文化理解」は可能か? 「理解」ということ 「オリエンタリズム」
「発信」と「受信」(押しつけ、文化的優越感、文化的コンプレックス)
パレスチナ問題・中東問題に対するヨーロッパとアメリカの温度差
3. テーマ設定、インターネットを使った検索
Google, goo, Yahoo! などの検索サイト、ネット上の新語辞典、百科事典
フランス語のサイト(文字化け)(文字コードセット)
4. 耳慣らしにストリーミング放送を視聴する。フランス語の新聞、雑誌のサイト。
Europe 1, France 2
Paris Match, Liberation
5. ホームページでフランスの写真を見る。
Galerie Jean-Luc, Galerie Jean-Luc (Annexe)
6. フランスに関するグループ発表のテーマと日割りの決定。
●異文化理解グループテーマ一覧2001
1. フランスにおける建築とその歴史 (11/24)
2. 日本とフランスの家庭料理の比較 (11/24)
3. フランスにおけるカフェ文化 (12/1)
4. フランスの食文化 (12/1)
個人:物語における "fragile" (12/1)
資料6
異文化理解テーマ2000 (日本語でのレポート)(提出後)
1) フランス料理
2) 人権を見つめる
3) フランスがサッカーに強いわけ
4) ヨーロッパにおける移民問題-移民と失業の関連性-
5) フランスのジャーナリズムとメディアにおける日本文化
6) 結婚と同棲(日仏比較)
7) フランス人の日常生活における美術観と美的感覚について
8) トゥールーズ・ル・ミラーユ大学と立命館大学の学生に対する意識調査(結果と考察)
9) トゥールーズと今日との町づくりについて
10) フランス移民,フランスの料理の歴史
11) 食卓の歓び
12) フランスの家屋、日本の家屋
13) フランスと日本の家族
14) 都市改造計画-グラン・プロジェ-
15) 食文化から見るフランス
16) 異文化を受け入れる要素
17) 西欧と日本の飲食文化比較
18) 自動車がもたらすもの
19) フランスの政治体制
20) ユーロ登場
21) フランスから見たユーロの現状
22) フランスの男女関係
異文化理解テーマ2001 (日本語でのレポート)(渡仏前の予定)
1) 日本の少年法政とフランスの少年法制の比較
2) ユーロの抱えている問題と今後
3) フランスのお菓子と日本のお菓子
4) フランスにおける女性の社会的地位 フランスにおけるジェンダーの差
5) 日本とフランスに見るファッションの違いについて
6) 印象派の作品 生活の中で芸術をどのようにとらえているか
7) 町作りと市民の関係(トゥールーズと京都の比較)
8) トゥールーズにおける建築物とその歴史
9) フランス人のコミュニケーションの取り方の特徴
10) 芸術に対するとらえ方の日仏の違い
11) フランスと日本の家庭生活の比較
12) フランスで日本の漫画、アニメ、ゲームがなぜ人気があるのか
13) カフェに対する意識の日仏比較
14) 日本におけるフランスの認識とフランスにおける日本の認識の比較
15) 日本とフランスのスーパーマーケット比較
16) 日本とフランスの大学生の生活スタイルの比較
17) トゥールーズの歴史について
18) 同時多発テロのフランスでの影響について
19) フランスの大学生と日本の大学生の生活比較
20) 最近のフランス人の学生について
21) フランスの都市計画について
------------ ここまで -----------
フランス語教育 2002.3.11
おとといランコントルの実行委員会があり、プログラムの発送を行った。
印刷、裁断は粕谷さんが金沢で行い、宅配便で大阪に送られてきた。人海戦術(八名)で一気に綴じ込み、発送という算段。チームワークがしっかりとれて、二時間弱で終わり、めでたしめでたし。月曜には到着していると思います。もう着いているかな。
結局、参加者は百十名を越えそう。締め切り後に送金してくる人がかなりいる。これは問題だけれど、ギリギリを過ぎてない場合は、締め切りすぎましたとも言えず、嬉しいんだけれど、困ったことですね。締め切りは守りましょう。(って、あまり人には言えない……。)
それでは、二十八日に舞子ビラでお会いしましょう。
フランス語教育 2002.02.24
昨日ランコントルの実行委員会があり、最終的な参加者数の確認と、時間割の確定とプログラムの作成などを行った。参加者は八十名ほどで締め切り後に送金してくる人が数名いるので、百名くらいになるようだ。
僕は初日の1限目(十一時半から)になった。早く終わって、昼飯を食べて気も楽になるから、それもいいだろう。去年と同じ時間帯である。参加予定者は十九名で、割と多かったがうまくいくといいのだが……。お楽しみに。というか、参加者の方、よろしくね。 プログラムの発送は三月九日なので、しばらくお待ちください。
フランス語教育 2002.02.12
三月の二十八日と二十九日に舞子ビラで、「関西フランス語研究会(ランコントル)」がある。関西のフランス語の先生が集まって、教授法についてあれこれ情報交換する場である。今年も僕はアトリエのanimateur(報告者、司会者)をする事にした。以下にそのレジュメの原稿をアップするので、興味をもたれた方は参加して下さい。当日参加はできず、二月十五日までに郵便振替で参加費を支払う必要があるので、ご注意下さい。詳細は、金沢大学の粕谷先生のサイト、(こちら)「関西フランス語教育研究会」http://web.kanazawa-u.ac.jp/~kasuya/Rencontresj.html をご覧下さい。
レジュメ原稿(アクサンは落としてあります) ここから----------
Rencontres Pedagogiques du Kansai 2002
異文化理解としての外国語学習の陥穽
−立命館大学(フランス語)の場合−
Jiro NOZAKI
野崎次郎
神戸女学院大学 Universite Kobe -Jogakuin
jiro@ma1.seikyou.ne.jp
0) はじめに
異文化理解と外国語学習とは不可分のものではあるが、前者を強調するあまり後者がおろそかになるという傾向がすでに一部の大学で出始めている。両者のバランスをどうのように取ったらいいのか討論してみたい。
1) PANORAMA 1 における civilisation のページの活用(初級の学生)
立命館大学(法学部)には、一年間週四コマ、フランス語を履修する「初修重視」コースがある。発表者はその四コマのうち一コマに当てられている「総合」クラスを担当している。「フランスの文化」面に重点を置きながら、文法や文章読解などの練習を行うというコンセプトのクラスである。まず、このクラス実践の報告をしながら、問題点を討論してみたい。
2) 「異文化理解セミナー」と短期留学(中級の学生)
立命館大学では、全学の学生対象に「異文化理解セミナー」という科目が設置され、要卒単位として単位認定される。「事前講義」、「短期留学」(五週間)、「事後講義」とフランス語・日本語のレポート提出からなる学生参加型のセミナーである。「異文化理解」の授業のあり方として理想的な形式を備えていると思えるが、実際は、さまざま問題を抱えている。それを明らかにしてみたい。
3) 「語学再履修クラス」の廃止と振り替え科目としての「中規模講義クラス」(異文化理解系)の設置の動き(2002年度新一回生から)
立命館大学では、語学の単位不認定者は通常クラスと別個に設置された「再履修クラス」で再履修することになっている。認定ラインは「かなり易しめ」。それが2002年度入学生から「異文化理解系・中規模講義クラス」への振り替え履修でもって、「語学再履修クラス」にかえようという動きがある。「ダブルスタンダード」化の進行として、この動きの持つ問題点も洗い出してみたい。
4) まとめ
「言語と文化は一体である」というのは当然のように見えながら、当該言語を学習せずに「異文化理解」を行うという動きもあるので、実際のところ、さまざまな問題を含んでいる。私たちはアジアの文化を理解するとき、アジアの言語を学習しているであろうか。ドイツやロシアの文化を理解するとき、その言語を学習しているであろうか。すると、その言語の学習をしなければ、その文化の学習はできないというのは、一面で、過度の主張であるということになる。
ではなぜ、フランス文化を学ぶのにフランス語の学習が必要であるということになるのか。そこには、「より深く」学ぶには、という限定が前提にある。なぜ「フランス文化」だけが「日本の学生」にとってとりわけ必要なのか。フランス語やフランス文化が他の言語や文化と並ぶ「そのうちの一つ」にすぎないと思われている「現在の日本の学生」にとっては、「フランス文化・フランス語の特権性」が納得できるものとして提起されない限り、当該言語(フランス語)への学習モチーフは根底から基礎づけられることはないだろう。
レジュメ原稿、ここまで------------------
それでは、三月二十八日に、舞子ビラでお会いしましょう。
フランス語教育 2002.1.28
二十六日(土)にランコントルの委員会があり、申し込みの郵送を行いました。アトリエの案内と、申し込みの仕方などを転載しておきますので、郵送されなかった方も、興味を持たれた方は是非、ご参加ください。私もアトリエを主催します。
ここから-----------
XVIemes RENCONTRES PEDAGOGIQUES DU KANSAI
Jeudi 28 mars (11h-20h) Vendredi 29 mars 2002 (9h-17h)
2002年3月28日(木) 11:00-20:00 29日(金) 9:00-17:00
Hotel Maiko Villa, Kobe ホテル舞子ビラ
Formules et frais de participation
A \ 16,000 2 jours, 2-4 pers/chambre, repas 両日参加,2~4人部屋,食費
B \ 12,000 2 jours, repas sans chambre 両日参加,宿泊無し
C \ 8,000 le jeudi 28 mars, repas 28日(木)のみ参加
D \ 8,000 le vendredi 29 mars, dejeuner 29日(金)のみ参加
※学割:学生の方は、当日、受付で学生証をご提示下さい。
2000円の払い戻しを致します。
Procedure d'inscription
1. remplir le mandat-carte postal en precisant bien :
-- la formule choisie (A, B, C ou D)
-- les numeros des 6 ateliers auxquels vous souhaiteriez assister
2. effectuer le virement
au plus tard pour le vendredi 15 fevrier 2002
参加お申し込みは、振替用紙に必要事項をご記入の上(ABCDいずれの形で参加するか、
また参加希望アトリエを最大6つまで決めて)、2月15日(金)までに郵便局にてご送金
下さい。現金による当日支払いはご遠慮下さい。
N.B. Les reservations hotelieres etant definitives le 10 mars,
nous ne pourrons
effectuer aucun remboursement si vous annulez la votre apres cette
date.
