くらしと協同の研究所

第11回総会 議案

 

 

はじめに

 

◆社会経済状況をふまえて

グローバリズムとIT革命、社会のあらゆる分野における「規制緩和」、少子高齢化の進展などは、人々の意識や社会構造に急激な変化をもたらしつつあります。これらは協同組合運動の拠りどころである地域社会や人々のくらしにも大きく影響し、様々な不安定要因を生み出すとともに、それへの対応、模索が、社会の各層、各組織によって、様々な形で始まり、動き出す状況もつくり出しています。

研究所は、こうした社会の激変のなかで、生協と協同組合が引き続き、人々のくらしの安心やそれをつくる社会システムの構築にむけて、いっそう社会的に有用な役割を発揮できるよう、調査と研究、情報の収集と発信を強めていくことが求められています。

 

 

◆研究所運営の整備と参加・協働の研究・運営を

2002年度は、昨年度の「研究所規約」の改定に引き続いて、「研究委員会要綱」の見直しを行い、新たに「研究委員会規程」並びに「研究会等設置運営要綱」を定めました。これらは研究所運営への理事会の責任ある関与と団体会員を含む、会員による研究所運営への参画、研究活動への自発的参加の枠組みをよりいっそう整えるものです。今後においては、こうした運営上の整備を基礎にして、くらしと協同運動、生協をはじめとした協同組合運動の発展に資する研究・調査活動をさらに発展させることが求められています。

 

当研究所には、協同組合の役割に期待しながら、ボランタリーベースで参画されている研究者がいます。また、協同組合の役割発揮とその発展を願う協同組合の組合員、役職員が、個人会員、団体会員の形で参加・参画されています。

こうした皆さんの調査研究における参加と協働を強めること、そして自分たちのテーマや解を自分たちで発見していくことが、時代が求める研究のアプローチではないでしょうか。

研究所は、昨年度、あらたに設置された企画委員会や運営委員会、そして事務局活動を軸にしながら、参加と協働の研究所運営や調査・研究スタイルを強めてきましたが、今年度もその方向をさらに強めていきたいと思います。

 

 

第1号議案

 2002年度活動経過報告、会計報告

 

2002年度は、第11回総会の活動方針にもとづいて、次の5つの柱(要約)にもとづいて、調査研究、運営をすすめました。

@      研究会、団体会員の要請に応える研究プロジェクトの推進

A      シンポジウム、フォーラム等、開かれた企画への参加と研究交流の促進

B      80年代を中心とした生協論の展開と生協運動についての検証研究の準備

C      『協う』、ホームページ等での研究情報の発信強化

D      研究所運営の整備、団体会員の会費の見直し検討

以下、活動方針にそって、2002年度活動を振り返ります。

 

 

1.受託研究プロジェクト、研究会

 

(1)姫路医療生協調査プロジェクト(受託調査)

    井上英之研究委員長を代表に、ほか13名の研究者によって、複合体経営、組織活性化、あぼし診療所とその地域の3チームによる、総合的な調査となりました。(複合体、あぼしはアンケートも実施)

    姫路医療生協の全面的協力のもとに、調査チームと同生協メンバーの共同研究スタイルを実現し、調査過程を通して問題点を即実践的に解決するなど、問題解決型(姫路医療生協の中計実行過程の補強)の調査スタイルを実現することができました。

    調査の成果は、調査報告書、報告会の形で還元しました。

 12/7 調査報告会(於:姫路)  100名参加

        調査報告書(中間)提出

  2/ 4  あぼし診療地域分析結果報告交流会

3/29  調査報告書(最終)提出

    なお、諸事情により、調査計画の一部未実施のまま、調査を終えることになった関係で、姫路医療生協の了解のもと、受託費用の一部を返納しました。

 

(2)生協職員の教育研修研究会(特別研究会)

                    昨年、2回の準備会を経て、03年1月に正式発足しました。途中、研究会設置運営要綱にもとづいて、改めて「特別研究会」の位置づけを確認しました。

                    今年に入り、都合5回の研究会を重ね、メンバーの問題意識と課題抽出、組織・人・教育課題について問題をふかめ、「生協のあるべき職員像と教育研修をめぐる問題と目指すべき方向(仮称)」をまとめる方向ですすんでいます。

