2007年1月−4月

1月1日(月)6日(土)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#a1_6
●2007年も2006年同様、週1辺りを目標に更新予定です。
●大きめの書店で『赤朽葉家の伝説』(桜庭一樹/東京創元社)を探すも見つからない。店員さんに聞いてようやく見つかったのであるが、見つからなかったのは《ミステリ・フロンティア》の1冊と思って探していたから。まさかあんな、真っ赤っかな表紙だったとは……。
●で、例年通りの(?)年間ベスト本格以外。
 
『チョコレートコスモス』(恩田陸/毎日新聞社) 【bk1
 恩田版『ガラスの仮面』と言う枠を抜きにしても面白い、久々の快作。
『Op.ローズダスト』(福井晴敏/文藝春秋) 【bk1
 クライマックスシーンは映像化不可能では、と思わされる厚めの上下巻一気読み。
『図書館戦争』(有川浩/メディアワークス) 【bk1
 笑いアリ笑いアリ笑いアリの作品。まさか続編が出るとは思いもよらなかったけれども。
『探偵と怪人のいるホテル』(芦辺拓/実業之日本社) 【bk1
 作者のデビュー短編を含む怪奇幻想作品集。作者の探偵小説への拘りが存分に伺える1冊
 
 と言ったところ。
●『死の相続』【bk1】『くたばれ健康法』『ねこのばば』【bk1】読了。

1月7日(日)〜12日(金)
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●『私のハードボイルド 固茹で卵の戦後史』(小鷹信光/早川書房)【bk1】★★★★
 ハードボイルド研究の第一人者が己のハードボイルド体験を元にして書き下ろした、自伝的評論。著者の小鷹信光は、個人的にはハードボイルド作品の翻訳の訳者としてしか知らない。以前幻冬社文庫から出ていた『探偵物語』があの同題テレビドラマの関連本だったとか(どうやら制作ブレーンの一人だったらしい)全く知らなかった。更に、本書ではハードボイルドという語彙がどのように輸入されて定着していったかのクロニクルもありジャンル史概論としても興味深いものがある。
 ただ、やはり、作者が海外ハードボイルドの第一人者だからなのか、国産のそれはあまり言及されておらず、同じワセミスにいた大藪春彦あたりくらいしか詳しい言及はない。それもデビューの一時期くらいのもので、全般的に国産ものへの言及は少ない。
 とはいえ、協会賞候補にはあがるだろうし、受賞に最も近い作品かも。いろんな意味で興味深い一冊故に読む機会があるなら読みのがす手はないと思います。
●『悪霊がいっぱい!?』『悪霊がホントにいっぱい!』『悪霊がいっぱいで眠れない』『悪霊はひとりぼっち』『悪霊になりたくない!』『悪霊とよばないで』読了。

1月13日(土)〜26日(金)
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●本格ミステリ大賞の候補作、今年は(「も」か?)結構予想が難しいかも。個人的には『ステーションの奥の奥』とか挙がると面白いと思うんだけれども。有栖川有栖の『乱鴉の島』は挙がるかどうか謎だしなぁ。『シャドウ』とか『顔のない敵』、『厭魅の如き憑くもの』辺りは堅いかも。評論の方は『論理の蜘蛛の巣の中で』と『ミネルヴァ』以外の予想がつかない。『幻影城の時代』は目次や評判をみると挙がりそうな気もしないではないが、以前コロンボの同人誌が入手可能性を鑑みられて候補から落ちたようだしなぁ(『幻影城の時代』はまだ入手はしていないorz 増刷及びbk1が頼み)。
●『悪霊だってヘイキ!(上)』『悪霊だってヘイキ!(下)』『久遠堂事件』【bk1】『アニーの冷たい朝』【bk1】『ステーションの奥の奥』【bk1】読了。