3月10日を過ぎますと変更は不可能です。会計処理が極めて困難となりますので、その際
の払い戻しはご容赦下さい。
Diffusez autour de vous SVP cette invitation aux Rencontres
2002. Si vous
manquez de mandats-cartes pre-imprimes, utilisez un mandat-carte
ordinaire en
l'adressant a :
numero de compte 口座番号:00960−7−70988
titulaire 加入者名:関西フランス語教育研究会 ランコントル
CONTACTS :
KASUYA Yuichi : kasuya@kenroku.kanazawa-u.ac.jp
Marie-Francoise PUNGIER : mfp@noah.cias.osakafu-u.ac.jp
(page web provisoire)
http://web.kanazawa-u.ac.jp/~kasuya/Rencontresj.html (en japonais)
http://web.kanazawa-u.ac.jp/~kasuya/Rencontresf.html (en francais)
今回開催されるアトリエ・リスト(< > 内は使用言語。<F>フランス語、<J>日本語、
<F/J>日仏両語)
THEME 1. COMMENT S'INTEGRE LA DIMENSION CULTURELLE DANS L'ENSEIGNEMENT
DU
FRANCAIS ?
1 NOZAKI Jiro <J> 異文化理解としての外国語学習の陥穽 -- 立命館大学(フランス語)の場合
2 VANNIEUWENHUYSE Bruno <F> Integrer concretement le style
conversationnel
francais dans l'enseignement de la conversation
3 TAKAGAKI Yumi <J> FOS(特定目的のためのフランス語)と文化
4 BESIAT Jean-Pierre <F> Dimension culturelle de l'apprentissage
:
connaissances ou savoir-faire ? Un regard sur ses propres pratiques
culturelles
5 KASUYA Yuichi <J/F> Chansons de metissage culturel
6 ANAN Fumiyo <J> 文化をどのようにフランス語の授業にとりいれるか
7 POISSON-QUINTON Sylvie <F> Motivation a apprendre et sensibilisation
a
l'identite / alterite
8 NISHIYAMA Noriyuki <J> ヨーロッパでは言語文化教育・学習をどのように統合しているか ?
9 TSURI Kaoru <J> フランス文化のグローバル化と世代間ギャップ ミ われわれは同じ
フランス語教師なのか?
10 DRIGUES-SUGIMOTO Michel <F> La simulation globale pour
motiver
l'apprentissage du francais
11 HORI Shigeki <J/F> Projet d'un livre : "50 mots
pour comprendre la France
contemporaine" 企画:『現代フランスを理解するためのキーワード50』
12 IKAWA Toru <J> Comment enseigner la culture en classe
de francais ?
THEME 2. COMMENT AFFRONTER LA RELATION ORAL-ECRIT ?
13. GUERRIN, Gilles <F> C'est qui qui m'ecoute
14 MIZUNO Izumi, EBARA Izumi <F/J> Comment utiliser la methode
INITIAL dans la
classe ?
15 PELISSERO Christian <F> Comment creer des exercices pour
l'ecrit et l'oral ?
16 TANAKA Yoko <J> 初習者に、発音も文法も、oral も ecrit も
17 SHIMAMURA Masako, AZRA Jean-Luc <F/J> Le support ecrit
du cours de
conversation : probleme orthographe-lecture-prononciation
18 CADIOU Yves <F> Les articulations logiques
HORS-THEMES
19 KASUYA Yuichi, KAWAI-CHARNAY Georgette <F/J> Promotion
de l'enseignement du
francais II フランス語教育のアピール II
20 NISHIMORI Makoto <J> シャンソン
21 IWATA Yoshinori <J> LL教室の可能性 Possibilites du laboratoire
de langue
22 NISHINO Kaeko <J> 日本のフランス語教育におけるティームティーチング〜現場からの一報告
23 FUJITA Yasuko <J> 課題仏作文 ミ 整合性のある文章を書くために
24 FURUMIYA Eri, MATSUOKA Mamiko, YASUMOTO Asuka <J> ゲームでフランス語
25 KIKUCHI Utako <F/J> Classe de communication-tandem, recapitulation
d'un an d'experience
26 IGATA Kazumasa <J> Immigres en France, surtout les Soninke
a Paris
ここまで----------
今年から、学生さんは2000円のキャッシュ・バックです。
フランス語教育 2001.11.12
木曜日に朝一のフランス語の授業で、methode de francais (フランスで作られたフランス語の教科書)PANORAMA を使っている。
教師二人で分担しているのだが、僕の担当はVocabulaire と Civilisation で、総合的な復習をしながら、文化の話などを交えてフランス(語)に興味を持ってもらおうという週1のクラスである。
2000年発行だから、真新しい。「新語」などもびんびんに入ってるし、「口語」的な言い回しも多い。
先週講師室に着いてから、僕の担当分でないところをパラパラと見ていたら、Ils ont tague la porte! という文にぶつかった。taguer という単語は見たことがなかったので、講師室に置いてある『クラウン仏和』(第4版)を引いたが、出ていない。
挿し絵の豊富な教科書だから意味の見当はついたが、いまいちはっきりしない。学生に質問されたらどうしよう、と思いながら、ほかの箇所(僕の担当分)をやったので、事なきを得たが、冷や汗だった。
家に帰ってから、GDEL を引いてみたが、載っていない。
インターネットがある。Club-internet, Google などの検索エンジンで、taguer といきなり打ち込むと、数十件ヒットした。絵入りなのですぐに了解。用例も、taguer les murs ou le sol, groupe de tagueurs というのがすぐにわかった。便利。
GDEL supplement(1992) を引いてみると、tag, taguer, tagueur がエントリーしていた。さすが。
白水社のLe Dico (第2版)には tag(英語)「スプレーの落書き」、三省堂の『クラウン仏和』(第5版)には taguer「スプレーで落書きする」が入っていた。新語の補充が早い。
それにしても、講師控え室にインターネット検索用のパソコンが置いてないのは不便このうえない。専任の先生方は個人研究室があって、そこで検索できるが、僕らのような非常勤にはそのような機会(機械)がない。アンラッキーな非常勤に栄光あれ!
立命館大学はパソコンの設備に金をかけている(かけすぎといっていいくらいに)のに、こういうところに気が回らないのは、どうしてだろう。いうまでもない。トップダウンばかりが先行し、ボトムアップがうまく機能していない「官僚主義」に陥っているからだ。
フランス語教育 2001.11.04
十月十三日に大阪日仏で来年のランコントルに向けて委員会が開かれました。すでにランコントルは始まっています。
ランコントル2002 は、2002年3月28-29日に、舞子ビラで行われます。
テーマは二つ。
1) Comment s'integre la dimension culturelle dans l'enseignement du francais?
2) Comment affronter la relation oral-ecrit?