                    03年度中の報告・まとめをめざしています。

 

(3)生協事業連帯研究会(特別研究会)

                    近畿の生協事業連帯組織の発足準備組織の要請に応える研究会として、昨年総会シンポジウム分科会(近畿地区で進めすすむ新たな事業連帯を考える)の開催以後、「近畿の事業連帯における組織問題」を研究課題とする研究会として発足準備をすすめました。

                    その後、近畿地区事業連帯推進協議会の発足日程との関係で、研究課題を「近畿の事業連帯における組織問題」にしぼる必要がなくなったことを踏まえて、あらためて近畿連帯を視野に入れながら(近畿連帯事務局メンバーの参加)、全国の生協事業連帯を対象に事業連帯を巡る諸問題について調査・研究をすすめる特別研究会としてスタートすることになりました。

                    02年12月に発足以来、4回の研究会を重ね、問題意識の交流、先行研究の検討、事業連帯をめぐる論点抽出、今後の研究会・調査のすすめ方を検討してきました。

・およそ、2年を目処に報告・まとめを行う予定です。

 

(4)生協職員論研究会(自主研究会)

                    昨年は「長期不況下での生協職員像とその役割-働きがい源泉と変容」をテーマに毎月定例会を重ね、生協職員の労働環境をめぐる変化や現場の調査などをすすめてきました。

                    今年度は、97年の「生協職員論の探求」以来の出版機運が高まっています。年度内を目処に第2の「生協職員論の探求(仮)」の発刊を目指しています。

 

(5)協同組合史(自主研究会)

・生協歴史資料の研究・収集・編纂をすすめ、歴史資料集通巻第7号「能勢克男と京都(家庭)消費組合」を刊行を行いました。

・引き続き、第8号「戦前京都の学生消費組合」の刊行を準備しています。

 

(6)生協と福祉(自主研究会)

・「福祉における『生協らしさ』―ニーズ対応、サービス水準、地域ネット」を仮テーマに、メンバーのこれまでの研究内容と問題意識の交流、メンバーの個別テーマの絞込みをすすめてきました。

・次年度は、個別テーマの設定にもとづく調査研究すすめ、研究成果の発表につなげる予定です。

 

(7)ひろしま地域研究会(継続)

・今年度は、地域調査(柿木村)、地域のNPO調査を実施しました。

 

 

2.シンポジウム、セミナー、フォーラム

 

(1)シンポジウム

  @ 総会記念シンポジウム

    「協同組合は不信社会をどうのりこえるか―食肉偽装問題を入り口に」をテーマに開催しました。

    シンポジウムは、増田佳昭氏の問題提起にはじまり、新山陽子氏、森岡孝二氏、大川耕三氏、岩崎嘉夫氏の報告をもとに、信頼の社会システムの構築むけて何が必要か―経営倫理とコンプライアンス、顔の見える関係の先に求められている「深い対話の場づくり」、協働の立場からの社会システムづくり、安全性も利他主義から― など、会場からの発言も含めて活発な討論が行われました。

    分科会は、《第1》 正直な生鮮システムの構築へ/《第2》A地域のくらしとセーフティネット/《特別》近畿地区で進めすすむ新たな事業連帯を考える、の3つの分科会を開催し、それぞれ活発な議論が行われました。

    内容は、報告集「第10回総会記念シンポジウム」(研究所通巻34号)にまとめました。

 

  A シンポジウム「地域のセーフティネットと医療生協・協同の役割」

    姫路医療生協調査の成果を踏まえて、安心できる暮らしの条件、医療生協のあり方・課題をについて、実践的研究的に明らかにする企画として開催しました。

    対談「地域のセーフティネットと医療生協の役割・課題」と4つの分科会での討論が行われました。(@地域コミュニティへの参加・貢献、A組織活性化・コミュニケーション、Bくらしと医療(生活医療)、C医療福祉複合化)

