花輪線(大館・好摩)


最新乗車 1996年夏


花輪線は、奥羽本線の大館東北本線(いわて銀河鉄道)好摩を、十和田湖の南側を通って結ぶローカル線で、SLブームの頃は8620型蒸気機関車の3重連が走るということで鉄道マニアが大挙して押しかけたこともあったが、今は、そんなことがあったなんて感じさせない静かな路線である。私が乗車した頃は、腕木式信号機やタブレットが現役であったが、それも1999年に自動化され、その姿を見ることはできなくなった。

鶏めしで有名な大館駅の主に3番ホームを出た列車は、向かうべき方角とは逆の北に向かって走り出す。構内を外れた頃から上り勾配と左カーブが始まり進路を南に変え、奥羽本線を跨ぐ。わざわざ立体交差を設けてまでこのような線形にしたのか不思議である。別に、次の東大館との高度差があるために線路延長を長くして勾配を緩和したわけではなさそうだし、あるとすれば、用地買収に失敗したか、奥羽本線を跨いですぐに渡る川との関係があるのか、そんなところであろうか。大館市の中心街に近い東大館を過ぎると田園風景の中を走るものの、周囲の山々が迫ってきて徐々に米代川の谷間に分け入っていく。並行する国道103号線は十和田ICで東北自動車道に繋がるため通行量が多いが、こちらはダイヤ改正後とに列車が減らされていくぐらいの客の少なさである。ただ、この路線の列車は全て車掌乗務でワンマン運転は行っていない。客が少ないのだから、ワンマン運転ぐらいすればいいのにと思うが、なぜかワンマン化されず、山田線などと共通運用のキハ58やキハ52が主体となって走っている。

東北自動車道をくぐり、右側から線路が近付いてくると十和田南である。別に坂が急なわけではないが十和田南で列車はスイッチバックし、前述の線路を走ることになる。石北本線遠軽や、西武鉄道池袋線の飯能と同じ形態である。大館方、好摩方からも真っ直ぐ十和田湖に向かえるようにこの線形にしたのだとか、そうでないとか聞くが、真意のほどは定かではない。列車は向きを変えて十和田南を出る。ここからは延々と東北自動車道に沿って走る。この道路のせいで花輪線の立場がなくなったといっても過言ではない。鹿角市の中心のあるちょっとした盆地を抜け、列車は八幡平を過ぎたころから米代川の渓谷に入って行く。温泉街の湯瀬を過ぎると秋田県と岩手県の県境を越え、田山からは併走する国道282号線、東北自動車道と分かれて峠越えにかかる。ここから荒屋新町までの区間は、花輪線を含めた3ルートの交通路がそれぞれ3つの違う峠を選択して越えているというユニークな区間である。たいがい峠越えは交通路が集中するものだけに、このように分散しているのは珍 しいのではなかろうか。

スキー場のある安比高原を出て、急勾配を延々下ると松尾八幡平である。かつて、この急勾配区間を越えるために蒸機の3重連が実施されたのであるが、龍ヶ森が安比高原に、岩手松尾が松尾八幡平に改称され、30年も経ってしまった今となっては面影はない。徐々に田園風景が広がってきて、左から東北本線(いわて銀河鉄道)が近づいてきて好摩に到着する。列車は東北本線(いわて銀河鉄道)に乗り入れて盛岡まで走っていく。


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