1月27日(土)〜2月2日(金)
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●「SHINOBI」★★☆
 山風忍法帖の嚆矢とも言うべき『甲賀忍法帖』を原作にした映画。公開時毀誉褒貶と言うより罵詈雑言の嵐で或る意味話題をさらった作品だ。物語の骨子は世継ぎを決める為の争忍で、甲賀卍谷VS伊賀鍔隠の構図自体までは原作通り(尤も、別の意図も加えられてはいるんだが)。が、10対10のトーナメント戦で最大限に効果を発揮するように用意された能力故に、5対5に無駄に減らされたが為に見せ場が激減するわ(特に、不死の忍者薬師寺天膳の散りっぷりは爆笑ものに変わってしまった)、忍者らしからぬ乙女だった朧が馬に乗って駆けめぐるというように忍者らしくなるわ等で原作クラッシュぶりは最強。制作者の原作に対する敬意はあったのか? と疑うほど。確かに、原作ファンの罵詈雑言は致し方ない。特に、既にせがわまさきによる超絶の漫画化作品『バジリスク』を読んだ人にとっては。
 が、あくまでそれはこの映画を「原作」山田風太郎『甲賀忍法帖』と思って観た場合の話。原案を通り越して中途半端にパクって滑った映画と見ればさほどの怒りもない(笑)。映画ならではのアクションシーンはまあまあ良かったし、風景は綺麗だし。時代考証不足の面がいくつか見られたが、これも中途半端にパクったと思えばどうでもいいし。まあ、出演者のファンだ、と言う人もしくは山風の名がクレジットされているからには何が何でも観なければいけない、と言う人達が見ればいい映画です(まあ、トウのたったアイドル主演のアイドル映画だと思えば良くできた部類でしょう)。
●『天使が開けた密室』【bk1】『中庭の出来事』【bk1】『青鱗館の恐怖』【bk1】『オモチャ箱』【bk1】読了。

2月3日(土)〜9日(金)
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●『ライトノベル☆めった斬り!』(大森望、三村美衣/太田出版)【bk1】★★★☆
 メッタ斬り人大森望とラノベ方面に詳しい美村美衣の二人がタッグを組んでライトノベルの歴史概論を対談形式で行ったもの。その起源とか隆盛、近年のライトノベル(評論)ブームなんかもカバーしており、「結局ライトノベルって何?」という人は本書を読むといいかも。ライトノベルの流れの上流としてジュブナイルがあると思ってたけれど、それは微妙にずれている(全くの間違いではないようだが)、と判ったのが収穫かも。びっくりしたのもあって、まさか、角川のお家騒動がライトノベル史に関わってくるとはしらなかったよ。色んな意味で勉強になる本でした。
 が、結局ライトノベルって何なの? という疑問が個人的に100%腑に落ちたかというと謎。つうのも、ガイドの項で自分の脳内定義でいうとチョット違う、と言うのがいくつかあったりしたからなんだけれども(主にパッケージングの問題。ラノベ系の挿画がない、四六版ででた作品が入ってたもんで)。とは言え、基本路線は今までの考えで良さげなんだけれども。ま、それはともかく、いくつかは機会があれば読んでみようかな、と言うのがあったので収穫があったと言えばあった、と言う感じ。
●『緑色遺伝子』『密室と奇蹟』【bk1】『赤朽葉家の伝説』【bk1】読了。

