第一号議案       1996年度活動のまとめ(案)

はじめに
 当研究所は、93年6月に創立されてから5年目をむかえました。
 グローバルな視野にたつとともに、生協運動の実践とその調査を重視す
る研究活動をすすめてきました。ベーク氏を迎えた創立総会シンポジュー
ムでは「日本型生協は21世紀に生き残れるか」を問い、第二回は「地域
の豊かさと生協」、第三回「コープこうべの創造的復興から学ぶ」、そし
て昨年第四回は「新しい生協像の再生のために」をメインテーマにするな
ど、生活協同組合の課題の解明に挑戦してきました。
 同時に西日本を視野にして、ふくい、瀬戸内、石川などのミニシンポ、
しまね生協調査さらにはえひめにおける中四国合同研究交流会などローカ
ルな各地の課題の調査・研究と地域からの発信を強める研究活動をすすめ
てきました。
 自由で、学際的で、役職員や組合員にも開かれた研究組織をめざし、生
活協同組合研究と実践の結合に努力を払ってきましたが、現状はまだ課題
を残しています。
 『市民生協の第二ステージ』も指摘される大きな転換の時期を迎えてい
る現在、当研究所の研究者集団と生協実践家のもう一歩進んだ協同関係の
構築、若手研究者・事務局の育成などが課題となっています。


課題にそったまとめ
1、調査研究プロジェクト
 「生協運動の現状分析プロジェクト」(代表野村秀和)は、95年度に引
き続きコープこうべ調査に取り組み、96年12月に調査報告書『被災地に生
協あり―壊れたまちで、人が、協同が、試された―』を刊行し、会員内外
にお送りして240冊のご購入、ご活用をいただきました。 コープこうべの
創造的復興のバックグランドを理解するとともに、生協の再生方向を考え
るための資料として、さらに広範なみなさんのご活用を期待したいと思い
ます。
 なお、この調査にもとづく『21世紀につなぐコープこうべの創造的復
興』(仮題)は、7月にコープ出版から刊行予定です。
 また、夏には北海道の生協(釧路生協、コープさっぽろ、道央市民)を
訪問して、報告会を開催、『協う』にその一部を掲載いたしました。さら
に、97年3月には、コープかながわ、ユーコープ事業連合の訪問調査を
開始しています。これらの生協の再建過程は、日本における生協運動の行
く末に大きな影響を与えます。引き続き調査研究を続ける事が大切です。
 「組合員調査プロジェクト」(代表浜岡政好)は、各地(総会、生協し
まね、京都生協、コープしが、ならコープ、中四国合同研究会)で、『生
協しまね調査』を手がかりとした生活把握、地域把握について報告してい
ます。
 また、新年度に向けて、京都生協から『京都生協組合員調査』の委託を
受けました。この分野は、地域調査・研究とともに研究所の情報センター
的機能充実、また基本事業としてさらに強化拡大したいものです。委託者
とのコミュニケーションを重視して、調査方法も多様な取り組みをめざし、
その結果の共有化などにも配慮していくことが大切です。
 「協同組合間協同研究プロジェクト」(代表藤谷築次)は、年度内出版
を目途に準備をすすめています。


2、常設研究会
 研究会の再編をすすめ再強化をはかる計画でしたが、事務局や財政的な
問題もあって、大きな改善、研究会活動の活発化をみることはできません
でした。次年度も引き続き中心の課題となります。
 「職員論研究会」(代表戸木田嘉久)は、『協う』編集委員会と合同の
公開座談会『生協で働くということ』を開催し、その5年にわたる成果を
このたび刊行しました。
 「農村地域研究会」(主査代理庄司俊作)は、途中で主査の急逝という
事態がありましたが、『農村女性の意識と行動』調査を完成し美山町での
報告会も終えました。
 「中小企業と協同組合研究会」(代表二場邦彦)も、ほぼ毎月例会をつ
づけて、その成果を97年秋刊行予定です。
 「女性と協同組合研究会」(代表上野勝代)、「生協の福祉事業研究会」
(代表上掛利博)も活動しています。「組合員活動研究会」(代表井上英
之)、「消費組合の歴史研究会」(代表青木郁夫)、「健康・医療・協同
組合研究会」(代表松野喜六)は、再開のために事務局の再確立、メンバ
ーの再構成などが必要です。
 また、くらし研究をつよめる目的で、『くらし発見の旅』サロン(代表
浜岡政好)を始めましたが、家計調査、食文化、地域研究などについても
研究会形式にこだわらず、個人委託、共同研究などを含む多様な形態を追
求することが重要になっています。
 各地における、研究会活動については、「土佐くらし研究会」(代表玉
置雄次郎)は、設立3年目、定例研究会を継続し(15回まで)、その成果
を、『協う』36号(地域版1号)で発表し、こうち生協の全員集会や対
外活動に活用しています。
 「ヒロシマ地域と協同の研究会」(代表田中秀樹他)は、名称を「ヒロ
シマくらしと協同の研究会」から改め活動をすすめています。広島県の地
域と協同運動に関わるテーマごとの公開講座型の運営を考えています。
 「えひめ暮らしと協同の研究会」(代表幹事北島健一)が、6月に個人
参加の形態で設立され、活動を開始しました。事務局として中四国合同研
究交流会を成功させました。
 「おかやまくらしと協同の研究会準備会」(呼びかけ人代表下野克己)
は、JA、漁協、森林組合との交流、公開講座など設立準備をすすめてい
ます。
 石川をはじめ各地で研究会の設立とともに各地の研究会活動との連携を
すすめることが期待されます。


