根室本線(滝川・根室)


最新乗車 2000年夏


根室本線は滝川函館本線と別れて、道東を目指す幹線である。終着駅の1つ手前の東根室は日本最東端の駅である。また、路線は大きく3つに分けることができる。かつて特急「おおぞら」や急行「狩勝」などが走っていたが石勝線開通に伴いローカル線に格落ちした滝川上落合信号場間、特急「スーパーおおぞら」や「おおぞら」が疾走し、実質的な幹線の地位を保っている上落合信号場釧路間、そして観光路線として脱皮を図ろうとする釧路根室間の3つである。この路線の性格もあって私は細切れに乗車し、かつ上下もバラバラであった。今回は考えた挙句、起点の滝川から順に書くことにする。

滝川を出ると、右にカーブして函館本線と離れる。ここから富良野までは、そんなに山がちでもないのだが、かつて炭鉱で栄えた夢の跡を空知川沿いに辿って走る。赤平には石炭の積み出し施設が今でも残っているし、広いヤードの跡、人気のない炭住などかつての名残は随所に見られる。また、富良野発着の貨物列車が残っており、それと擦れ違う楽しみもある。ちなみに私は夕方滝川を出る快速「狩勝」で交換した。野花南を出て、滝里ダムの付け替え線である滝里、島ノ下トンネルを抜けると田園地帯に出、左から富良野線が近付いて富良野に到着する。ここは駅も広く、前述の通り貨物取り扱い施設があったり、旧型客車を利用したツーリングトレインなんかもある。何より観光地なのでシーズン中はリゾート特急も乗り入れ、乗降客も多い。ただ、1998年の秋一杯でフラノエクスプレスが廃車になったのは残念である。

富良野を出て空知川を渡った辺りから山間に入っていく。ここから幾寅までの区間は映画「鉄道員」のロケに使われており、また、金山東鹿越間には、鉄道写真の撮影地としても有名で、劇中にも出てきた金山ダムのダム湖を渡る鉄橋もある。区間によっては芦別岳を右に望むこともできるらしい、しかし、私の乗ったときは曇っていて見ることができなかった。東鹿越からはかつて釧網本線の中斜里まで石灰石を運ぶ貨物列車があったが、最近なくなってしまった。「幌舞駅」に化け、さらに終着駅にも化けた幾寅を過ぎると山はさらに深くなり、狩勝越えの旧線を別つと新狩勝トンネルに突入し、すぐに石勝線と合流する上落合信号場を通過する。

このトンネルを出ると、ヘアピンを描いて十勝平野へ下っていく。方位磁針を持っていると、クルクル回るのでそれを体感することができる。このヘアピン、コーナーは基本的に2ヶ所なのだが、坂や急曲線に弱い鉄道だけに14kmも続く。コースを説明すると、東西方向に一直線の新狩勝トンネルを出て、新狩勝信号場を通過するとすぐに右カーブして南下、広内信号場の辺りから北上、西新得信号場を過ぎてしばらくすると南下、ある廃線跡が合流して左にカーブすると新得である。この間、十勝平野の雄大な眺めを堪能することができ、進行方向左側に座っていれば、これから走っていく線路を見つける事もできる。で、この新得手前で合流する廃線跡だが、狩勝越えの路線改良前の旧線である。この線路は廃止後、国鉄技術研究所(現、鉄道総合技術研究所、通称JR総研)の実験線として、列車火災や脱線転覆など数々の実車実験が行われ、貴重なデータを得ることができたという。1979年にその役目を終え、線路はつい最近まで残っていたらしいが、筆者が訪れたときにはすでに撤去されていた。新得の駅そばは地元十勝平野で産出されたそばを使っており、実にう まい。

さて、さわやかな駅舎を持つ新得を出ると、広大な畑と牧場が一面に広がる「典型的な北海道の風景」の中を走る。この辺りではまだ丘陵地であるが、芽室の手前ぐらいから十勝平野が大きく広がり、線路もほぼ直線になる。十勝平野を形成した十勝川が並行しているのだが、車窓からはなかなか見えない。西帯広の辺りで日本甜菜製糖の工場へ向かう十勝鉄道の専用線が左に並行するようになり、帯広貨物駅を過ぎる。ここは帯広駅のヤードの役割も果たしており、旅客車輌も停まっている。高架線に駆け上がり、PC斜張橋を渡って帯広駅に到着する。

帯広駅は最近高架化され、景観に配慮するため、ラーメン式高架橋だけでなく、桁式高架橋も採用され、また橋桁のデザインに工夫が施されている。前述のPC斜張橋もその一環である。かつて帯広駅はその前後で士幌線と合流、広尾線と分岐していたが、現在はどちらも廃止され、路盤だけがそれとわかって伸びている。帯広を出て、市街地を過ぎると農業地帯に入り、十勝川を渡る。ここからしばらくすると左から北海道ちほく高原鉄道が合流して、池田に到着する。池田は、十勝ワインの中心地で、駅裏にワイン城がそびえている。ここではワインの製造過程を見学でき、さらに試飲などもできる。

池田を出てしばらくすると、太平洋岸にでる。ここから釧路まではこの太平洋と延々と付き合うことになる。ただ、この辺りは霧も多く、眺望はもしかしたら期待できないかもしれない。事実、私がそうであった。また、新吉野駅で畑の中に佇む丹頂鶴を夏に見掛けた。冬が過ぎても移動しない鶴はどれほどいるのだろうか? かつて白糠線が分岐していた白糠を過ぎ、海が離れて市街地が広がると、広い構内を持つ釧路に到着である。釧路の街にはかの有名な幣舞橋などもあり、観光資源に富んでいることから、神戸市交通局から譲渡されたレトロ調バスを使用した無料循環バス「くるりん」も走っている。

釧路を出、東釧路で左に釧網本線と分岐する。それとは別に駅手前で右から寄ってきて、駅を過ぎて右に別れて行く線路跡がある。太平洋石炭販売の専用線跡である。現在は石炭を船積みしているためJRに用はないのだが、かつては東釧路で貨車の受け渡しをしていたのである。この先から、人跡稀な湿原、山間を走るようになる。駅の周りに少し集落が広がっているぐらいである。個人的には「尾瀬湿原に至る登山道を列車で走るような雰囲気」と感じた(この例え、実際尾瀬に行ったことのある人にしかわからないかも…)。門静の辺りから右に厚岸湾を見て走り、駅弁の「かきめし」で有名な厚岸に到着する。立ち売りなんかもあるこの厚岸駅なのだが、時間があるなら駅前の販売所に行くのもいいかも。目の前で駅弁を盛り付けてくれ、ほっかほかのかきめしを食することができる。

厚岸からはずーっと原生林だの湿原だのが続く。今までの道を尾瀬への登山道と例えたが、ここからは尾瀬湿原の中の木道を走るという雰囲気である。ちらりと海がまた見えたりし、日本最東端の駅である東根室を過ぎる。この駅、板張りの2輌分ぐらいのホームがあるだけで素っ気無く、周囲は根室の住宅街である。臨港線の跡が合流し、終着駅根室へ滑り込む。ノサップ岬へのバスへ乗りかえれば、さらに東を目指すことができる。また、花咲ガニを求めるのもいいかもしれない。


北海道編目次に戻る
ホームへ戻る