すでに準備に向けて活動開始していますので、委員会の手伝いができる方はご参加ください。会計の岩本さんが二月、三月に出張で離れられなければならなくなりました。残念です。
それから、紀要の『Rencontres』のISSN化の準備も進めています。
フランス語教育 2001.7.22
七月七日にランコントル(関西フランス語教育研究会 、RPK)の委員会が大阪日仏センター=アリアンス・フランセーズで開かれ、『Rencontres 15 』を発送しました。参加者のもとにはもうすでに着いていると思いますが、夏の浜辺や山の林間で読みバカンスの彩りにでもしてください。今年の三月のランコントルのアトリエでの討論の成果をもとに論文集にしたものです。まだ残部がありますので(大阪日仏の横山さんに預かっていただいています)、ご希望の向きは粕谷さん、または野崎までご連絡ください。
Yuichi KASUYA : kasuya@kenroku.kanazawa-u.ac.jp
Jiro NOZAKI : jiro@ma1.seikyou.ne.jp
フランス語教育 2001.5.25
フランス留学について、「野崎次郎無料掲示板」で質問を受けた。最近の学生さんは「東京に行って勉強したい」というのりで、「フランスに留学したい」という希望を語る人が多い。隔世の感があるが、これもグローバリゼーションが広く進行しているためだと思う。同じような質問を受けそうなので、このページに保存版として掲げておくことにした。
--------ここから
きく☆さん、こんにちは。
「大学を卒業したら、フランスに留学しようと思っています」と軽くいえてしまえる人たちが増えてきたのは、うれしいことで、隔世の感がします。
僕は語学の通年講座に行っていただけです。また、最近は留学をめぐる状況も二十年、三十年前とは大きく変わっています。僕の経験が直接、参考になるかどうかわかりません。
しかし、最近仕入れた情報などをまじえて少しお話ししましょう。
まず、「大学に留学」といっても、フランス人学生に混じって授業を受けるわけですから、それなりの語学力がなければなりません(当たり前か?)。昔は、日本の高校卒業資格だけで、フランスの大学に入学できましたが、最近は語学テストを課しているようです。または、それを証明する資格試験(DELF/DALF)もあります。これは日本でも受験できますが。アメリカのTOEFLみたいなものと考えればよいでしょう。
だから、まず、フランスに行ったら、語学講座を一年受ける。その間にどこの大学にどういう教師がいるか、どういう学生がいるというようなことを平行して調べる。そして、語学試験に合格し、それから大学に入学するというのが現実的だと思います。
日本の大学を卒業していれば、フランスの大学院に入学できるようですが、(専門知識は別として)語学力の面ではあまり高い水準は要求されないので、大学に入った方が「総合的な語学力」はつくと思います。ただ「学籍」がほしいだけなら、話は別ですが。
さて、その資料ですが、昔は『フランス留学案内』という本がありました。今もあると思いますが、正確には調べがついていません。
フランス語教育振興協会[APEF] (仏検をやっているところ)のホームページからいろいろな資料の世界にたどり着けると思います。全部お膳立てしてくれる「研修旅行」もあるし、カウンセリング、手続き代行もやってくれます。高いお金がかかりますが。まあ、ただで資料だけ見せてもらって(電話でも対応してくれるようです)、直接フランスと自力で交渉した方が勉強になるのではないでしょうか。自分でやれないことはないと思います。自己責任でご判断ください。
APEFのホームページのアドレスは、
http://www.jade.dti.ne.jp/~apef/index.htm
また、雑誌『ふらんす』(白水社)は、フランス関係の情報満載で参考になることが多いと思います。そこの宣伝で見たのですが、『成功する留学フランス留学』(ダイヤモンド社)というのもあります。
あと「女の子一人だったら危ない」かどうかですが、「危険」と取るか、「スリリング」と取るか、「天国」と取るか<、「地獄」と取るかは、あなたの考え方次第だと思います。ともかくいわゆる「日本式」とは違う世界が待っているとだけはいえるでしょう。わくわく。
では、また。
(2001.5.25)
-------- ここまで
僕も一年の通年講座を終えて、そのまま残ろうか、日本に帰ろうか(まだ大学の五年生だった)迷い、結局に日本に帰って、「まともに」大学を五年で卒業し(国語国文科だったけれど)、日本の大学院でフランス文学を専攻した。そのままフランスに残っていたらどんな人生になっていただろうかと、ときどき考えることがある。
フランス語教育 2001.5.03
ランコントル2001が終わって、ランコントルのComite(委員会)が四月十四日に開かれた。反省と来年の日程、その他を話し合った。ランコントル2002は、三月二十八日(木)、二十九日(金)に決まった。Secretaire general は、粕谷さん。Adjoint(e)は、Marie-Francoise Pungierさんと、Jiro Nozaki(なんと、僕です)になった。Tresoriere generaleは、竹内さん、adjointeが岩本さん。よろしくお願いしま〜す。
Rencontres 15(関西フランス語教育研究会、紀要第十五号)は、六月中旬刊行予定だが、原稿の集まり具合(もう締め切りは過ぎている)から見て、七月にずれ込みそう。
今回、そこに掲載される「インターネットによるフランス語教育」を論文リストにアップしました。興味のある方はご覧ください。
フランス語教育 2001.04.08
ランコントルが終わった。緊張が解けたせいか、土曜、日曜と終日寝ていた。月曜からは新学期の準備。木曜からは授業が始まり、土曜には花見に行った。発表原稿をこのページにアップしようと思いながら、遅れてしまった。申し訳ない。僕のアトリエには二十三名の方が参加され「盛況」ではあった。しかし「評判」はいまいちのようだった。時間配分を間違え、「前口上」が長すぎたようだ。あまり「技術」だけに限定するのが嫌いで「意味づけ」みたいなことにこだわる「屁理屈好き」が災いしたようだ。次回は気をつけよう。
僕のアトリエ以外に僕がでたアトリエは、二十九日は、まず、古石篤子ほか「マルチリンガル・スペースの試み」だった。慶応大学藤沢湘南キャンパスでのマルチメディアスペース構築の試みの話だった。言語教育にはこのようなマルチメディアのスペースが必要であるのはいうまでもない。しかしながらこのようなスペースはいままではビデオソフトを並べたり、CD-ROMをそろえたりして、ハード的に作られてきたが(そして実際藤沢湘南キャンパスではかなりの成果を上げてきているようだが)、これからは、インターネットが発達すれば、回線増強が前提とはなるが、ソフト的に解決されていくのではないか、そんな感想を持った。
次は、Rico-Yokoyama Adriana "Une annee pour aller plus loin" だった。リコさんは、女学院の同僚でもあり、教科書も使わせてもらっているので、アトリエに参加した。フランス語でのアトリエなので、必ず何かやらされる。今回もそうだった。なぜかスペイン語での自己紹介。フランス語初心者の気持ちに帰るということだろう。初級の授業を受けている感じに戻れてうれしい。僕は授業をするよりも受けているほうが好きだ。
翌日の三十日は、泊まったホテルの部屋がとても快適だったのと、前日の疲れがあったので、朝一(あさいち)のアトリエはパス。まず、釣馨(つり・かおる)「異文化理解のツールとしての映画」。レジュメには「フランスがすでに多民族国家に変貌を遂げている事情」とある。ジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」(パリ編)を使った授業例で話を進め、なかなか若手で頭は切れそうだが、最近はやりの議論に流されている嫌いがあると感じた。「多言語・多文化主義」によりかかりすぎている。僕は反論して、「多文化」のとりまとめとして「ネーション」が成立してきたわけだし、だから「多文化」を言い立てただけで「ネーション」が批判できるわけではない、それにその「多文化」というものも「グローバリゼーション」の進行とともに新たな「ネーション」成立の前提(それはもはや「ネーション」ではないかも知れないが、メタファーとして依拠しているのは相変わらず「ネーション」、「われわれ」性、「私たち」感情などであろう)になっているかも知れないということに無自覚であるという反論を行ったが、語学教育の問題としては話題が広がりすぎたということでそこで終わってしまった。残念だ。それにしても、酒井直樹などの影響力は思いもよらず大きいのだとしみじみ感じた。
最後は、委員もやっている粕谷祐己「フランス語教育をアピールしよう」だ。日本語とフランス語を交えての討論。いま「フランス語教育」を推進するにはどのような方策が必要かという話題であつく議論が交わされた。フランス人も日本人も多く参加したが、議論が煮詰まりそう(と僕が思うだけかも)になるととまってしまうのが残念だった。しかしおおかたの評判はよかったようだ。
終わりのトースト・パーティーの席で、ジョルゼット・川合と奥さんに頼まれて、comite (委員)を引き受けることになった。日本語とフランス語が飛び交う場というのは嫌いではないし、日本におけるcommunaute francaise とのつきあいも可能となるので、これからが楽しみだ。
では、以下に僕のアトリエの発表原稿を掲載します。興味のある方はご覧ください。
ここから引用-------------
Rencontres Pedagogiques du Kansai 2001 2001.3.29 舞子ビラ
フランス語教育にどのように
インターネットを活用するか
Internet et l'enseignement du francais
野崎次郎
はじめに
授業のインターネット利用というと、新聞雑誌のサイトの記事をダウンロードして、それをプリントアウトしたものを「講読」するというのが、多くの場合のようです。たとえば、資料7,8,9
をご覧ください。これは2000年の11月から2001年の1月にかけて、ParisMatchのサイト(ホームページ)を読みにいき、それをプリントアウトしたものです(Jeanloup
Sieff photographe et gentlemen, Ferrari Les coulisses de l'exploit,
Notre Arnaud va mourir.) 。それを学生に配って、「講読」するということが考えられます。そして実際そのような授業がなされることが多いですし、私自身もそのような授業も行っています。
しかしそれは、フランス語の授業におけるインターネット利用の重要な一歩であるとはいえ、ほんの一歩にすぎず、それ以外にさまざまな活用法があるように思われます。動画音声ファイルの活用、インターネット検索や、授業時以外にも学生の役に立てるように教師自身のホームページ、メールなどを利用することなどさまざまな活用法があるように思われます。しかし他方でまた、新しい技術だけにそれへの「対し方」が明瞭になっていない点もあり、その「操作法」も「マスター」できていないという点もあります。
そこでこのアトリエでは、「中級の学生」を対象とした神戸女学院大学と立命館大学での授業例と私自身のホームページ立ち上げ経験をもとに、教師自身のインターネットへの態度の取り方、活用のための技術的な基本操作などに触れながら、その活用法を手探り的にはなるかもしれませんが探っていきたいと思います。私自身、パソコンはパワーユーザーを目指してはいるものの中級ユーザーの域をいまだ脱せずにいますので、パワーユーザーにとって当たり前のことを「勘違い」しているケースもあるかと思いますが、その場合には指摘していただけると幸いです。また、初級ユーザーにとって不明瞭なことを自明のこととして話を進めることもあるかと思いますが、その場合にも指摘していただければ、ご質問にお答えできると考えております。
第一章 「中級の学生」は現在どのように定義されるべきか