2月10日(土)〜16日(金)
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●『幻影城の時代』(「幻影城の時代」編纂委員会編/エディション・プヒプヒ)【bk1】★★★★★★
 乱歩の評論集ではなく、1970年代半ばに颯爽と現れて4年という、あまりにも短い期間のみ刊行された伝説の雑誌。ここから連城三紀彦や泡坂妻夫、栗本薫、田中芳樹、竹本健治などの作家が生まれる。そして、1987年に刊行された綾辻『十角館の殺人』を嚆矢とするミステリムーブメントに多大なる影響を与えた。綾辻以降に登場した本格ミステリ作家の中で直接間接共に影響を受けなかった作家は皆無であろう、と言うくらいに重要な雑誌だ。
 どうやら、本書は、集中の眼目である島崎博インタビューが核になって出来上がったものらしい。元々このインタビューを単体で別の場所で同人誌化する予定だったようだ。それが紆余曲折を経て島崎博以外の関係者のインタビューやエッセイ、島崎博関与著作リストなどの資料を含めた1冊になるのだから世の中判らない。「幻影城」に興味ある人ならば必携の1冊であろう。
 で、私の場合、「幻影城」に接したのは言うまでもなくリアルタイムはあり得るわけもなく、出身作家の著作なんかの解説とかでその存在を知ったのみ。関係書物で持っているのは別冊幻影城の「横溝正史の世界」のみで本誌は1冊も持っていない。まあ、そもそも雑誌関連はさほど興味がないからなのかも知れませんが(今現在定期購読しているのは「ミステリーズ」と「メフィスト」だが、後者は定期的に必要箇所をコピーして処分しているし)。本誌そのものはほとんど読んでないけれども、その後に与えた影響なんかを鑑みると資料をかいま見るだけでもそのすごさはよくわかるわけで。考えてみると、古本屋で頑張れば全巻そろえられるってかなり凄いかも(とは言え、そろそろ難関になりつつはあると思うが)。
 内容とは関係ないんだけれども、本書を読んでる最中に版元に殺意が。いや、出来が悪いというわけではなく、こんな良いものを初版が切れたからって品切れのままにしていることに対して。まあ、色んな問題があるのは判るけれども、版元品切れの直後に新聞で紹介されているので需要はあるはずだし。あ、私が読んだのは、大阪にいる知人が押さえてくれてて、それで購入がかなったものです。増刷するのは、ここまで上質のものを造ったものの義務でしょう。(入手してなかったら増刷されれば喜んで買ってたと思う)。また、本書は商業出版化が企画されている、との噂はある。しかし、本書収録を全部納めた上での増補ではない、との噂もある。噂の真偽はさておき、よほどの事情で不可能ではない限り、最低1回は増刷してほしいとは思う。本書入手前の私同様あまりにもの早さで品切れになって泣いてる人は少なくないし(オークションで1万円以上の値が付いたらしい、と言うことからも本書の需要は伺えるし)。
●『密室殺人ゲーム王手飛車取り』【bk1】『完全犯罪に猫は何匹必要か?』【bk1】『天帝のはしたなき果実』【bk1】『龍の館の秘密』【bk1】読了

2月17日(土)〜23日(金)
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●『読書会』(恩田陸、山田正紀他/徳間書店)【bk1】★★★☆
「SF JAPAN」(徳間書店)に連載された連続対談を中心にまとめたもの。取り上げられるのは小松左京や萩尾望都、ル=グインやアシモフといった古典大御所雨霰。例外的に恩田陸の《常野物語》連作や山田正紀の『神狩り』とかあったりと、課題本に挙がった本人の照れ具合も結構楽しい。
 ノリとしては以前原書房から刊行された『本格ミステリーを語ろう[海外編]』。これをSFでやろう、と言うのが本書のコンセプトのような気がする。結構作者のSF観や読書観が色濃く現れているのでそう言う意味では恩田陸もしくは山田正紀のファンは必読の1冊かも。
 しかし、恩田陸と萩尾望都対談は載ってたのに、『神狩り』を巡る山田正紀×笠井潔対談が収録されていないのは何故か。結構謎だ。『神狩り2』の文庫版にボーナストラックとして載るのか、それとも『神狩り』を徳間の文庫で再刊する予定で、そこに入れるからなのか。恐らくは入れ忘れただけなんだろうが(ページ数の問題?)、結構残念。
●『天使の傷痕』【bk1】『生ける屍』『密約幻書』『EDGE2』【bk1】『笑う月』【bk1】読了