    参加は、20団体(医療生協10、医療団体2、地域生協5、ほか3)から65名でした。

 

(2)セミナー等

  @ 第5回生協女性トップセミナー

    03年1/25~26に大阪で開催し、全国から27名(13生協)の参加を得て、好評のうちに終了しました(今回は、おおさかパルコープのご好意を得て同生協本部で開催)。

    今回は、3人の方の講演をいただき、それぞれについて、研究者も含めて活発なご論議をいただきました。

    テーマは、「くらし、意識、地域社会のおおきな変化を見据えて―生活者視点、生活基点の生協運動を考えるために」(御船美智子氏、お茶の水大学)、「雇用・労働市場の激変と、女性が働くこと」(木本喜美子氏、一橋大学)、「今、生協にもとめられている組織変革の課題」(杉本貴志氏、関西大学)で、研究所通巻にまとめるとともに、要約を『協う』にも発表しました。

    「世話人会」を中心とした企画づくりが好評を得ており、次回にもつなぐ予定です。

 

A 回生協学識理事監事研究交流会

    03年2/22 に、せいきょう会館で開催し、全国から24名の参加を得て、好評のうちに終了しました。

    今回は、お二人から話題提供を受け、2分散会にわかれて理事・監事について、それぞれの経験を踏まえた交流ができました。

    話題提供は、@「ならコープとともに―学識理事の役割について」(逸見啓氏、ならコープ)、A「学識理事になって思うこと」(櫻井啓吉氏、コープこうべ)で、内容は、Discussion Paperにまとめました。

 

(3)研究フォーラム

     第1回(9/28) 01年度の助成研究の報告 (参加45名)

        「ホームレス問題に挑むサンタモニカの都市づくり

         ――NPOとケア行政のパートナーシップから見えてくるものー」

                   中嶋陽子氏(当研究所研究委員会幹事)

        「『個』の時代における『班』の意味を探る」

 熊崎辰広氏(生活協同組合コープぎふ・中濃支所)、ほか

司会 若林靖永氏(当研究所研究委員会幹事・京都大学)   

 

    第2回(12/21)「社会的企業――イタリアとイギリスの調査から」(参加56名)

           報告・司会 川口清史氏(当研究所理事長・立命館大学)

           報告  藤井敦史氏(当研究所会員・東北大学)

北島健一氏(当研究所研究委員・松山大学)

 

    第3回(2/20)「現代日本人の意識構造の変化について」(参加17名)

           報告   牧田徹雄 氏 (NHK放送文化研究所・世論調査部)

           座長    浜岡政好 (当研究所副研究委員長・佛教大学)

 

(4)講座

・「尾崎経済思想史サロン」は3回開催しました。

     ※尾崎芳治氏(研究所監事、京都大学名誉教授、現名城大学)

 

3.研究助成、講師紹介

(1)研究助成

2001年度の助成研究は、「Discussion Paper」にまとめました。

2002年度の助成研究は3件でした。

@     化学物質による環境汚染にかんする消費者教育プログラム開発についての研究 ―《研究グループ:原 強氏(代表)、ほか》

A     生協組合員におけるライフスタイルの多様化とコミュニケーションギャップに関する調査研究 ―《研究グループ:的場信樹氏(代表)、コープいしかわ組合員》

B     サンタモニカ市におけるパートナーシップ調査―行政府、NPO、社会的企業などのネットワークの実態(第2次)―《個人研究:中島陽子》

 

 

(2)講師紹介、等

団体会員等の要請を受け、今年度は以下のような講師・研究委員の仲介・派遣を

行いました。

 