まず、「中級の学生」は、現在どのように定義されるべきかという問題があります。つまり、戦後五十年にわたって行われてきた「教養主義的な」「第二語学教育」が、ほぼ全面的に壊滅した現在の大学(これは「大学全入時代」における大学とでも呼べるものと思いますが)、そのような大学において「語学教育」は大きな転換点に入っており、したがって「中級の学生」の定義もおのずから変化せざるを得ません。
従来ならば、週に2コマ程度の文法と講読の一年間の授業を終えた学生に、むずかしめの長文を(場合によっては教師に(にのみ)関心のある専門書を)訳読させるというのが、「中級」の授業のモデルでありました。一年間でフランス語文法の概略を、条件法、接続法にいたるまで一方的に教え、そのままに(場合によっては理解されないまま)中級に押し込まれる、そのような形で「中級」のクラスが存在していました。
しかしながら、現在、「ゆとり教育」「教育の多様化」などの「成果」として、学生の総体的な学力低下という事態が生じております。英語でも文法はあまりやらずに来ている学生が増え、第二外国語(立命館では初修外国語と呼んでおります)においても文法偏重から脱却したのはいいのですが、過度の文法軽視にまで事態が進行しています。また、他方、高校からフランス語を履修するものも増えてはいますが、彼らは文法からは入らず、会話からはいることが多い。いきおい、文法的思考は身についていません。
従来は、中級クラスの長文を読みながら、未消化なままの文法事項の理解を深めていくという形を取ってさえいれば「語学教師」はつとまっていましたが、現在は事態は大きく変化しています。大学は「基礎学力」のない大学生を大量に受け入れる場となったのです。それに伴って、彼らに対して旧態依然の教育法しかできず右往左往する教師を輩出することにもなったのです。つまり、「基礎教育力」のない大学教師の大量出現です。そのような中にあって、新しい時代に対応できる「中級クラス」の教育法が模索されなければなりません。
私自身、「中級」のクラスを担当させられることが多く、そのクラスの学生は総じて熱心で学力的にもかなりの水準に達していると思います。しかしながら「総体的な学力低下」という事態から完全に免れているとは言い難い。つまり学力的には、条件法や接続法(場合によっては直説法単純未来)を学ばずに、つまり複合過去と半過去を終えた程度で、「中級」という意識を持つようになっているということがあります。また、学生の受講時間数もかなりのばらつきが出ています。
モチーフの面では、従来の学生はフランスのレジスタンス、文学、現代思想などに惹かれてフランス語を学ぶ始めるということが多かったのですが、現在の学生はそのような固定的な観念は持っていません。現在の学生は、モチーフの面でも多様化しており、フランス語を特別視するという発想はあまりなく(思想や文化においてフランスが一番という発想はまったくない。さらに別な言い方をすれば、フランス的特殊性ということにも眼がいきにくい。)、一つの領域に関心を集約させるということが困難な状況です。したがって教材面でもそれに対応した工夫が必要となってきます。「中級」の課題はそのような多様なモチーフをさらに展開させ「上級」に橋渡ししていくことにあります。そのような学生の多面的な関心に答え得る可能性の場として、インターネットが活用されるべきであろうというのが、これから検証していきたいことがらです。
第二章 実際の授業の最終目標とそれにいたる過程について
それでは、神戸女学院大学と立命館大学での2000年度の実際の授業例をもとに、検討を進めていくことにします。セメスター制導入で半期完結の授業ではありますが、実際は前期、後期と続けて取る学生が九割以上なので、通年で授業計画を立てました。
資料1, 2 をご覧ください。これは学年末に取ったアンケートです。資料3, 4, 5, 6 をご覧ください。これはそのアンケートの結果です。
まず、どのような受講生が集まっているかを見ていきます(資料3)。女学院の場合、受講生11名中、9名が二年生です。二年生配当科目なので当然なのですが、三年生、四年生がいるのは再履修者です。受講コマ数は、一年目に二コマ、二年目に二コマが標準的で、一年か二年かのどちらかでもう一コマ取る人が多いということになります。
立命館の場合、かなりこみいっています。それは「選択フランス語・中級」という正規の流れ以外のところでさらにフランス語を取りたい人(二回生以上)のために設置されたクラスと、「中級フランス語」という高校(立命館宇治高校)での既修者(一回生)向けの特別プログラムのクラスとの合併クラスだからです。(立命も予算に苦しいらしいです。)受講時間数は、ごらんのようにまちまちです。しかし、標準的な受講状況を整理するとこうなります。まず、高校既修者の一回生は、高校二年と三年に65分の授業を二コマ、ネーティブから受けている。130分*2年というのがそれです。(テキストは、Mini
De Concert を二年間)(注、現在は On y va を使用している、フランス人と日本人で一コマずつである、というご指摘を立命館宇治高校の友武先生からいただきました。)そして大学に入ってから、つまり私の授業を受けるときということですが、90分の授業を二コマから四コマ受けています(場合によっては高校も大学も一コマの人もいるようですが、そのような話は聞いていないので確認が必要です。現在、未確認)。二回生以上の学生については、おおむね一回生の時に三ないし四コマ取り、二回生の時に四コマ目ないし五コマ目として私の授業を取っているというのが標準的なパターンと考えられます。
では、授業内容です。女学院の場合、シラバスにも明記し、年度始めの授業時に明確に述べたように、授業のテーマは「時事フランス語」であり、年度末の試験では、インターネット上の記事 (ParisMatch)
を独力で読めるようになるということを到達目標にあげていました。したがって後期期末試験は初見の長文を辞書持ち込みで訳すというものにしました。資料10をご覧ください。これがその試験問題です(立命と同じ問題になりました)。全文訳にしたかったのですが、要求度が高すぎるかと思い、下線部訳にしました。
さて、いきなりインターネットの記事を読むのは無理なので、まず前期で地ならしをしました。使ったテキストは、クリスチャン・ボームルーほか『時事フランス語(2000年度版)』(朝日出版社)です。また、文法事項としては、条件法、接続法を終えていない学生もいるので、文法のプリントで二、三回授業してから、テキストに入りました。訳読しながら、文法解説し、文化面の補足話をするという、「伝統的な」教育法です。訳読は最初は私がやり、二回目からは学生自身に順番にやってもらってから(この間じっと聞いているのが辛抱です)、解説等に入ります。あらかじめ当てず、授業時にアットランダムに指名します。きちんとやってない人はバッドマークをつけていきますよ、と「おどし」ておきます。学生はきちんと予習してきていました。一回に一課ないし一課半の進度です。テーマが多岐にわたり、レベル的にも分量的にも適度だったと考えています。(学生の感想は、インターネットに関する授業、ParisMatch
の記事を後期の後半に読んだときの感想とともに、資料5, 6 に掲げてあります。ご覧ください。ほぼ全員から「とてもよい」という評価をいただきました。)
後期の前半まで、このテキストを使い、後期の授業の後半は、インターネットでフランスに「行く」時間をもちました。女学院には、リサーチルームという、パソコンについて自習する、またはパソコンを使って自習できる「パソコン付き自習室」というような教室があります。一時間目はここに教室移動して行いました。定員は十五、六名。アシスタントがついていて質問にも答えてもらえます。女学院は情報リテラシーの教育に熱心です。去年は、パソコンに触ったことのない人が二名ほどいましたが、今年は二年生のこの授業を行うときまでには、全員、パソコンはおおかた扱えるようになっていました、。女学院の学生のパソコンとの関係についてのアンケートは、資料4
をご覧ください。大学に入ってからパソコンをいじり始め、現在はほぼ毎日触っているというのが標準的なようです。しかし、フランス語がらみになると一般のマニュアルに書いてないことがでてくるので、その操作法を教えなければなりません。たとえば文字化けの問題。「表示」―「文字コードの設定」で「欧文(ISO-8859-1)」を選ばなければならないということ、印刷する場合は読みやすい文字にするために、「編集」―「設定」で好みのフォントを選ぶ(私の好みはNew
York)ことなど。そのような指摘はフランス語の教師の役目です。
では、リサーチルームで、どのようなことをしたか実演してみましょう。教師のパソコンの画面をモニターでミラーリングする学生用モニターがあるので、学生にはまずそのモニターを見てもらいます。その前に、行き先ですが、Europe
1 で、ラジオでフランスの早朝の雰囲気を体験しましょう。日本の午後一時は、フランスでは朝五時(今は正午ですから、朝四時。これいけるかな?だめかも)。ついで、ParisMatch。これはフランスの大衆誌ということになっていますが、芸能記事ばかりでなく、政治記事もあり、「フランス的エスプリ」の利いたもの、フランス的レトリックを知るのに好都合なテキストにあふれています。ちょっとLiberation
ものぞいてみましょうか。つぎは、France 2 です。この女性がいいんです。声が聞き取りやすい(女学院のときは授業は月曜)。平日は男性です。ちょっと声がこもって聞き取りにくい。
こういう風に、フランスのラジオやテレビをライブ(Europe 1)で、またはアーカイブの形(France 2)でダイレクトに聞けるようになってきている、という現在のインターネット状況を学生に知らせて、えーとびっくりさせるのがねらい。NHK
衛星放送のように、半分に切られた上、時々ゴルフや野球などで放送が中止されるようなことがない。
次に、本題のParisMatchに戻ります。「ここには、さっきも言ったように記事にあふれていますが、適度な長さのものはnews
だと思いますので、そこから各自好みのものを選んで、分担を決めて発表してもらいます。発表は訳だけではなく、内容的な補足説明、文法の説明の準備もしておくように」と学生に伝えて、各自作業に入らせます。ParisMatchのアドレスは教えてないので、直接教えてもいいのですが、学生にはすでに私のホームページのアドレスを学期始めに教えてありますので、まず「私のホームページにいってみてください。そこからリンクを張っています。」といって、まず私のホームページにアクセスしてもらいました。その間に、リサーチルームを歩き回りながら、学生の質問に答えていきます。「リンクを張る」というのはそこをクリックするとすぐに別の関連サイト(ホームページ)に飛べるように印を付けておくということです。だからリンクをたどるという作業を学生にさせることで、Web閲覧(ネットサーフィン)の重要概念を身体で覚えてもらおうというわけです(もっともすべての学生は知っているようでしたが)。で、各自アクセスし選んでもらったものを二、三人のグループを作ってもらい、一回に二、三グループ発表。それを四、五週行うよう、順番を決めます。学生が選択した記事の例が、資料7,
8, 9 です。女学院のリサーチルームでの話はここまで。
次に、立命館の授業についてです。流れは女学院の場合とほぼ同じですが、前期と後期の前半までの授業内容が違います。前期の到達目標は「仏検四級」受験程度、後期の到達目標は「仏検三級」受験程度です。テキストは、中村敦子『コトバで学ぶフランス文化2』(第三書房)です。そして、特に前期は高校既修者は文法をほとんどやっていないので、単純未来からの文法プリントを併用し、後期は、条件法、接続法の文法プリントを併用しました。
立命館の場合、女学院ほど学生の評価はよくありませんでした。その理由を考えてみると、立命館の場合、年度初めにインターネットでフランスに行くと明示していなかったこと、テキストが予想よりも使いにくかったこと、文法のプリントに時間が割かれたこと、最初からそれ向けに長文で地ならしをしなかったこと、情報語学教室が使いにくかったということ、一年生と二年生の意識の違いがかなり大きかったのではないかということ、インターネットでの授業時間が短く(三回)駆け足になってしまったことなどいくつか考えられます。
