1994年度事業計画(案)

はじめに

グローバルなレベルでのリストラ、あるいは長期不況、「コメ自由化」問題等々の中で、くらしと協同をめぐる内外情勢は大きく変化しつつある。協同組合においても、事業の見直し、業務、組織の改革に積極的に取り組むことによって、21世紀への展望を切り開く真剣な努力が続けられている。こうした取り組みの中では、これまで実態分析に立脚し、総合的な視点で調査研究を追究してきた当研究所への期待は一段と高まっている。他方、こうした状況は当研究所の主体的条件、とりわけ財政面でのきびしさをつよめるものとなっており、引き続き財政基盤の拡充の努力と調査研究における重点課題への力の集中を必要としている。

1.常設研究会・常設講座

 当研究所の「研究活動の中核」である常設研究会、常設講座の第2年度は、一方においては、初年度の基盤整備的課題を残しつつ、他方では、活動領域をあらたに拓きつつある。初年度来のプロジェクトのひきつづく推進と再編の課題および今年を準備期間とするプロジェクトの存在が一方にあり、生協の歴史研究、地域別研究会の発足などあたらしい研究活動の芽吹きがもう一方にあるからである。

 「生活様式研究会」「福祉研究会」「職員論研究会」は94年度前半、後半に、また「組合員活動研究会」は95年度にそれぞれ研究成果を公表する。

 93年度発足の「農村地域研究会」「健康・医療・協同組合研究会(仮)」は95、6年度に研究成果を公表する。また「協同組合マーケティング(仮)」も今年度から活動を開始するために、研究メンバーの補充をすすめる。

 「環境と協同組合研究会(仮)」は今年度は主に準備期間と位置づけて95年に開設する。

 「消費生協の歴史研究」「土佐くらしと協同の研究会」は93年度末に開設され、前者は歴史資料の収集・発掘をベースとしつつ、また高知の生協研究を軸としつつ、94年度は本格的に展開する。

 常設講座では、「田中恒子・くらしのゼミナール」「田井・生協経営ゼミナール」「武内・協同組合論講座」を開設する。

第2年度にあたる今年度は、くらしや協同をめぐる内外動向を見据え、協同組合運動の課題やあり方を問い、当研究所の位置と役割をいっそう明確にすることが求められている。今年度はこうした期待に応えるため、常設研究会・講座間での研究交流を積極的におこなう。

2.調査研究プロジェクト

 くらしや協同組合事業において緊急あるいは根本的な解明が要請されている課題について、特別の体制をもって調査研究を行なう。

 94年度は「協同組合間事業提携の現状と可能性に関する調査研究」(協同組合間協同調査プロジェクト)が2年度めに入るが、7月協同組合デーでの問題提起に続き、年度内出版その他の研究成果の公表をめざす。「生協職員の参加の現状と参加意識の調査」は8月に訪問調査を行ない、11月には生協総合研究所の研究集会への参加を予定している。

3.自主研究・自主講座

研究所の特色をなす参加型研究を促進するため、今年度も個人会員、団体会員の組合員や役職員による自主研究・自主講座の開催のサポート体制の整備、およびアクセスの改善が必要である。本年度は15件以内、助成額は10〜50万円の範囲とし、研究委員会の審査を経るものとする。

 

4.シンポジウム

 研究所は協同組合運動の根幹にかかわるテーマの解明、理論的深化を参加者と協同ですすめるためシンポジウムを行なう。94年度は総会記念シンポジウムを開催し、「協同の地域社会づくり」のテーマを深めていく。

さらに、中長期的な課題をテーマにしたシンポジウムの企画を準備する。

5.講演・公開講座

 研究所は、研究調査活動の成果の公開と会員サービスのため講演会・公開講座を開催する。

 『生協21世紀への挑戦』を素材とする連続講座は各地において多様な形態で開催する。本年度は若手職員の企画による京都生協連続講座、コープしが連続講座を開催する。

 本年度開設の「公開講座」「特別講座」はそれぞれくらしや協同にかかわる重要テーマを選び、京都生協せいきょう会館を拠点に年6回開催するもの、緊急な課題解明のために研究委員会主催で行なうものである。

 木原理事長の主催でくらしや協同をめぐって大所高所から意見交換の集いも行なう。

6.『協う』『年報』『ワーキングペーパー』

研究所は、会員サービスのための情報交換と交流に的をしぼった、魅力的で読みやすい情報誌として『協う』の定期発行を行っている。本年度は読者との交流をすすめ、企画に反映することをめざす。

 またくらしと協同の事業にかんする研究をリードし、学際的で斬新なテーマを追求する本格的な学術誌をめざして『年報』を刊行する。94年度の刊行は95年5月とする。

なお、常設研究会や常設講座等で生まれた研究成果については、必要に応じて逐次『ワーキングペーパー』の形で公表し、会員がいつでも当研究所の最新の研究成果を入手できるようにする。

7.委託研究

 研究所は、研究活動の幅を広げ、ニーズに敏感に対応するために、特定のテーマについて研究を委託することができる。研究成果については『年報』等で公表するものとする。

 本年度は、「ノンプロフィット・オーガニゼーションに関する研究動向」その他、計2件について研究を委託する。なお、委託料は1件につき50万円とする。

8.受託調査・その他の事業

 会員団体からの要請に応じて、適宜『年史』『資料集』の作成、組合員実態(意識)調査、地域実態分析、数値管理指導、講師の紹介、等々の事業を行なう。本年度は93年度後半に受託した「西新道商店街調査」のまとめ、および京都生協30周年事業企画へのアドバイスや受託調査を行なう。

 資料図書の整備、加工等、会員が気軽に利用できる情報ネットワークセンターとしての研究所の役割について検討を開始する。とくに経営情報については「経営情報委員会」を設置し、関連資料、情報の収集・管理に取り組む。

9.交流・協力・提携

 研究所は、くらしと協同にかかわる分野で、他の研究機関や学術団体等との交流及び協力関係を発展させる。

 国内では生協総研との合同企画事業として「社会経済システム研究会」(生協総研:「事業と組織研究会・基礎理論部会」)を推進する。生協総研、新設予定の東海コープの「地域と協同に関する研究センター」、コープこうべ「生活研究所」(生活研究、協同組合研究を統合して財団法人をめざす組織機構を年度内に発足)等との交流をすすめる。第13回協同組合学会大会への参加と必要な協力を行なう。

 また、国際交流の面では本年11月京都で開催予定の第3回アジア環太平洋NGO国際会議の成功のために必要な協力を行なうものとする。

 研究所は国際交流の広がり、深まりを見すえて国際交流委員会を設置して必要な取り組みを行なうものとする。