パルコープ連続幹部研修(6/19.7/3.7/17)(若林靖永氏)/7/17パルコープ商品安全に関する取引先懇談会(大木茂氏・麻布大学)/7/27ならコープ28周年記念講演会(若林靖永氏)/9/11パル経営幹部研修会(若林靖永氏)/9/13北陸事業連合理事研修会(増田佳昭氏)/9/28ならコープ組合員学習会(増田佳昭幹事)/10/ 9京都生協両丹ブロック行政区委員研修会(二場邦彦理事)/10/12京都生協コープくらしの安心講演会&相談会「高齢者の安心住居とは」(上野勝代研究委員)10/16近畿生協事業連帯協議会学習会(若林幹事)/10/23京都生協中計委員会学習会(岡田知弘幹事)/11/9 2002産直フォーラム<コープ牛乳産直交流協会>講演(増田佳昭幹事)/2/13ならコープ経営幹部研修会(若林靖永氏)/3/5コープしが「トレーサビリティと自主的取り組みの考え方」(新山陽子氏)/3/1ならコープ「第12回労理共催生協シンポジウム」(若林靖永氏)

ならコープ2010ビジョナリー委員会(11~4月)(若林靖永氏)

 

4.出版物等、会員への情報提供

 

(1)『協う』

    各号ごとにテーマ性をもたせた企画と研究所の諸研究企画成果の会員への還元、取材、論稿で編集の充実につとめました。

    編集委員会は、引き続き二部制(昼の部/生協組合員中心、夜の部/研究者・事務局中心)で行いました。編集委員長は、若林靖永委員から杉本貴志委員にバトンタッチしました。

    第2回理事会では、『協う』の基本的な編集方針を確認しました。

〈特集テーマ〉

2002年6月号 「食肉偽装問題表示と生協産直」

2002年8月号 第10回総会記念シンポジウムより―「協同組合は不信社会をどうのりこえるか」

10月号 「21世紀型生協をめざす首都圏コープ事業連合」

12月号 「インターネット時代における生協価値の創造」

2003年2月号 第5回生協女性トップより―「くらし、意識、地域社会の大きな変

化を見据えて―生活者視点、生活起点の生協運動と理事の役割を考

える」

    4月号 「生協職員の求められる対応を考える」

 

(2)ホームページ

・リニューアルを行い、情報提供レベルを向上させました。「わかりやすい・読みやすい」と評価を頂きました。

     

(3)刊行物

    通巻:第4回生協女性トップセミナー報告討論集(33号)、第10回総会シンポ特

        集(34号)、歴史資料集「戦前京都の消費組合」(35号)、健康・医療・福

         祉複合化時代における医療生協の課題(36号)

    Discussion Paper01年度自主研究

 

 

5.研究所間の交流、提携

・生協総研主催の「第12回生協研究所交流会」に参加しました。

 

 

6.機関会議、運営会議の開催と運営

(1)     10回総会 6月23日(土)

 

(2)     理事会、常任理事会、企画委員会

 〈理事会〉

1回/6月23日、第2回/9月28日、第3回/12月21日、

4回/2002年4月26日、第5回/2002年6月21日(予定)

 〈常任理事会〉

1回/9月24日、第2回/11月26日、第3回/4月26日

 〈企画委員会

1回/7月27日、第2回/10月29日、第3回/1月21日

 第4回/2002年4月12日

 

(3)     運営委員会、研究委員会

 〈研究委員会〉

1回/9月28日、第2回/12月21日、第3回/2001年1月13日、

第4回/3月20日

 〈運営委員会〉

毎月1回

 

 

7.会員状況

1)   団体会員動向

    2002年度は、入会が2団体あり、39団体(正会員31、賛助会員8)となりました。(2003年3月20日現在)

2)   個人会員動向

    2002年度の加入9人、退会13人で、212名(正会員201人、賛助会員11人)です。(2003年3月20日現在)

 

 

8.事務局体制

    3月10日をもって久保建夫氏(主任研究員・事務局)が京都生協を定年退職(出向)され、代わって中川規生氏(京都生協より出向)が着任しました。

    研究所事務局体制は、以下のようになりました。

      事務局長 清水 隆

事務局員 花村二郎、中川規生

            客員研究員 久保建夫(非常勤)

            院生事務局  名和洋人、玉置  了、宮川加奈子(非常勤)

            (※松本崇氏、岡本哲弥氏は、02年度をもって離任)

 

以上