第1号議案 2001年度の活動のまとめと決算(案)

 

 

昨年は、「米同時多発テロ」以降の出来事に象徴されるように、地球規模で社会と経済に大きな影響を与える事件が相次ぐ年となりました。日本社会もそうした影響と小泉内閣の「構造改革」政策のもとで、不況の深刻化と様々な社会システムの動揺と不安定化に直面し、他方、プライバシー保護を名目にした言論の自由抑制の動きや有事法制など、憲法の根本を脅かす事態も進行しています。当然、生協・協同組合運動も例外たりえず、そうした社会・経済的変化の影響を受けながら、引き続き様々な問題に直面している状況にあります。

こうした大きな変化は、社会的に大きな問題を孕みながらも、同時にその新しいあり方、社会システムを作り出していく様々な契機を含んだものでもあります。現在、日本の社会経済セクターとして大きな社会存在となっている生協・協同組合運動は、こうした変化の中で、その有り様が問われるとともに、その役割は社会的にますます重要なものとなっています。

 

当研究所では、こうした時代にあって、2001年度も引き続きくらしと地域に視点を置き、その変化に注目しながら、そこでの協同のあり方、生協運動の直面する課題について調査研究と問題提起をすすめてきました。また、当研究所の今後の基調であり、2001年度方針のベースとなる研究所の今後のあり方についても大きな力を割いて検討してきました。

具体的には、生協店舗のあり方、食品偽装表示問題など生協と食品流通、組合員参加をめぐる問題などを、第9回総会記念シンポジウム、公開研究会(フォーラム)、第4回女性トップセミナーなどの企画を通して深めるとともに、これらの研究企画の成果を出版物や『協う』でも発信してきました。

常設研究会は、生協職員論研究会、生協と福祉研究会、協同組合史研究会が定期に開催され、研究会、調査活動をすすめました。協同組合史研究会は通巻6号を発行しました。さらに、会員要求に応える取り組みでは、医療生協調査プロジェクトをはじめ、会員組織への講師・アドバイザーの派遣要請などにも積極的に応えてきました。

 

当研究所のあり方については、理事会小委員会のもとで精力的に検討をすすめ、12月理事会に答申が出されました。その後、答申にもとづいて理事会及び研究委員会で議論を重ね、研究所の今後のあり方について確認することができました。関連して、研究委員会では研究所設立以前も含めたこの間の研究・出版活動についての一定の総括議論を行い、今後の生協研究のすすめ方についても検討しました。この内容については、本第10回総会においても報告を行い、会員レベルで議論を深める予定です。

来年度は、こうした議論の積み重ねをふまえて研究体勢の再編強化を行い、研究調査活動をいっそう強めることが求められています。特に、地域とくらしの変化、生協運動の現在の到達と課題を結びながら、くらしと地域、生協と協同組合運動の発展に資する調査研究を強めることが重要な課題となっています。

 

 

1.第9回総会・記念シンポジウムとくらし、地域、協同の3部門からの研究の推進

 

総会・記念シンポジウムを大きな節としながら、フォーラム、セミナー、研究委員会など様々な場をとおして、くらしや地域の変化と協同のあり方、生協運動の課題などについて研究報告、議論をすすめてきました。

 

1) 第9回総会・記念シンポジウム(6/23-4)

    記念シンポジウムは「生協― これからの10年をどう設計するか」をテーマに開催しました。

    基調講演は「生協― これからの10年をどう設計するかーその思想と実践への提言」と題して、当研究所の川口清史理事長が、くらしの課題解決としての生協事業、店舗事業のビジネスモデルを中心に問題提起を行いました。パネルディスカッションは同テーマで、くらしと地域と生協運動について、生協トップ、研究者による報告・討論が行われました。

    分科会は、@新しいくらし方とくらしの支え方の探求/A地域づくりと協同のあり方/B「協同」をめぐる問題群とその整理の3つの分科会を開催し活発な議論が行われました。

    内容は、報告集「くらしと協同の研究所 通巻31号」にまとめました。

      

2) 研究フォーラム(公開)

    9月の研究フォーラムでは、「社会的起業と個人、地域社会の問題解決力を考える」をテーマに、町田洋次氏<(社)ソフト化経済センター理事長代行>と浜岡政好副所長から報告を受け、地域社会と市民、住民の変化や可能性について議論を深めました。

    12月のフォーラムでは、「生協の店舗事業論」について若林靖永幹事から報告をうけ、実践者も含めて議論が深まりました。生協店舗事業論については、第9回総会シンポジウムにおける一つの問題提起ですが、ここでの若林報告は、ここ数年の生協店舗調査の蓄積をもとにまとめたものです。ワーキングペーパーとしてまとめる予定です。

