1998年度のまとめ



 理事長、所長の交代にともなって所長と副所長2人の3人体制をとりました。副所長がそれぞれくらし部門と協同部門を分担して強める方針ですすめています。
 くらし研究の部門では、今年度は総会シンポジウムにおける問題提起を出発点に、それを継続、フォローして深めることをめざしましたが、この点は不充分でした。しかし、組合員調査分析の継続やくらし発見の旅の再開などが進んできています。
 協同部門では、訪問調査のほか、福祉プロジェクトの活動がはじまっています。
 また、今年度からの重点として、当研究所として「転換期の生活協同組合」「生協−21世紀への挑戦」と進めてきた歩みをふりかえり、協同組合運動の21世紀の課題に応えるべく問題の整理と問題意識の共有化をめざして「フォーラム」を開始しました。

T.プロジェクト
 @「生協運動の現状分析」(代表 野村秀和理事長)
   以下の生協を訪問調査しました。
    9月12日〜13日 おかやまコープ
    9月16日〜19日 コープしずおか、ユーコープ事業連合、コープかながわ
    9月23日〜27日 コープさっぽろ、道央市民生協、くしろ市民生協
    10月2日  エフコープ
    99年1月9日    生協ひろしま
 引続き重要な分野ですが、その方法論をめぐって、理事会などでも意見が出されており検討課題です。

 A「組合員の生活実態調査分析」(代表 浜岡政好副所長)
  生活様式研究会と協同で京都生協調査分析検討会を毎月1回程度実施し、組合員像の変化、地域の変容、生協との関わり、世代的な特徴、さらには調査方法論などをめぐって議論をすすめています。次年度に向けてテーマのしぼりこみが必要になっています。

 B「介護保険体制下の生協の福祉のあり方」(代表 上掛利博幹事)
  ならコープ、東京マイコープ、コープかながわ、生活クラブ生協(神奈川)、東京高齢者協同組合など生協の福祉事業の実態とともにいくつかの宅老所の調査など「生協の福祉活動への提言」をめざして検討を積み重ねています。

U.フォーラム
 以下の3回開催しました。
「京都生協組合員のくらし・思いの調査」(1997年実施)結果の概要紹介(浜岡政好副所長)、「NPOと協同組合、生協とジェンダー、コーポレートガバナンス問題」(川口清史副所長)、「世界の高齢者福祉、非営利組織の福祉活動と規制緩和、介護の現場から(コムスン、宅老所など)」(上掛利博幹事)。今後は継続する事が課題です。

 V.研究会
・ 「生協の商品と事業」(代表 若林靖永幹事)この2年間「共同購入」について検討をすすめてきました。その成果を「共同購入改革とコミュニケーション」として集約し、活動を完結する予定です。
・ 「職員論」(代表 戸木田嘉久研究委員)今年度は、宮崎県民生協訪問調査とちばコープの訪問調査を実施したほか、最近の刊行物についての検討などをおこないました。
・ 「協同組合史」(代表 青木郁夫研究委員)京都YMCA70年史、京大学消、東京購買組合(木村正枝さん訪問調査他)、賀川豊彦『雲の柱』身辺雑記などにもとづきながら戦前の消費組合を追っています。並行して「昭和初めの消費組合勃興期」の資料集刊行準備をすすめています。
・ 「健康・医療・協同組合」(代表 松野喜六研究委員)民医連の活動と経営などをテーマに研究会をすすめてきました。また最近生協職員の中で、心身両面に渡る健康問題に対する関心が高まっているので、健康調査の準備を進めています。
・ 「女性と協同組合」(代表 廣瀬佳世京都生協理事)、「組合員活動」(代表 井上英之所長)、「中小企業と協同組合」(代表 二場邦彦理事)及び「生協のフードシステムと協同事業」(代表増田佳昭研究委員)は休止しています。引続きここの再編強化が課題です。
・ 「土佐くらし研究会」(代表 玉置雄次郎高知短期大学教授)は、第20回から30回の研究会にかけて、大野見村調査を中心に精力的な活動をすすめており、99年6月には報告書内容も確定する予定です。その成果を土台にした高知でのシンポジウムも期待されます。
・ 「ヒロシマ地域と協同の研究会」(世話人 鈴木勉広島女子大学教授、田中秀樹研究委員)は、ここ2年ほど、年2回程度の研究会開催し、昨年は98年2月「市民型生協からの転換」(田中秀樹研究委員)と99年1月「地域づくりと公民館改革」(吉富啓一郎広島女子大学教授)でした。また、11月には協同集会が広島で開かれ、主なメンバーがその実行委員として活動し、これを契機に独自の協同集会開催の気運が盛り上がっています。