3、講座、講演など
 「武内哲夫協同組合論講座」は、京都生協の職員、組合員とコープしが
の組合員などを中心に参加しています。まもなくレイドロー報告を終え、
次年度はいよいよ今回の原則改定問題に入っていきます。
 「公開講座」(委員長上野勝代)は、"食シリーズ"として、9月より
「牛乳を考える」(朝子栄綾部酪農組合長)、「今、食肉について考える」
(吉田忠京大総合人間学部教授)、「コメ、その後」(祖田修京大農学部
教授)、「国産鶏'さくら'について」(後藤悦夫〈株〉後藤孵卵場専務)
などを開催してきましたが、参加者が少なく、中断しました。
 会員生協の要望の把握や調整、出張講演,講座をふくむ開催場所の検討
などが必要です。
 12月7、8日、松山大学で初めての「中四国合同研究交流会」が行われま
した。高知、愛媛、岡山、広島及び島根からの参加で、研究の内容的な交
流が行われました。
 単協の中期計画や政策策定に関連する講演等の要請があり、研究委員が
応えています。ならコープ(浜岡政好、井上英之)、コープしが(井上英
之、浜岡政好、上掛利博、川口清史)、京都生協(浜岡政好、川口清史)、
さいたまコープ(川口清史)、パルコープ(上掛利博)、コープかごしま
(上掛利博)、コープこうべ(田井修司、若林靖永)。


4、委託研究
 佛教大学浜岡政好教授「しまね調査からみた生協調査論」、若林靖永京
都大学助教授「最近のアメリカ流通事情」を委託しました。研究者の条件
などをも考慮して、『協う』や『年報』掲載を条件にしたこのような研究
委託を強めることも必要です。


5、自主研究、自主講座
 8月22、23日の研究委員会で、応募12件のなかから9件(86万円)を選定
しました。
 そのうちの一件である「生協における組合員の課題について」(ノイハウ
ス96)のアンケートに関連して、会員から抗議と要請をうけました。研究所
としても、お詫びをし、調査の継続は中止しました。同時に『協う』誌上な
どで、研究活動と実践活動、研究所と会員生協との関係についての問題提起
をしました。
 今後、研究所としても、自主研究の募集や問題発生の場合などについての
一定のルール化が必要になっています。
 前年度、提案のあった発表会の実施など自主研究の強化については、今後
の課題です。

6、『協う』
 事務局体制の不安定ななかではありましたが、編集委員会(上掛利博委員
長)の努力によって、計画通り隔月年6回の刊行ができました。
 さらに、年度末の3月には、「土佐くらし研究会」の御奮闘で、『協う』
の地域版(こうち版)をだすことができました。
 また、『北海道調査報告会』、公開座談会『生協で働くということ』や
『くらし発見の旅サロン第一回』の開催など、研究所の活動を推進してきま
した。
 しかし、一方では96年2月号の特集「生協における組合員活動とは何か」
について、コープとうきょうより「遺憾の意」が表明され、12月号で訂正と
お詫びをしました。

  
7、交流など
 スウェーデンのペストフ夫妻を迎えて「女性と高齢者福祉」、「福祉国家
から福祉社会へ」などのテーマで交流しました。レガのバルベリーニ会長を
迎える計画は、会長の都合により東京だけになりました。
 その他、佐賀大学塚本一郎助教授による「ワーカーズ研究会」などもでき
ました。


8、会員、事務局体制
 今年度から、エフコープ生協、宮崎県民生協が会員になっていただき、団
体会員35、準会員12団体となりました。かがわ生協、ふくい生協が脱退しま
した。
 個人会員は、加入27名、脱退18名で、会員213名、準会員20名です。
 事務局体制は、大学への転出、京都生協の方針変更や人事異動、さらには
病気などによって、定員の減少と短期の入れ替えなどかってない不安定な状
況でした。育成も含め、中期的な計画、安定化が必要です。


戻る