北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(北見・池田)


最新乗車 1998年夏


ふるさと銀河線は、たまねぎの名産地の北見と、ワインで有名な池田を結ぶローカル線である。国鉄→JR北海道で唯一第3セクターで鉄道を存続させたこの北海道ちほく高原鉄道であるが、沿線は過疎地域で経営は苦しいらしく、光ファイバーを設置する場所として電話会社に線路敷を貸したり、菓子会社とタイアップしたり、札幌と網走を結ぶ高速ルートとしてアピールしてみたり、いろいろ生き残る工夫をしているようである。また、かつては、札幌と北見、網走を結ぶメインルートとして網走本線と名乗っていたこともあったが、後に開業した石北本線にお株を奪われて以来、そのままである。特急「オホーツク」の高速化に名乗りを挙げているのは、その奪われたお株を取り戻そうとしているようである。開業当初は、車輌不足からJR北海道のキハ40やキハ22を借りていたこともあったが、現在は新潟鐵工所製の軽快気動車CR70型とCR75型にて全列車が運行されている。

北見を札幌方向に出発した列車は、地下にもぐる石北本線と別れて左にカーブする。市街地を抜けると、常呂川に沿って北見盆地の真ん中の田園地帯をゆったりと走る。周囲に人家は少ない。鉄道として存続を図った理由が判らなくなるほどである。たまに現れる駅も小さい。しかし、無人停留場に廃貨車を使った待合室がなく、開業以来と思しきボロボロの木造待合室が使われているのは、それはそれでいい雰囲気である。夏場に通ったので、夏草に埋もれそうな雰囲気がなんとも。列車はそんな駅を、徐行して軽くタイフォンを鳴らすのみで通過していく。乗降客も殆どおらず、使う人間も限られているだろうので、そのような扱いなのだろう。

やがて盆地が尽きてくると置戸である。駅舎が、公民館でも併設しているのか新築で立派なものであった。ここから山越えにかかる。人家はさらに少なくなり、農地も見当たらなくなることで、人の気配も殆どなくなる。やがて線路の周囲は原生林となり、その中をくねくねと登って行く。たまに、けたたましいタイフォンとともに急ブレーキがかかることがある。エゾシカなどの野生動物の直前横断である。運転士の話によると、「オスのエゾシカや、ヒグマだったら列車が負ける」のだそうで、線路を悠々と跳ねて逃げて行くエゾシカを見ながら、私は少々ゾッとした覚えがある。

常呂川水系から十勝川水系に変わり、十勝川の支流の利別川に沿って下って行く。屈曲した川を何度も渡りながら急勾配を下り、ようやく周囲が開けてくると陸別である。しかし、まだ十勝平野に出たわけではなく、小さな盆地である。そのため、陸別を出ると利別川の刻んだ細い谷を走る。相変わらず、利別川は屈曲しており、次々と鉄橋を渡る。河原や、その周辺には放牧地が広がっていて、牛がのんびり草を食んでいる。足寄を過ぎる頃には谷も大きく広がるようになり、十勝平野に出てきたような気がしてくる。周囲には広大な畑が広がる。小豆や大豆の生産地だそうである。本別から列車は十勝平野の東端に沿って走る。菓子工場に併設された岡女堂を過ぎ、根室本線が右から近付くと池田である。ワイン城が左上に見える。一部の列車は、JRのキハ40と併結して帯広まで乗り入れている。16m級の軽快気動車と21m級の気動車が併結して走る姿は結構ユーモラスである。


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