第一号議案 1997年度のまとめと決算

グローバルな視野と生協運動の実践を重視する立場から、「日本型生協は21世紀に生き残れるか」「地域の豊かさと生協」「コープこうべの創造的復興から学ぶ」「新しい生協像の再生のために」を総会記念シンポのメインテーマに活動をすすめてきた当研究所は、創立5周年を迎えた昨年のシンポジウムでは、再び「アイデンティティ・クライシスと生協再生の条件」を掲げるとともに7つの分野にわけて実践の集約と問題意識の交流を行いました。
くらし・地域と生協をめぐる状況が大きく変化し、さまざまな困難と問題が発生している現在、研究所のあり方をめぐっても議論がなされていますが、その内部にありながらも率直に問題指摘をし、克服する方向をともに探る研究所の役割が、一層求められています。

T プロジェクト


1、現状分析プロジェクト(代表 野村秀和)
・ コープかながわ、ユーコープ事業連合(3月28日〜30日)の訪問調査をしました。
・ くしろ市民生協、コープさっぽろ(7月14日〜19日)の訪問調査をしました。
・ 『生協 再生への挑戦―コープこうべの創造的復興から、学ぶべきものはなにか』(コープ出版)を刊行(8月)しました。


2、組合員調査プロジェクト(代表 浜岡政好)
京都生協調査を実施(96年11月〜98年3月)。データ作成は完了しましたが、内容的な分析検討は今後の課題として残っています。


3、協同組合間協同研究プロジェクト(代表 藤谷築次)
研究成果を家の光協会からの刊行を予定しています。

U 研究会


1、職員論(代表 戸木田嘉久)
   5年越しの『生協職員論の探求』(戸木田、三好監修 法律文化社)を6月刊行し、12月には職員論研究会メンバーとCRIの永山利和日本大学教授、田中秀樹広島大学助教授、高橋晴雄ちばコープ理事長、根本隆生協労連書記長等 の参加で職員論のシンポジウムを開催することができました。5月にパンフにまとめました。


2、生協の事業・商品(代表 若林靖永)
   パート1の共同購入研究会が、京都生協の支部長などの参加も得てすすめられています。2月には「配達時での担当者と組合員のコミュニケーション調査」を実施し現在分析中です。
店舗等の研究会開催は新年度の課題です。


3、生協と福祉(代表 上掛利博)
   京都生協の福祉部職員や助け合いのメンバーと様々な福祉活動・事業の事例調査、研究をすすめてきています。


4、健康・医療・協同組合(代表 松野喜六)
  「ヘルシーシティ」や「メディカルコーペラティブ」などの研究を行ないました。


5、協同組合史(代表 青木郁夫)
  対象を「消費組合の歴史」からひろげ、戦前の婦人活動や消費組合の聞き取り、資料を読む作業をしてきましたが、その中から大阪毎日新聞の「消費組合めぐり」、朝日新聞系の「『婦人』にみる消費組合」を刊行できました。


6、 女性と協同組合(代表 廣瀬佳代)
  2ヶ月に一回、順番に参加者個人の関心にもとづくテーマを設定して開催しています。


7、 その他
   「組合員活動研究会」「中小企業と協同組合」「農村地域研究会」はお休みしています。「生活様式研究会」は京都生協組合員調査の分析検討会(仮称)として再結集し、新たなメンバーを加え(研究者、職員)、4月より定例に開催しています。


8、 地域の研究会
・土佐 くらし研究会
・ヒロシマ 地域と協同の研究センター
・えひめ くらしと協同の研究会
・おかやま くらしと協同の研究会準備会

V 委託研究


計画では、積極的に拡大の方針でしたが、財政上の理由もあって実施できませんでした。

W 自主研究援助


今年度は、8月の研究委員会で選定し、9月の幹事会で再確認の上、以下の4件に75万円の支出をいたしました。前年より5件21万円の減少です。 
@ 子育て教育(エプロンシアター・パネルシアター)山本由美子他(コープえひめ)
Aお台所サイエンス 卵の違いはどこにある? 三谷裕子他(  同上  )
B中山間地のくらしと発展の展望―郡上7町の事例から 渡辺優(岐阜消費生協)
Cノルウェーにおける『女性とまちでくり』プロジェクトの翻訳、出版 上野勝代(京都府立大学)他