    4月には、「食肉偽装問題が生協に問いかけるもの」をテーマに、緊急フォーラムを開催しました。増田佳昭幹事(コーディネーター)の問題提起、新山陽子京大教授の報告を軸に、「偽装表示問題」にとどまらず、生協事業のかかえる構造的な問題もふくめ、活発な議論がおこなわれました。

 

3)研究委員会

    研究委員会は、各研究委員の研究活動についての交流を行うとともに、一部を研究フォーラムとして位置づけ、くらしと地域、生協運動の直面する課題をテーマに研究交流を行いました。

    また、1月の研究委員会では、「研究所のあり方検討委員会答申」を受けて議論を行い、研究所のあり方についての「研究委員会の提案」をまとめました。

    4月の研究委員会では研究所の前史もふくめた研究とその成果(出版物等)について、その評価も含めた総括議論と今後の研究課題・研究戦略についての議論を行いました。次年度にかけても総括を深めながら今後の研究テーマ・研究戦略・研究体勢をつくることが重要課題です。

 

2.研究会

  

3つの常設研究会と地域研究会で継続的な研究会活動をすすめてきました。

 

1)生協職員論研究会(戸木田嘉久座長)は、組合員の暮らしと職員の仕事の接点、生協経営危機、労働組合の役割などをテーマに、外部講師などを招いて月1回の定例研究会(公開含む)を開催してきました。

2)協同組合史研究会(井上英之座長代理)は、研究会と資料調査活動をすすめ。歴史資料集第6号「家庭購買組合設立から解体へ」を発行しました。

3)生協と福祉研究会(上掛利博座長)は、愛知、大阪、京都、東京の生協やワーカーズなどの調査活動と研究会活動をすすめました。

4)ひろしま地域研究会は、中国山地の柿木村と島嶼部の大崎上島の地域づくりと協同に学ぶ集会を開催し、報告書を作成しました。また、生協の長期未収金回収業務にあたる職員から報告を受け、そこから見えてくる生活と未収金の実態についての研究会を行いました。

 

 

3.調査研究プロジェクト

 

1)   姫路医療生協調査(受託調査)

    医療・福祉複合体、組織活性化と組合員活動、あぼし診療所、の3チームによる調査をすすめています。4~5月には医療・福祉複合体、網干診療所地域グループでアンケート調査も実施しました。

    今後、6月中間報告会、10月報告集会開催の予定ですすめます。

2)   生協における店舗事業のあり方

    昨年までの調査に続いて、今年は宮崎県民生協の店舗調査を実施しました。研究成果は、「生協の店舗事業論」として若林靖永幹事がまとめ、女性トップセミナー、研究フォーラムで報告しました。

3)   生協職員の研修・教育システム

    団体会員からの問題提起によるものでしたが、今年度ではプロジェクトとしての体勢はくめませんでした。主に事務局を中心に、会員の問題意識や実情、研修ニーズ、研究所への期待内容の把握をすすめました。また、生協アドバイザーの毛利敬典氏の生協への関わり方についても調査研究しました。

4)   生協の生鮮流通については、事前調整をすすめましたが、研究会やプロジェクトは未設置です。

 

 

4.公開企画・セミナーなど

 

上記にもありますが、今年度は以下の開催となっています。

 

1) 研究フォーラム

    第1回( 9/22)「社会的起業と個人、地域社会の問題解決力を考える」

    第2回(12/15)「生協の店舗事業論」

    緊急フォーラム 「食肉偽装問題の問いかけるもの」

 

2) 4回生協女性トップセミナー

    今回は、11月13~14日に名古屋で開催し、全国から27名の参加がありました。

    今回のテーマは「リーダーシップ論」「生協運動、21世紀につなぐもの」「生協店舗のこれからの有様を考える」でした。

 

3) 生協学識理事・監事研究交流会

    今年は前回参加者から開催要望等についての調査を行いました、次年度方針につなぎます。

 

5.講師派遣、ほか

    団体会員等の要請を受け、今年度は以下のような講師・委員の派遣・仲介を行いました。

京都生協コープ委員交流会(若林靖永幹事)/コ-プしが福祉政策検討委員会(上掛利博幹事)/京都生協所属長会議(川口清史理事長)/京都生協組合員教育制度委員会(井上英之所長)/エフコープ21ヴィジョン関連の訪問調査(井上英之所長、岡田知弘幹事)と講演「エフコープの21ヴィジョン21づくりによせて」(井上英之所長)/CO-OP牛乳産直交流協会産直フォーラム・コーディネーター(増田佳昭幹事)/大阪府生協連政策討論集会講演・コーディネーター「21世紀の生協らしい事業経営のあり方を考える」(若林靖永幹事)/京都生協虹の会部会講演会「日本経済・京都経済の再生方向と生協の役割」(岡田知弘幹事)/京都生協「班と共同購入事業委員会」(浜岡副所長)/わかやま市民生協福祉活動学習会(上掛利博幹事)/京都府生協連役職員研修会(熊野剛雄氏)/京都生協「わたしたちの地域しらべ」交流会(豊福拡大事務局員)/京都生協の虹の会総会記念講演「小泉構造改革と日本経済・企業経営の展望」(山家悠起夫氏)