資料4, 5, 6 に、立命の学生のパソコンとの関係について、授業評価のアンケート結果がありますので、ご覧ください。そこを見るとわかるように、立命の場合、付属の宇治高校には、パソコンの設備が整っていると思われ、高校生のときからパソコンに触り始めているという点が、女学院と大きく異なります。実際、立命の学生と接していると「パワーユーザー」(の卵)という感じの学生と出会うことが多い一方、女学院の学生ほどパソコンやインターネットへの熱意は一般的には薄いということのようです。
第三章 ホームページの活用法
私がパソコン通信を始めたのが、1996年の2月。いまでもNifty-Serveに接続できたときの興奮を覚えています。かなり遅咲きでした。そして、インターネットを始めたのが、同じく1996年の8月。これは早いほうだと思います。そのころ自分でホームページを立ち上げるようになるとは夢にも思いませんでした。とても難しいと思っていたからです。しかし、去年の三月に挑戦してみたら、ガイドブックを見ながらあっけなく三日でおおかたのことはマスターできました。その「苦闘」ぶりは私のホームページの「ボケ作日記」に書いてありますが、今ではホームページ作成ソフトというものがあるので、ワープロを扱える人ならば、簡単に立ち上げることができます。「リンク」ということと、「サーバーへのアップ」ということが理解できれば、後はワープロの「保存」という感覚でどしどし更新していけます。
現在、私は二つのホームページを開設していますが、http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/
http://www.kcc.zaq.ne.jp/jean-luc/
どのようなホームページを作って、フランス語教育に活用したらいいのか、私のホームページを見ながら検討してみましょう。では、「野崎次郎のホームページ」にアクセスしてみましょう。
ここがトップページ。「日記」「マック」「フランス語教育」があります。BBS(掲示板)。「リンクのページ」「デジカメ写真館」「学生へのお知らせ」というページもあります。そして最後に「業績一覧」があって、論文なども公開してあります。
実際の実演。そしていったん接続を切る。あとは、Adobe Pagemilのファイルを見ながら、実演する。
ホームページの効用はどこにあるのでしょうか。それはまず教師がどのようなことをやっている人なのかを学生に宣伝できるということがありますが、フランス語を学習する上での役立つ情報を素早く学生に伝達できるという点があります。学生の質問に対しても、掲示板あるいはメールでもって答えることができます。
「役立つ情報」とは、たとえば、リンクのリストです。このリストで素早く学生はフランスに「行く」ことができます。さらに、「デジカメ写真館」のフランスの写真です。実際にこれを見て、フランスに行きたくなったという感想をいってくれた学生がいます。「日記」を更新することで、学生の興味をつなぎ止めておくことができます。論文を公開することでひょっとして「現代フランス思想」に興味を持つ学生がでてくるかもしれません。いくつもの可能性を教師自身で作り出していくことができるのです。
ホームページの管理運営をゼミの学生(卒業生)に任せている先生、大学のホームページにのせているだけの先生も数多いですが、私自身としては教師みずからが管理運営した方がいいと思います。なぜなら、人にわずらわされずに自分でやりたいようにできるからという単純な理由からです。しかもそれは思うほど難しいことではありません。
LAN(学内ネット)とのかねあいでシステム課(システム管理者)との関係が問題となってくることが多いと思いますが、システム管理者というものは定義上、トラブルのないことを望む存在ですから、教師学生(ユーザー)が何をしたいかを理解できないようになっています。フランス語でいえば、「フランス語の文字化け」などという問題は「特殊な問題」として処理されてしまいます。したがってフランス語の教師は一般ユーザー以上にパソコンに詳しくなり自衛策を講じていかざるを得ないと思います。
第四章 なぜ Paris Match なのか
では、ここで話を実際の授業の方に戻しましょう。先ほどは学生がParisMatchの記事をダウンしてくるところまででした。それを授業中にどのようにして読んでいくかということに触れたいと思います。まず学生の選んだ記事はさまざまな「アクチュアル」なテーマにあふれています。資料7,
8, 9 の例でいえば、現代の写真家、フェラーリ、狂牛病です。「教育の多様化」を受けて学生たちの興味は「多様化」しています。「多様化」は必ずしもいいことばかりではなく、「共通の話題」の喪失という面もあり、「たこつぼ化」という面もあります。「たこつぼ化」への危険を避けるためには、「多様な関心」を持っている学生が、教室で「その関心」を持たない学生に対して「その関心」を「ぶつけさせる」ということが大切と思います。そうした意味で、教師が一方的に選択したテーマを学生に押しつけるのではなく、学生が選択した「多様な」テーマで、フランス語を読んでいくということはきわめて大切です。そのための格好の記事をParisMatch
は提供してくれます。
記事には必ず写真がついていますので、視覚的に理解を助けてくれます。長さの点では、news やreportage などはちょうどいいと思いますが、photo
du jour など短めの記事もありますし、documents という長めの記事もあります。さらに関連の記事をたどりながら読んでいけるので、いかようにも対応できます。短くも長くもできる、これがひょっとしてこれからの文章の読み方(書き方)になっていくのかもしれません。
さて、実際の授業ですが、学生の発表のできは、はっきり言うといいものも悪いものもありました。それは訳がということではなく、準備段階でのインターネットの活用の仕方についてです。写真家の例でいいましょう。Jeanloup
Sieff という写真家ですが、まず、この人が有名なのか有名でないのかよくわかりません。日本語の表記もわかりません。従来でしたら、『人名辞典』に載っていれば有名、でなければ無名と考えてもかまわないという面がありましたが、インターネット時代となると「宇多田ヒカル」も「野崎次郎」も同じ資格でネット上に載っているわけです。今までの有名―無名の基準が通用しなくなっています。
だから、従来の授業だったら「人名辞典に載っていませんでした」ですむところが、今はそれは許されません。しっかり検索サイトで調べる必要があります。実際、goo
で調べたら、平成十一年の七月の新宿の小田急百貨店で『ジャンルー・シーフ展』が開かれていたということがわかります。また、Yahoo!
France で検索すれば、1933年生まれのポーランド系の写真家であることが、写真付きでわかります。作品のいくつかも見ることができます(載っているサイトへのリンクに出会えます)。
狂牛病の記事の例でいいましょう。文中に、prionという単語がでてきます。これは学生の持っている仏和辞典には載っていません。しかし、「プリオン」をインターネットで検索すれば、いくらでもヒットしますし、goo
の「便利ツール」にある『新語辞典』を引けば出てきます。また、prion をインターネットに公開されている仏仏辞典で引けば出てきます。したがって「辞書に載ってませんでした」では教師も学生も済ませられなくなってきたのです。このようにインターネットは便利になった反面、さぼるとすぐにばれてしまうのできつくなってきたともいえるでしょう。インターネットの活用はこのような「検索」にもあります。検索サイトへのリンクは、「野崎次郎のホームページ」にもあります。
第五章 インターネット放送(ストリーミング放送)は今年ブレイクする。
ストリーミングとは何なのか簡単にいうと、圧縮された動画音声ファイル(当然容量が大きい)をダウンロードしながら、次々に解凍することで、視聴者はほぼリアルタイムで(全部のファイルが解凍されるまで待たずに)動画音声ファイルを視聴できる技術です。先ほど見てもらったFrance
2 などはその技術を活用しているわけです。RealPlayer, Media Player, Quick Time などのソフトが現在、競い合っています。
今年に入って、「ブロードバンド」(高速インターネット)の話題が急浮上してきました。動画音声ファイルがインターネットの世界で一般に普及するには、通信の回線速度が高速になることが不可欠です。ISDNではもう遅く、最低ケーブル回線によるインターネット、将来的には光ファイバー、つなぎとしてADSL
が一般家庭に普通にはいるようにならなければならないでしょう。そのとき、インターネットは「常時接続」が常識となり、画面の前で「出てくるのを待つ」ということもなくなり、インターネットを巡る状況は大きく変わると思います。そのとき「放送と通信が融合」し、テレビ放送はなくなり、インターネット放送だけになるかもしれません。そのための環境が大学内に整備されれば、伝統的な「LL教育」を遙かに超える可能性を秘めています。
試しに、CANALPLUS (Live, Les Guignols), EuroNews などを視聴しにいってみましょう。これはPHS(
ISDN と同じく最大64K) なので速度が「遅い」(今となっては)ので、感激は薄いかもしれませんが、ここまで来ているのかと、驚かれることでしょう。CANALPLUSは、200~300Kbps
が出ていると思われます。画質が圧倒的にいいですから。先ほど見た、France 2 は、34Kbpsで、これは発信側がその設定のようです。それに対して、France
3 は、ケーブル回線で見ると、200~80Kbps がでます。これくらいでると画質もほとんどぶれず、小さな液晶テレビを見ている以上のよさです。CANALPLUSは、フランスにいても「有線放送」でないと見られないテレビ局放送ですが、それが日本の地で、しかもリアルタイムで(ライブ放送もあります)視聴できるのです。これはびっくり。
まとめ
2004年の「IT大国」を待つまでもなく、ここ一、二年の通信環境の激変は明らかでありましょう。政府はいつも市場の後を追いかけているにすぎないといえます。
学生のコンピューターリテラシーも今後、飛躍的に増加するでありましょう。したがって教師自身も研修を深めながら、フランス語教育もそれに見合う変化を遂げていく必要があります。そのための情報交換がフランス語関係者間でもっと積極的になされるべきだと思います。今回のアトリエがその一助となれたらと思います。
それでは質問、反論などをまじえて、議論を深めて参りたいと思います。
ランコントル2001での発表原稿引用ここまで-----------------
資料の引用----------
資料1)
「フランス語とインターネットに関する」アンケートのお願い
2001年1月 野崎次郎
昨年の十二月(と一月)にインターネットを利用した授業を行いました。その「実験授業」をもとにして今年の「関西フランス語教育研究会」(ランコントル)(2001/3/29-30)において、「フランス語教育にどのようにインターネットを活用するか――神戸女学院大学と立命館大学の授業例をもとに――」というテーマで、発表を行いたいと思っています。ついては、あなた方にアンケートのご協力をお願いします。今後の授業改善に生かすとともに、その発表の資料として公開いたしたく、その点をご了承の上、正直にお答えください。年月は2000年12月の時点でカウントしてください。
0. あなたは何年生(何回生)ですか。
年生(回生)
1. あなたのフランス語の学習歴はどのくらいですか?(やり始めてから現在まで)
年 ヶ月
2. どこで?(複数回答可)
1.) 高校の第二外国語 2.) 大学の第二外国語 3) その他( )
3. 週あたりの授業時間数はどれだけですか?(長期休暇は無視して、半期は六ヶ月、一学年は一年)
週あたり 分を 年 ヶ月
週あたり 分を 年 ヶ月
週あたり 分を 年 ヶ月
4. 週あたりの自習時間数はどれだけですか?(長期休暇は無視して、半期は六ヶ月、一学年は一年)
週あたり 分を 年 ヶ月
週あたり 分を 年 ヶ月
週あたり 分を 年 ヶ月
5. フランス語は難しいですか。
1) よくわかって楽しい 2) 難しいけれどやりがいがある
3) 難しいけれど何とかこなしている 4) 難しくてやる気がでない
5) 特に難しいと思わないが惰性でやっているだけ
6) その他( )
6. あなたのパソコン歴は?