X シンポジュウム、講座など


1、 総会記念シンポジウム
    「アイデンティティ・クライシスと生協再生の条件」(コーディネーター 川口清史)をテーマにしたメインシンポジウムと「パート職員の新しい位置づけ」「生協店長論」「共同購入の再挑戦のために」「フードシステムの変革は可能か」「ナショナルミニマムを越えて『質の高い』福祉を創る」「くらしの変化と生協商品」「地域のくらしと生協」の7つのミニシンポ、および二つの(かながわ、さっぽろ)の実践報告と対談(増田大成、野村秀和)をおこないました。


2、 しまねシンポジウム(コーディネーター 浜岡政好)
   生協しまねの尽力により、北川学長をはじめとする島根大学や県立女子短大学の研究者のみなさん、そして県の商工課等のご協力で「地域におけるくらしと協同を考える――しまねから の発進」シンポジウム(9月)を開催できました。内容は新年度5月に『協う』地域晩第2号として発行されました。


3、 女性トップ経営セミナー(コーディネーター 川口清史)
  京都生協の末川理事長をはじめとする女性評議会メンバーの要望に応えて、2月に開催しました。継続強化が望まれています。冊子、テキストとして刊行予定です。


4、 協同組合論講座(講師 武内哲夫)
   前年の9回にわたるレイドロー報告についで、ロッチデイルからの解説が始まっています。


5、 アジアの地域社会と協同組合
理事の中村尚司先生にご相談しながらすすめてきましたが、新しい年度になって講座を再開しました。第一回「アジアの開発と私たちのお金」(神田浩史 地域自立発展研究所)第二回「アジアとの交易と生協」(堀田正彦 (株)オルター・トレード・ジャッパン)


6、 くらし発見の旅サロン(代表 浜岡政好)
 くらし研究を強化することを期して講座をすすめ、可能なところから研究会に移行していこうという目的で開始した「くらし発見の旅サロン」は第2回を実施したところで中断しており、引き続き強化すべき課題となっています。


7、 その他 、下記のような講演会をもちました。
   6月 ジェンダー問題(伊藤陽一、セツ夫妻)、9月 ノルウェーの高齢者福祉(A.リーセ)、2月 イギリスの福祉政策(R.スピア)を開催しました。

Y 刊行物など


1、『協う』編集委員会を中心に次のように刊行してきました。特集は
4月(37号)「農を生かした地域づくりや環境共生型農業など」
6月(38号) 「人口減少・高齢化のまちづくりに求められるソフトのノウハウ=v
8月(39号)「地域の生活者としての組合員と職員との協同を通してニーズを具体化する関係づくりを!」
10月(40号)「生協経営者は『正直』につきる」
12月(41号)「われわれはおもいとどまるか、緩慢な地球自殺の道」
98年2月(42号) 「女性トップは生協再生の鍵になるか」


2、年報第3号『協同組合 新たな胎動』(法律文化社)を刊行することができましたが、今後のあり方については検討が必要になっています。
 その他単行本は、『生協 再生の条件』(コープ出版)と『生協職員論の探求』(法律文化社)を刊行しました。普及問題が課題です。


3、ホームページを開設しました。


4、ワーキングペーパーなど総会シンポ関連8冊、しまねシンポ、職員論、歴史2冊を発行しました。活用目的・能力や他の媒体との関係を整理する必要があります。

Z 交流、提携など


   生協総研との「協同経済」(川口清史他)研究会による公開研究会・講演会等を実施しました。CRIとの「生協組合員研究会」(井上英之他)の共同研究がすすめられています。



[ 会員動向・事務局態勢など


個人会員は増加していますが、年度末に会費未収分の整理を行いました。団体会員は変化していません。
『協う』の編集委員を公募して補強しましたが、定着しませんでした。年度末、主任研究員が京都生協の人事教育部へ異動することになるなど、中期的な体制確立が引き続き課題です。大学院生等の研究委員会事務局は、調査も含めて5名でした。

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