 

6.情報発信活動

1)『協う』(若林靖永編集長)は、引き続き二部制(昼の部、夜の部)編集体制で、隔月発行を着実にすすめました。

  ・以下のような特集を組むとともに、生協運動、協同運動とそのまわりの諸問題について論文、話題、書籍、視点などを多彩に取り上げてきました。

〈特集テーマ〉

2001年6月号 「多様性のある創造的な『福祉』をつくる」

2001年8月号 第9回総会記念シンポジウムより―「生協―これからの10年をどう設計するか」

10月号 「協同の閉鎖性と解放性ー協同をめぐる問題群の整理」

12月号 「食品リスクにどう向き合うかーEUに学ぶ狂牛病対策」

2002年2月号 「リーダーシップ論―いま求められているものは」

    4月号 「生協の“ホームページ・コンテスト”」

2)  刊行物は、第9回総会記念シンポジウム報告書、歴史資料集(通巻6号)、冊子「食肉偽装問題の問いかけるもの」、冊子「第4回女性トップフォーラム」などを発刊しました。

3)  研究所ホームページは、定期更新を確実にすすめました。

 

7.交流・提携

生協総研主催の研究所交流会に参加しました。

 

8.当研究所のあり方の検討と運営および体制

 

今年度は、総会議決にもとづいて当研究所の今後のあり方についても大きな力を割いて検討してきました。

9回総会後、理事会では小委員会を設け、都合6回の委員会を開催して答申をまとめるとともに、答申をもとに理事会や研究委員会などで論議重ね、最終的に「くらしと協同の研究所の今後のあり方について」(別紙)としてとりまとめを行いました。その重要な結論は、当研究所の会員である研究者と生協、協同組合運動の実践者の協同を実際の研究活動をとおしてすすめ、そのために主要な出資者でもある団体会員が実質的な責任をはたしていくことでした。それは当研究所の今後の運営の基調となるものです。

また、その結論を踏まえて、本総会に規約改正案を提案しています。

 

1)   研究所のあり方についての検討経過

   (くらしと協同の研究所のあり方検討委員会<理事会小委員会>)

     第1回/2001年7月28日、第2回/8月24日、第3回/年9月21日、

     第4回/10月4日、第5回/11月9日、第6回/11月23日(最終) 

(理事会での検討)

   第2回理事会   委員会の中間報告

   第2回常任理事会 答申の報告および取り扱いの確認

   第3回理事会   答申の報告および論議、取り扱いの確認

   ※ほか、理事会欠席会員生協などへの説明

(研究委員会)

幹事会(12/27)  答申の報告および論議

3回研究委員会 答申の報告および論議、研究委員会の提案の確認

幹事会(2/27)  「答申をうけてー研究委員会の提案」のとりまとめ

2) 今年度は当研究所のあり方検討の経過を踏まえて、暫定的に理事会のもとに、企画委員会を設置し、次年度方針の検討を行いました。

3) 常勤事務局(主任研究員含む)は、おおさかパルコープからの派遣を受けて、現在3名体勢で運営しています。大学院生事務局は4名です。

 

9.総会、理事会、研究委員会の開催

1) 第9回総会 6月23日(土)

2) 理事会、常任理事会

 〈理事会〉

1回/6月23日、第2回/9月22日、第3回/12月15日、

4回/2002年5月11日、第5回/2002年6月22日(予定)

 〈常任理事会〉

1回/7月21日、第2回/12月5日、

3回(拡大常任理事会)/3月7日

3) 研究委員会、同幹事会

 〈研究委員会〉

1回/9月22日、第2回/12月15日、第3回/2001年1月14日、

第4回/4月20日

 〈幹事会〉

毎月1回

 

10.会員状況

1) 団体会員動向

    2001年度は、退会が次の1団体あり、37団体(正会員29、賛助会員8)となりました。(2002年3月20日現在)

大阪北生協(単協事情)

(※2002年度は、現在2団体が加入予定です。)

2) 個人会員動向

2001年度の加入6人、退会17人で、216名(正会員204人、賛助会員12人)です。(2002年3月20日現在)

   (※2002年度に入り、現在4人が加入されています。)