2月24日(土)〜3月2日(金)
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●『探偵小説五十年』(横溝正史、中島河太郎編/講談社・絶版)★★★☆
 横溝正史というと戦後矢継ぎ早に発表した『本陣殺人事件』『獄門島』『蝶々殺人事件』といった傑作群の作者として知られるが、作家として一本立ちする前はあの戦前探偵小説の牙城であった雑誌「新青年」に編集者として在籍していたと言う事実はあまり知られていないと思う。本書は《横溝正史全集》や《人形佐七捕物帳全集》の月報に連載されていたエッセイやその他諸々のエッセイを収録したものになっていて「新青年」の編集者時代の話も結構書かれている。渡辺温を「新青年」に引き込んだのが横溝正史だった、とか海野十三デビューに立ち会っており、その編集秘話が明かされたり乱歩の厭人癖の真相とかあったりと戦前戦後探偵小説界の裏話多数。
 ただ、どうも横溝正史はこういったエッセイは得意ではないようで、本書より後年書かれた『真説金田一耕助』や死後編まれた『金田一耕助のモノローグ』収録のエッセイと重複するところがあり(もしかすると後者は本書から採ったものも含まれている?)、探偵小説はともかくエッセイの引き出しは少なかったようだ。
 残念なことに、こういったエッセイの類は小説とは違い再刊される割合は少ない。本書収録の一部は後年いくつかの媒体でおまけとして付いている場合もあるので当面の間――最低向こう十年は――再刊の機会はないと思われる。とは言え、『横溝正史 自伝的随筆集』が従来のエッセイ集で抜けている編集者時代の話を網羅しているようなので、無理してこの本を探す必要ないのかも。
●『瓦礫の矜持』【bk1】『復員殺人事件』『悪夢の棲む家(上)』『悪夢の棲む家(下)』『天使の牙(上)』【bk1】『天使の牙(下)』【bk1】『虹が消える』読了。

3月3日(土)〜9日(金)
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●『異形コレクション讀本』(井上雅彦編/光文社文庫)【bk1】★★★★☆
 今年2007年は、シリーズ第1冊目である『ラヴ・フリーク』が廣済堂文庫から発刊されて10年目になる年らしい。そうか、もう10年なのか、と或る意味感慨もひとしお。と言うのも、このシリーズを読んだ前後からミステリだけではなくSFやホラーに本格的に耽溺するようになったのだ。つまり、SFやホラーの読者歴10年というわけで。とは言えミステリに比べると読む量は微々たるものだし(グレーゾーンは結構あるかも)、ほぼ必ず読む、と言う作家もそういるわけではないし、その作家もミステリ寄りの作家さんが多いし。とは言え、このシリーズがなければ手に取ることもなかったかも、という作品もあったりするのだけれども(朝松健の『邪神帝国』とか)。考えてみると、山風伝奇を楽しめるようになったのも《異形コレクション》を読んできたからだし、本格なんて括りより寧ろ基本は面白けりゃなんでもいいと思えるようになったのもこの叢書を読んでからだ。己のミステリ観の変化にも関わってきているなぁ、と《異形コレクション》本来の意図とかけ離れた影響を受けた人間がここに一人。
 本書はこの《異形コレクション》を廣済堂文庫時代から俯瞰した評論や寄稿者アンケートや主要執筆者の一人菊地秀行インタビューや光文社文庫でアンソロジーを作った3人による鼎談など豪華絢爛。更に公募で惜しくも選に漏れた作品の蔵出しなど今まで《異形コレクション》に関わった人間によるお祭り騒ぎだ。そもそも《異形コレクション》が或る種のお祭り騒ぎなので、本書は一つの特別公演と言うことも出来るだろう。ミステリの見地から《異形コレクション》を読み解いた千街評論はミステリ側から見ると非常に興味深い。他の評論もまた興味深く、《異形コレクション》のすそ野の広さを改めて感じさせる。
 最後にいやらしいことを書くと、本書は10年後20年後の叢書の最強のキキメになることが予想されるので(笑)、《異形コレクション》読者はもとより興味のある人はとりあえず押さえておくことをオススメしておきます。で、ブックオフ等で見かけたらだぶらせておくと(待て)。
●『大いなる幻影』『ミハスの落日』【bk1】『死にぞこない』『サロメ後継』【bk1】読了。