学校のパソコンで 年 ヶ月
自分(家族)のパソコンで 年 ヶ月
7. あなたはパソコンにどのくらい触りますか(使いますか)。
1) (ほぼ)毎日 2) 週に一回くらい 3) 月に一回くらい
4) ほとんど触らない
8. あなたのインターネット歴は?
学校のパソコンで 年 ヶ月
自分(家族)のパソコンで 年 ヶ月
その他( )で 年 ヶ月
資料2)
9. あなたは、最近、どのくらいインターネットを利用しますか。
1) (ほぼ)毎日 2) 週に一回くらい 3) 月に一回くらい
4) ほとんど利用しない
10. それはあなたのパソコンですか。
1) 学校のパソコン 2) 家族のパソコン
3) 自分のパソコン 4) i-mode の携帯
5) その他( )
11. あなたにとってインターネットといえば、何ですか。よく利用するものに○をつけてください。(複数回答可)
1) メール 2) ウェッブ(ホームページ)閲覧
3) 掲示板・会議室 4) ファイルのダウンロード
5) チャット 6) インターネット放送(特にニュースなど)
7) インターネット放送(特に音楽のライブ)
8) その他( )
12. 授業で紹介したインターネット放送のサイト(Europe 1, France 2)について。
1) 非常に興味を持ち自分でもアクセスしている。
2) おもしろいと思い、アクセスしたいが、その環境にない。
3) あまり興味を感じなかった。
4) 何をやっているのか理解できなかった。
5) その他( )
13. 授業で紹介したフランスの雑誌・新聞のサイト(ParisMatch, Lib屍ation)について。
1) 非常に興味を持ち自分でもアクセスしている。
2) おもしろいと思い、アクセスしたいが、その環境にない。
3) あまり興味を感じなかった。
4) 何をやっているのか理解できなかった。
5) その他( )
14. 授業であつかったParisMatch の記事について。(複数回答可)
1) とても興味がもてた。フランス語もそれほど難しくなかった。
2) とても興味がもてた。フランス語は難しかったが、何とかなった。
3) 興味はもてたが、難しくて手がでなかった。
4) フランス語も難しかったし、内容も興味がもてなかった。
5) もっとゆっくり読んでほしかった。
6) 進み方はちょうどよかった。
7) 時間数を増やしてもっとたくさん読みたかった。
8) その他( )
15. 授業で使った情報語学教室(リサーチルーム)の使い心地について。理由は?
1) とてもよい 2) まあまあよい 3) あまりよくない 4) とても悪い
理由:
16. その他なにかありましたら、ご自由にお書きください。ご協力ありがとうございました。
資料3)
「フランス語とインターネットに関する」アンケート結果(立命と女学院2001)
0) 何回生(何年生)?
女学院(11) 4年生(1) 3年生(1) 2年生(9)(82%)
立命(24) 4回生(1) 3回生(0) 2回生(5) 1回生(18)(75%)
1. 学習歴
女学院 3年10月(1) 2年9月(1) 2年(1) 1年9月(8)(73%)
立命 3年(2) 2年6~9月(17)(71%) 2年(2) 1年6月(3)
2. どこで?
女学院 1) 0 2) 11(100%) 3) 1(仏語会話)
立命 1) と2) 18(75%) 2) 5 3) 1(留学)
3. 週あたりの授業数(意味不明の回答が多く若干整理した)
女学院 270分*1年+180分*9月 1
270分*1年+90分*9月 1
180分*1年+270分*9月 3
180分*1年+180分*9月 5(45%)
90分*1年+ 90分*9月 1
立命 130分*2年+360分*9月 1
130分*2年+180分*6月+360分*3月 2
130分*2年+180分*9月 1(小計4で、17%)
360分*1年9月 1
360分*1年+90分*9月 1
360分*1年(+?分*9月) 1
270分*1年+90分*1年+90分*9月 1
270分*1年+90分*1年(+?分*9月) 1
270分*1年(+?分*9月) 5(小計14で、58%)
180分*1年(+?分*9月) 3
90分*1年(+?分*9月) 1
65分*2年+ 90分*9月 1
65分*2年+ 90分*9月 1
60分*1年+120分*1年+270分*9月 1
未回答 3
資料4)
4. 週あたりの自習時間
未回答が多く、60分から120分が目立つ。480分というのもあった。
5. フランス語は難しい?
女学院 2) 5(45%) 3) 3 6) 3(難しくてついていけない、難しいががんばっているなど)
立命 2) 9(38%) 3) 11(46%) 4) 3 未回答 1
6. パソコン歴(端数切り上げ)
女学院 学校で 一年(5)(45%) 一年半(1) 二年(3) 未回答(2)
自宅で 半年(3) 一年(1) 二年(4)(36%) 三年(1) 未回答(2)
立命 学校で 五年(2) 四年(15)(63%) 三年(2) 二年(2) 未回答(3)
自宅で 五年(1) 四年(1) 三年(3) 二年(2) 一年(9)(38%) 未回答(8)
7. パソコンにはどのくらい触る?