3月10日(土)〜16日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0610_12.html#c10_16
●ちまたで話題の「本格ミステリワールド2007」、通称俺ミスw。「本ミス」が投票でランキングを決めて発表の発表を中心に据えたのに対して「本ミスワールド」は3人の選者による「黄金の本格ミステリー」を中心に据えたもの。近いのは探偵小説研究会が創元推理文庫から何冊か出していた『本格ミステリこれがベストだ』か。尤も、あくまで近いものを強引に挙げただけで別物。『本格ミステリこれがベストだ』は評論中心なのに対して「本ミスワールド」はコラム中心。後、グラビアとか作家の本格観や予定など。悪く言えば『本格ミステリこれがベストだ』の劣化コピー。インタビューはさておき、カラーグラビアなんぞどこにターゲットを絞ったか謎だし(これで単価がいくら上がったのか)。また、黄金の本格ミステリーも「本ミス」「このミス」から漏れたものにも傑作はある、と言うのが隠しコンセプトの一つと思うが、かぶってるものいくつか。更に言うならば、ほとんどが何らかの形で言及されていたりベスト20内に入ってたりと意外性がない(この辺――漏れたもの云々――は深読みのしすぎか)。
 ところで、序文で島田荘司がランキングの投票に対する内輪ぼめを危惧及び批判しているが、「このミス」はわからないけれども、「本ミス」に関しては内輪ぼめというのはないように思える。前にも書いたが、「本ミス」は読者投票のランキングがあり、順位は変わったりしはするものの挙がる作品がさほど変わらないのだ(せいぜい5作違うのが見られるくらい)。まあ、ボーダーライン上にあって甲乙つけがたいなんて時に知り合いや仲がいい作家の作品を挙げる、と言うことは少なからずある可能性はあるが、その程度の判断は別に内輪ぼめでもなんでもなくて一つの判断基準、或いは人情としてはありであろう(もちろん、その場合は李下に冠を正さずで別の作品を挙げるべきだ、という意見もわかりはする)。で、「本ミスワールド」の黄金の本格ミステリーの選出は恣意的な面もあるので、それこそ内輪ぼめの温床になりやしないか、とおもったりもするんだが。
 個人的にここ何年かのランキングが面白いとは思わないのだが、だからといってやめた方がいいよね、と言う考えはない。続きは日を改めて。
●『GOSICKW』【bk1】『議会に死体』【bk1】『霧に溶ける』【bk1】読了。

3月17日(土)〜23日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#c17_23
●前回の続き。ランキングは寧ろ、商業的に採算が取れるのであれば半永久的にやってほしい、と言う考え。何故かと言えば、これらランキングというのは一種のカタログだから。この年にこういう秀作佳作傑作が出た、と言うのを残すための。こういうカタログは必要で、無いと後の新たな読者が過去にどんなものがあったかわからなくなるのだ。もちろん、定期的にランキング結果をまとめたり十年のベストとかいうのはやるべきであろうけれども。まあ、1位すなわち初心者や普段そのジャンルを読まない人が読むのに適したものとは限らないものの、なんの手がかりもなく探して読むよりはスカを引く確率は低くなるわけで。同様の考えで本格ミステリ大賞とか推理作家協会賞を見てたりもする。特に後者はもう少し候補作を全面的に、見やすい形で公開してほしいかも。「推理小説ノート」は休止中だし、協会のサイトはチョット探すのに面倒だし。
 なんでこういう事を思うかといったら、旧「宝石」以降の1960年代から「幻影城」、文春のベスト開始迄の秀作傑作佳作がほとんどわからないから。多岐川恭の作品で顕著だが、解説やガイド等で死ぬほど言及される作品以外にも読むべき作品は至る所に転がっているのだ。この時期にこういったランキングがあれば……と思ったり。まあ、存在が判ってても読めなかったり読む気力が湧かなかったりで、存在は知ってるが読んでない持ってない読む気もないと言うのが文春のベスト以降のランクインした作品で死ぬほどあるのでランキングを十二分に使いこなせてないんだけれどもさ。
 ランキングに頼らなくてもガイド本があるじゃん、と言う意見もあるであろうが、ガイド本は限られた紙幅である程度の一を紹介せねばならないためか一面的になっているきらいがある。加えて各レビューの分量が少なく物足りない。まあ、「このミス」とかのランクイン作のレビューに満足しているかというとそれは別の話だけれども。
 と言うより、1960年〜1970年代前半迄の傑作秀作佳作を紹介したガイドって今ないんだよなぁ。「ミステリーズ!」で連載完了した『本格ミステリフラッシュバック』が本になれば旧「宝石」〜雑誌「幻影城」間のミッシングリンクが、本格ミステリ方面は埋まるのであろうが。
●『氷海の狼火』【bk1】『少年検閲官』【bk1】『時を巡る肖像』【bk1】『図書館内乱』【bk1】『法廷外裁判』『猟人日記』『枯草の根』読了。

3月24日(土)〜30日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#c24_30
●『迷彩都市カモフラージュ・シティ』(我孫子武丸原作、中山昌亮画/竹書房)【bk1】★★★
 ドラマにもなった『PS−羅生門−』の画を担当した中山昌亮と「かまいたちの夜」シリーズの我孫子武丸が組んだ麻雀をモチーフにした漫画。モチーフと言っても、麻雀パイが犯行現場に残ってたり、被害者が麻雀のプロだったりという程度で、麻雀が判らないと謎解きわけわかんない、と言うわけではない。竹本健治のゲーム殺人三部作を期待すると肩すかしであるが、プロットそのものや仕掛けは面白い。更に、中山昌亮の画がいいんだなぁ。この人に人情味のある刑事を描かせたらなかなかのもので、或る意味子の作品に最大限に貢献したのは中山昌亮だ。おまけ漫画の雲雀萌え、と言うのはさておきw
 もう少しひねりあった方が好みではあったんだけれども、普段ミステリを読まないと思われる掲載紙の読者層を考えればこれが丁度いいのかも。そう言う意味では、同じコンビで別の媒体でまたやってほしい、と言う気もする。
●『白鳥の歌』【bk1】『炎に絵を』『嘲笑う男』【bk1】『晩夏に捧ぐ』【bk1】読了。

3月31日(土)〜4月6日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#c31_6
●『幻妖 山田風太郎全仕事』(一迅社)【bk1】★★★
 ヴィジュアルムックの1冊。このシリーズは他に夢枕獏とか菊地秀行、池波正太郎が取り上げられている。
 一言で言えば山風作品ガイド+αであるが、物足りなさすぎる。+αで発掘作品「魅入る」が収録されているのや『別冊新評 山田風太郎の世界』からインタビューを再録したものが目玉としてあるものの、それ以外の各ジャンルレビューが文字数少なすぎ。短編集なんか申し訳程度に各収録作に触れる程度のものだったりしているので、どうせならば長編及び連作短編(総論)に絞れば良かったのにと思ったり。ただ、柳生十兵衛紹介とか、明治もの主要登場人物紹介は結構良かった。ついでに言うと、忍法帖主要忍者一覧はもう少し使いやすくしてほしかったかも。あと、映画化や漫画化も網羅したんだからついでにドラマも紹介すれば良かったのになぁ。
 版型や値段は既に決まっていたから動かしようがなかったんだろうけれども、個人的は「ユリイカ」の版型で厚めに作ってほしかったかも。とは言え、山風作品をこれから読もう、と言う人にはそれなりに有効なガイド本といえるので、本書がどうしよもないムックだ、とは言わない。尤も、それなりに読んでいる、と言う人には物足りなさしか残らないものでそこは残念だけれども。
●『燃える地平線』【bk1】『スノーバウンド』【bk1】『零崎軋識の人間ノック』【bk1】『QED 河童伝説』【bk1】読了。