女学院 1) 7(64%) 2) 3 4) 1
立命 1) 9 2) 15(63%)
8. インターネット歴(端数切り上げ)
女学院 学校で 二年(2) 一年半(1) 一年(4)(36%) 未回答(4)
自宅で 二年(3) 一年(4)(36%) 半年(2) 未回答(2)
立命 学校で 五年(2) 四年(14)(58%) 三年(2) 二年(2) 一年(1) 未回答(3)
自宅で 五年(1) 四年(1) 三年(3) 二年(2) 一年(9)(38%) 未回答(8)
9. インターネットの頻度
女学院 1) 8(73%) 2) 2 3) 1
立命 1) 6 2) 15(63%) 3) 2 4) 1
10. 誰のパソコン?(複数回答あり)
女学院 1) 1 2) 2 3) 9 4) 5
立命 1) 12 2) 10 3) 5 4) 3 未回答 1
11. あなたにとってのインターネットとは?(複数回答あり)
女学院 1) 10 2) 11 3) 2 5) 3 6) 1
資料5)
立命 1) 19 2) 20 3) 5 4) 6 6) 1
12. Europe 1, France 2 について
女学院 1) 3 2) 4(36%) 3) 1 5) 3
立命 1) 5 2)12(50%) 3) 3 4) 1 5) 3
13. ParisMatch, Liberation について
女学院 1) 4 2) 5(45%) 5) 2
立命 1) 5 2) 12(50%) 3) 4 4) 1 5) 2
14. 授業であつかったParisMatchの記事について(複数回答あり)
女学院 2) 8 3) 2 6) 1 7) 1
立命 2) 10 3) 12 4) 1 5) 3 6) 2 7) 3
15. 情報語学教室・リサーチルームの使い心地について
女学院 1) 3 2) 8(73%)
(理由)わかりやすくすんなりできたから。
パソコンの台数が少ないので。
台数が少ない。クラス中は十分だが。
きれいだが、授業以外は入りにくい。
立命 1) 5 2) 14(58%) 3) 3 4) 1 未回答1
(理由)ヘッドホンが聞こえなかった。
画面が出てくるのが遅かった。
なかなかみれ(ママ)なかった。
静かで使いやすかった。
先生の指導のもとで操作できたから。
16. その他
女学院
インターネットを使って、今のフランスに関する授業をもっとしてほしい。
先生の授業は内容も興味深くフランス語が好きになり、ちゃんと予習するようになった。
予習が大変だったが、去年に比べて親しみがわいてきた。フランス語独特の言い回しを理解するのが大変だった。
資料6)
インターネットから最近のタイムリーな話題で興味のある記事をピックアップして訳を発表するという授業はとてもおもしろかった。
インターネットから自分に興味のある記事を取りだして勉強できてとてもよかった。
興味深い内容で、わかりやすい説明でとてもフランス語が身についた。
フランスの社会や国民性なども語学とともに学べて充実した授業だった。
当たると思うと緊張したが、内容ではとてもためになった。
後期でインターネットの記事を読んでいったのがおもしろかった。苦労したが。
先生のホームページを見て、フランスに行きたくなった。
立命
フランス語は難しいです……。
インターネットは大いに活用すべきだと思う。ここまで発展しているのだから、フランス語学習者にとって活用しないと損だ。
コンピューターの応答が遅いのがいやだった。
もっと簡単な仏文がよかった。
以上、引用終わり-------------
資料7) 8) 9) は、ParisMatch の記事。
資料10) は試験問題。
フランス語教育 2001.02.08
三月の二十九日と三十日に舞子ビラで、「関西フランス語研究会(ランコントル)」がある。関西のフランス語の先生が集まって、教授法についてあれこれ情報交換する場である。そこで今年は僕もアトリエのanimateur(報告者、司会者)をする事にした。いかにそのレジュメの原稿をアップするので、興味をもたれた方は参加して下さい。当日参加はできず、二月十六日までに郵便振替で参加費を支払う必要があるので、ご注意下さい。詳細は、金沢大学の粕谷先生のサイト、(こちら)「関西フランス語教育研究会」http://web.kanazawa-u.ac.jp/~kasuya/Rencontresj.html をご覧下さい。
レジュメ原稿(アクサンは落としてあります) ここから----------
Rencontres Pedagogiques du Kansai 2001
フランス語教育にどのように
インターネットを活用するか
Internet et l'enseignement du francais
Jiro NOZAKI
野崎次郎
神戸女学院大学 Universite Kobe -Jogakuin
jiro@ma1.seikyou.ne.jp
0)はじめに
授業のインターネット利用というと、新聞雑誌のサイトの記事をダウンロードして、それをプリントアウトしたものを「講読」するというのが、多くの場合のようである。しかしそれは重要な一歩であるとはいえ、インターネット利用のほんの一歩にすぎず、それ以外にさまざまな活用法があるように思われる。また、新しい技術だけにそれへの「対し方」が明瞭になっていない点もある。このアトリエでは、「中級の学生」を対象とした神戸女学院大学と立命館大学での授業例をもとに、教師自身のインターネットへの態度の取り方、活用のための技術的な基本操作などに触れながら、その活用法を手探り的にはなるだろうが探っていきたい。
1)「中級の学生」は、現在どのように定義されるべきか
・「基礎学力」のない大学生と「基礎教育力」のない大学教師
・「中級」から「上級」への橋渡しにおける学生の多面的関心に応えうる可能性の場としてのインターネット
2)実際の授業の最終目標とそれにいたる過程について
・前期の授業で地ならしをし、後期の授業でフランスに「行く」時間をもった。
3)ホームページの活用法
・どのようなホームページを作ったらいいのか。野崎次郎のホームページの例:http://ha1.seikyou.ne.jp/home/jiro/
http://www.kcc.zaq.ne.jp/jean-luc/
・ホームページは教師自身で管理運営した方がいい理由とシステム課(システム管理者)との関係
4)なぜ Paris Match なのか
・さまざまな「アクチュアル」なテーマと学生自身の選択
・実際の授業最終日のアンケート結果
5)インターネット放送(ストリーミング放送)は今年ブレイクする。
・Europe 1 (Caroline Blanche の人生相談), France 2 (Journal
de 20h), CANAL+ (Live, Les Guignols), EuroNews など。
・伝統的な「LL教育」を遙かに超える可能性
・そのための環境整備と「放送と通信の融合」
6)まとめ
ここ一、二年の間にインターネットの通信をめぐる環境は激変するであろうし、また学生のコンピューターリテラシーも飛躍的に増加するであろう。したがって教師自身も研修を深めながら、フランス語教育もそれに見合う変化を遂げていく必要がある。そのために情報交換がフランス語関係者間でもっと積極的になされるべきだと思う。
レジュメ原稿 ここまで----------
フランス語教育 2000.11.10
先週の土曜日(11月4日)に、「高校生フランス語暗唱コンクール」に行った。神戸海星女子学院大学の仏文科主催で、今年で2回目だ。あまり期待せずに行ったのだが、なかなか盛況で、レベルも高かった。関西圏の高校十七校から二年生と三年生、一年生がひとりで、合計四十名の参加だった。岡山県からの参加も一名あった。ひとり2分くらいの持ち時間で、課題のフランス語の詩を「暗唱」して競い合うというものだ。課題は、Conversation (JEAN TARDIEU), Pour toi mon amour (JACQUES PREVERT), Barbara (JACQUES PREVERT), Le Corbeau et le Renard (LA FONTAINE) などだった。
まず、これほどの高校生が「フランス語」をやっていることに驚いた。大学ではフランス語の履修者が減っているのに、高校では増えているのだろうか。そこまでははっきりわからないが、「フランス語人口」のすそ野がずいぶんと広がったということはいえるだろう。だとしたら、嬉しいことだ。とはいいながら、これが「多様化」の成果としたら、なかなか微妙な問題も含んではいる。喜んでばかりもいられない。それは一方で「たこつぼ化」にも通じることだからだ。
さて、僕は元々「暗唱」というものが嫌いである。上から押しつけられるようで、妙な圧迫感を感じるからだ。語学の勉強法としても、あまりうまくいったことがなかったし(記憶力が悪いのだ)(あ、中学生の頃、英語の教科書を暗唱したっけな。でも高校生の時に英作文の「英語」は、なんか英語らしくなかったから覚える気もしなかった。)、人にもあまり「強くは」勧めたことがない(職業柄、人並みに勧めたりはするが、あまり気乗りはしていない。なにかを人に押しつけるのは嫌いだからだ)。だから「暗唱」の「教育的効果」については懐疑的だった。しかし、この「コンクール」を聞きに(見に)行って、いろいろなことを考えさせられた。
発音もしっかりしていてきれいだし、ジェスチャー混じりで、堂々と演じている。ものおじせずに「演じている」という感じだ。これって「カラオケ」ののりかもしれない。調音が「日本語的」な人もなかにはいたが、ほとんどの生徒が古典的な「フランス語的」調音で発音していた。これは、視聴覚の設備が発達した、高校にもネイティブの先生が入るようになった、帰国子女も混じっているなどなどの成果だろう。僕たちの世代とは隔世の感である。そのうち「フランス語的発音」が聞けるのは、本国フランスではなく、日本である、という時代がくるかもしれない。
「暗唱」なのにここまでジェスチャーが入るかって、思ったけれど、かなり大胆なジェスチャーを入れて、「感じ」を出していた。ひとり芝居の稽古を見ているようで、「劇」の感覚でやっているのかもしれない。なかなかおもしろかった。ジェスチャーを交えて話すというのは、日常的に(日本語を話すときに)今の若い世代にはかなり浸透しているのだろうか。フランスのテレビの天気予報を日本の学生に見せると、学生たちはげらげら笑い出す(喜び出す)という話はつとに有名な話だったが、最近はどうなのだろう。僕の感じでは、「直立不動」で話す学生が相変わらず多いように思う。僕も一ヶ月くらいフランスにいてから、日本に戻ると話すときに手や顔をかなり動かして話している自分に気がつき、周囲の冷たい視線を感じて、あわてて「直し」ていくという経験を何度もしている。
なんか詩の解釈が違うんじゃないかなというものもあり、悩んでしまったものもあったが、詩には「苦手意識」が強いので、自信がない。悲しみと喜びが逆に表現されていた。それは、ともかく、一つすごく気になったことがあった。ジェスチャーはどの国でも同じと高校生たちは思っているらしいということだ。Pour toi mon amour.というところで、一様に、「恋人がいると思われるところ」または「恋人」を人差し指で指差しながら言っているのだ(人差し指だから仕方ないか)。これにはぎくっとした。これは人を非難するときとか、喧嘩を売るときとか、ともかく挑発的仕草である(恋は挑発だとすればそれでもいいか)。滅多にできる仕草ではない。人に拳銃を向けるのといっしょだ。しかし、そう感じる「日本人」は少ないだろう。だから、僕も授業中に学生を指すときに「はい、君」とか「はい、あなた」とか言いながら(両手を広げながらの時もあるにはあるが)、学生を直接「人差し指で」指差すこともある。多少気が引けながら。しかし、学生から非難の眼差しを感じたこともないし、逆にそうしないとこちらの注意を引けない場合もある。