4月7日(土)〜13日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#d7_13
●『妖怪始末人 トラウマ!! 全4巻』(魔夜峰央/秋田文庫)【bk1】★★★☆
 『妖怪始末人 トラ・貧!! 全2巻』(魔夜峰央/秋田文庫)【bk1】★★★☆
 妖怪始末人ギルドに属する妖怪始末人、トラウマと貧乏神のコンビが繰り広げるドタバタアクションギャグ連作。割合はドタバタ&ギャグ9割、アクション1割。作者には『妖怪缶詰』という連作があり、不朽の名作『パタリロ!』にも妖怪が結構出てくることからも伺えるように、この辺の知識は豊富だ。また、京極夏彦の京極堂ものに出てくる妖怪も結構出てきており、京極ファンも必読の連作だ。
 色々と小ネタとか、しょーもないギャグとかあって安定して楽しめるものの、やはり、『パタリロ!』の全盛期を読んでしまった後には物足りなさを感じてしまう。とは言え、この連作に『パタリロ!』クラスを期待する方がアレだし、この連作が書かれた頃は『パタリロ!』も丁度或る種の停滞期だった気もするし。とは言え、それなりに面白いのは確かで、ラストの或る種のぐだぐだ感も含めて愛すべき連作であることは確かで。あの終わり方は、もう作者はこのコンビを描く気がないんだろうな、と思わされるだけに、ちょっとさびしさもあったりはするんだけれども。
●そういえば、ホワイトハートから一般レーベルに移籍中のとみなが貴和『EDGE』連作、3巻目出ませんねぇ。もしかして、1巻2巻の売り上げが悪くて中止とか? それとも間をあけるのか。結構気になる(って、そんなに気になるならばホワイトハート版読め、って話だが)。
●『ブレイブ・ストーリー(上)』【bk1】『ブレイブ・ストーリー(中)』【bk1】『ブレイブ・ストーリー(下)』【bk1】『バビロニア・ウエーブ』【bk1】『パッチワーク・ガール』『六月六日生まれの天使』【bk1】読了。

4月14日(土)〜20日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#d14_20
●「ヴィレッジ」★★★☆
 シャマラン監督による、古風な時代色濃厚なスリラー。
 外部との交流を持たない、平和な村があった。隣接する森には怪物はいるものの、干渉しなければ襲わない。平和な日々は若者が刺されたことによって崩壊の危機にさらされる。村の秘密とは何か、そして、怪物の正体とは。
「シックスセンス」とか「アンブレイカブル」といった企みに満ちたスリラーを得意とするシャマラン故になにか仕掛けていることは割と予想がつくし、仕掛けてます! という感じが冒頭からぷんぷんする。怪物がつけるサインの謎や赤いフードをかぶった怪物、黄色いフードをかぶれば怪物に襲われないとかあまりにも閉鎖的な村の雰囲気など何も仕掛けてなかったらそこが最大の驚きになるよ、というくらいだ。
 仕掛けはシンプルで、これを持って「仕掛け」と言うべきかどうかは意見が分かれるとは思うのだけれども、発想は非常に面白い。小説でやるのは不可能ではないにしてもフェアにやるのはかなり難しく、映像ならでは、と言う印象が強くなる。映像ならでは、と言う意味では「シックスセンス」の系列に止めを刺すと思うのだけれども、こちらも負けてない。とは言え、物足りなさはあるのだけれども。
●『空から見た殺人プラン』【bk1】『使命と魂のリミット』【bk1】『晩餐は「檻」の中で』【bk1】『ゆらぎの森のシエラ』【bk1】『物しか書けなかった物書き』【bk1

4月21日(土)〜27日(金)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0701_04.html#d21_27
●新生「メフィスト」は色んな意味でラインナップが豪華。注目は綾辻行人×有栖川有栖の対談の連載や法月綸太郎らを中心としたと思われる読書会あたり。小説も新連載がいくつかあり、恩田陸の《三月》ワールド最新作など嬉しいものも。綾辻行人×有栖川有栖対談は或る意味名作紹介か。途中はさまれる名作短編とかが嬉しいけれども、単行本化の際は是非その辺りも再録して欲しい。
 まあ、ぱらぱらと拾い読みしただけで、全体的にきちっと読んでるわけではないんだけれどもね。いずれにせよ、今後も「メフィスト」は結構楽しみな雑誌でしょう。
●『だからドロシー、帰っておいで』【bk1】『シャーロック・ホームズの栄冠』【bk1】『血染めのエッグ・コージイ事件』【bk1】『切り裂かれたミンクコート事件』【bk1】読了。

4月28日(土)30日(月)
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/diary0610_12.html#d28_30
●『新本格魔法少女りすか3』【bk1】『朝日のようにさわやかに』【bk1】『ハンニバル・ライジング(上下)』【bk1】読了。


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