立命には、一年生にジェスチャーの話をするというネイティブの先生がいる。彼は奥さんが日本人で日本に数年滞在しているので、その違いを日々実感しているからだろう。あるジェスチャーがまるで反対のことを意味している場合は、ことが大きい。「こっちに来い」と「あっちに行け」が日本語とフランス語では正反対なのは有名な話だが、微妙な感情を表すための仕草が微妙に違って伝わってしまう。困った事態だ。しかし、これはなかなか理屈だけで収まるものではない。これは微妙な問題を含んでいると思う。フランス人の仕草を見ていても、たとえば、二十年前と今とを比較すると「微妙に」違っている。昔のような(昔からともいえるが)「古典的な(教科書的な、学校的な)フランス語」というものがフランス社会においても優勢とは言い切れなくなっていると思えるからだ。かなりブロークンの度合いは強まってきていると思う。とすれば、「フランス的仕草」と言い切れる地点を見いだすのはむずかしい。
フランス語教育 2000.4.19
「今後の大学におけるフランス語教育について」という題の小論文(作文)を書いた。むかし書いたものを書き直したものだが、教員公募の応募用の作文だ。研究との関連に重点を置いて書いてみた。この年で通るとは思わないけれど、世の中なにが起こるかわからないから、一応、出してみる。読者のみなさん、通ったら赤飯炊いてお祝いしてね。というか、その作文案をのせておこう。
修士論文以来、heterogene な「言語共同体」、homogene な「言語共同体」というタームで「言語」というものを考え続けてきた。それは、単に言語の問題でなく、文学の問題であり、政治の問題である。そのことの確認を私は、論文「バレスとナショナリズム」「『敗戦後論』とポストモダニズム」で行った。ナショナリズムは「言語」の問題と絡んで発生してきている。それは「自己」と「他者」とのかねあいをどのように考えるかという問題であるからだ。今後は、「バレスと知識人」というテーマでバレスの時代のナショナリズムの特質について研究を深めながら、現代の傾向についても検討していきたいと思っているが、ミシェル・ヴィノック『知識人の世紀』(1997,
Seuil)は、 興味深いことにバレス、ジッド、サルトルをそれぞれ、世紀末、戦間期、戦後を象徴する人物としてあげ、二十世紀を「知識人の世紀」としてくくっている。「知識人」を肯定するにせよ、否定するにせよ、「知識人」が機軸となっていた二十世紀をどうまとめるか。そして、つねに「知識人」は「真理」のそばにいるという発想に誤りはないかどうか考える必要があるだろう。それは「言語教育」をどうとらえるかということと絡み合っている。
最近の大学におけるフランス語教育については、したがっておさえておくべき点が二点ある。第一に、同世代人口の五割が大学に入学するという、超大衆化時代における大学入学者の総体的な「学力低下」である。大学に入学するにしても、本を読むことはもちろん勉強の仕方を身につけずにそのまま合格する学生が増えてきているのである。さらに、学校制度という「規範」の全般的崩壊という問題がある。「大学は正しい」という規範は、学生たちにとって成立していない。
第二に、フランス語の地位が世界の文化的影響力の面で相対的に低下したということである。フランス語はかつては先進的な高い文化の香りのする言語であった。だがいまはかつての影響力は持ち得なくなっている。欧米文化の根底にはフランス文化が息づいているという考えはもはや説得力を失っている。大多数の学生にとってフランス語は特別な言語ではなく、他の言語に並ぶ一言語にすぎない。大学生という名を持つ青年たちの学力も関心も多様化してきているのにあわせてフランス語・フランス文化の授業もまた多様化せざるを得ないと思う。言語文化のもっている多面性の一面だけ強調して学生に押しつけるのではなく、その多様な内容をさまざまに展開させながら、学生との関係を新たに構築し、学生を「ユーザー」(消費者)としてとらえ、学生(ユーザー)のニーズを発掘・創出していく努力がフランス語の教師にも求められていると思う。
フランス語教育 2000.3.30
きのう、ランコントル(関西フランス語教育研究会)に行った。会場の舞子ヴィラからは明石海峡大橋(パールブリッジ)がきれいに見えた。二日間あったが、僕は初日の昨日だけ出た。九十分のアトリエを三つでてから、懇親会だ。1) Le rai entre en classe. (ライがクラスにはいる)(粕谷祐己)2) フランス語をフランス文化っぽく教える(伊川徹) 3) Les infos de "France 2" bilingues (二カ国語のF2のニュース)(伊藤幸二)の三つだ。
1)は、アルジェリアの音楽であるライがフランスでいま「はやっている」こと、その解説文書はすべてフランス語であること、そうしたことの「現在的な意味」をライを聞きながら、ビデオで見ながら検討するというおもしろい話だった。粕谷さんは、ライに関するホームページも開いていて、とても詳しい。フランス「文化」はもともと「多文化」(多色)であるのだが、いま、在仏三世、四世のアラブ人(北アフリカ人、マグレブ)たちが数多いフランスの地で、アルジェリア起源の音楽が盛んに演奏されていて、一定の支持を得ていると言うことが興味ある。日本の地でフランス語を勉強するとどうしても「均質な」フランスをイメージしがちだが、ワールドカップのフランスチームを見てもわかるように、もともと「純粋な」フランス人などというものはなく、「フランス人」は作り出されてきたものなのであるということ、これからもそうであるだろうということ、このことは外国語としてフランス語を学ぶ、教えるときに押さえておかなければならないことだろう。そして、そのことからフランス語の世界に入っていくのも、一つの入り口だろう。
2)は、「パリの位置を地図上に示せといわれても、リヨンやマルセイユあたりを示してしまう学生」がたくさんいる大学で、どのようにフランス語を教えるかという話だ。最近の学生の基礎学力の低下に対して、大学教師はどのように対応したらいいのか。これはなかなか言葉で言うほど簡単ではない。教師が「肉体労働」(体力仕事)だと実感するのは、そのようなクラスを担当したときだ。専任教師から一方的に押しつけられるノルマ(文法事項のどこどこまで終了しろ)を適度にこなしながら、どう学生の動機を引き出していくか、ここが勝負所だ。考えてみれば、すべての学生がavoir を暗記しなければならないわけではないし、それよりも大事なこと、おもしろいことがあるはずだ。それはフランス文化のさわりをビデオやテープを駆使して学生に伝えることであろう。avoirの活用を覚えることより、セーヌ川の映像を見ることの方が、そしてセーヌ川は「あんまりきれいとちゃう」というのを実感した方が、はるかにフランスに近くなる(遠くなる)というものだ。そういうことって、高校までで何らかに形で体験しいてるはずなのだが、最近の学生さんは「勉強」しすぎで「学力」が下がって、どうもそのような体験はないらしい。
3)は、衛星放送でやっているFrance2のニュースを教材にどのような授業を展開するかというテーマだった。3回生のかなりできる学生が対象だから、同じ大学といってもすげーえ差です。ここで興味があったのは、「コカコーラがオランジーナ(フランスの国民的飲み物)の買収に失敗」というニュースを学生たちがどう受け止めたのか、それに対する教師の「反論」、その根拠などであった。ニュースを見、内容を取り、感想を述べあったあとに、教師は学生に尋ねた。1.オランジーナがコカコーラに買収されることについてどう思うか。2.テレビ局はこの合併についてどういうメッセージを送ろうとしているか。1.については、学生は「雇用が安定するからいいのではないか」という意見。2.については、学生は「テレビは中立のはずだ」という答え。
なるほど、最近日本の学生さんは、Globalization にはいっさいの疑いを感じないのだろう。不思議だ。これって、反米ナショナリズムの反動なのかな。「メディアの中立性」についても、まさかマジで信じているとは思えないが、そのような言い方しかできないのは、語彙の不足としか思えない。ともかく、「あっ」と思ったのは、アトリエの討論のときに、どこでテレビ局のメッセージは伝わったいるかという点だった。発表者は、いろいろと理屈をこね、それはそれで正しいのだが、一番大切な点を見落としていた、僕もいわれてそうかと思った。学生もそこを見ていなかった。
それは、「アナウンサーはほほえんでいた」というものだった。久米宏のニュースを聞くときには、彼の顔の表情が読めるのに、フランス語のニュースになるととたんに表情が読めなくなり、文字だけ(音だけ)をたどろうとする。とんでもないミスだ。
それから、「正しい理屈」で感心したことは、戦後のフランスの世界での対応で基本的に押さえておかなければならないことで、えてして忘れがちなこと(フランス人がごまかしてきたこと)だが、「フランスは第二次世界大戦で、二度負けているということ。一度目にはナチスドイツに、二度目はアメリカに」このことだ。フランスを「戦勝国」と考えると戦後のフランスがよく見えなくなる。
はじめに
最近の大学におけるフランス語教育については、おさえておくべき点が二点あると思う。まず第一に、同世代人口の五割が大学に入学するという超大衆化時代における、大学入学者の総体的な学力低下である。できる学生は極端にできるようになってきているが、総体的には、二、三十年前の高校生と考えた方がいいだろう。大学に入学するにしても受験勉強は、予備校が身につけたノウハウを丸暗記するだけで済ませ、本を読むことはもちろん、勉強の仕方を身につけずにそのまま合格する学生が増えてきている。
第二に、世界の文化的影響力の面でフランス語の地位が相対的に低下したということである。フランス語はかつては先進的な高い文化の香りのする言語であった。そしてそのことは否定はしないが、いま現在かつての影響力は持ち得なくなってきている。大多数の学生にとってフランス語はもはや特別な言語ではなく、他の言語に並ぶ一言語にすぎない。ならば、選択するとすればより身近な中国語とかイタリア語、スペイン語などを取るであろう。これは、高校で西洋史を学ぶ高校生がすくなくなってきている現状ではむしろ当然の帰結であろう。現代(ないしはポストモダン)におけるフランス語は、近代ヨーロッパにおける古典ギリシャ語の地位に似てきているのではないだろうか。
したがって、大学生という名を持つ青年たちの学力も関心も多様化してきている以上、それにあわせてフランス語のコースもまた多様化せざるを得ないと思う。一方に、西洋史も学び、欧米の文化の根底にはフランス文明が息づいていると考える学生たちがいるだろう。彼らに対しては、いわば「古典ギリシャ語」のような形でのフランス語が必要だろう。また、フランスはエレガントな国ぐらいにしかイメージできない学生たちに対しては、ある場合にはその「夢」のまま終わらせる「さわり」程度のフランスだけで十分かもしれないし、ある場合には、日常的なフランスを見せながら、「逆にフランスって日本とあまり変わらない」という親近感を感じさせる必要があるだろう。そして、その中から「フランス的なエスプリ」が微妙に感じられるようにしていくべきだろうと思う。いずれにせよ、言語文化のもっている多面性の一面だけ強調して学生に押しつけるのではなく、その多様な内容をさまざまに展開させながら、学生のニーズを発掘していく努力がフランス語の教師にも求められていると思う。(終わり)