W.シンポジウム・講座など
・ 総会の記念講演は6月20日、中央大学の宇沢弘文教授に「豊かさをこう考える――社会的共通資本と協同セクター」をお願いし、講演記録を軸に「経済に人間らしさを」(かもがわブックレット)が刊行されました。
・ 総会シンポジウムは、「くらしの変化と協同の新たな条件」をテーマに、報告は、「トレンドから見た日本人のくらしの変化」福田優二電通総研研究主幹、「家計調査からみた生活構造の変化」室住真麻子帝塚山学院大学助教授、「ジェンダー関係のゆくえ?!」木本喜美子一橋大学教授、「転換期のくらしと生協組合員の願い」浜岡政好副所長の4人から、コメントを、杉尾哲男コープこうべ地域業態プログラム推進タスクフォース統括部長、小林智子京都生協常任理事、若林靖永研究委員会幹事から、フロア発言を田中恒子研究委員、小山古彦ちばコープ共同購入事業支援部商品部長からいただきました。
その後、第1回研究委員会で検討し、コープこうべの「コミュニティコープ」へも訪問しました。
・地域シンポジウムを京都の丹後地方、京都府大宮町で「日本海地域のくらしと生協の課題」をテーマに98年11月28日開催しました。報告は、「地域組合員のくらしへの接近〜丹後のくらしと生協組合員像」下田弘幸京都生協丹後支部長、「島根のくらしと生協の位置」大木隆之生協しまね常務理事、「能登生協と組合員」稲元順也七尾生協専務理事。コメントは、本村三郎コープこうべ但馬事務所統括部長、廣野公昭大宮町常吉村営百貨店専務でした。『常吉百貨店』の活動は大きな関心を呼びました。
・ その他生協総研との関係で、5月8日バーチャル氏「協同組合セクターの将来」、9月5日ストルイヤン氏、マロッキー氏、エバース氏「ヨーロッパ福祉における非営利・協同組織の役割−スウェーデン、イタリア、ドイツの事例」、11月10日カッテル氏「イギリスの福祉と新しい協同組織」など海外事情についての講演が例年にもまして数多くもたれました。
・ くらし発見の旅は、9月に企画委員会を立ち上げ、くらしとモノを主なテーマにして6回の集まりをもちました。99年2月には(株)CDI(コミュニケーション・デザイン研究所)代表取締役、疋田正博氏をお招きし、公開講座「『豊かな生活』への視座―生活生態学の立場から」を開催し約40名の参加がありました。
・ 協同組合論講座は、講師の武内哲夫研究委員のご都合により、7月以降休講にしていますが、再開が待たれています。また、会計講座なども希望が出されています。
・ 「女性トップ経営セミナー」の第2回目(1月29日から31日まで)は、延べ25名の参加があり好評でした。引き続き継続の希望も出されています。自主企画、自主運営などが期待されます。
・ その他、京都保育福祉専門学院の「協同組合論」の講義や、立命館大学法学部のインターシップへの協力なども行いました。

X.自主研究
以下2件の援助金を決定しました。
・「非営利・協同組織の日・韓・仏国際比較」北島健一研究委員他へ22万円。
・ 購読会「諸外国における生協運動・協同組合運動について」大田黒幸司京都生協職員他へ12万円。

Y.委託研究
以下2件の委託を決定しました。
・「アメリカの非営利組織(医療)の実態調査」高山一夫福井医科大学講師へ54万円。
・京都生協より受託の「京都生協二条駅店(仮称)の立地関連調査」を地域経済研究会へ50万円。

Z.調査受託
・ コープしがより、組合員アンケート調査(1998年コープしが組合員の「くらしと生協」調査)を受託し、99年4月に完了しました。調査報告書は、コープしがより5月に刊行されました。

[.協同研究など
・ CRI(協同組合総合研究所 神奈川県)第1回リレー研究討論集会「現代の生協改革とその思想」(9月16日)
・ 同上 第2回「現代のアイデンティティと協同」(12月19日〜20日)
・ 生協総合研究所第8回研究所交流会(12月2日京都)
などに参加しました。

\.刊行物
・ 『協う』
8月号(46号)特集 シンポジウム報告「いままでにない地殻変動をおこしている『くらし』」
10月号(47号)特集 「日本の福祉システム転換への先導者になりうるか−『生協のあり方検討会報告書』を考える」
12月号(48号)特集 「自分の仕事の主人公になるために−生協労働の意味を主体的に問直そう」
'99年 2月号(49号)第2回研究委員会報告@「生協をとりまく厳しい状況に立ち向かうために」A「生協が福祉に取り組む意味」
4月号(50号)特集「共同購入の『仕事』としてのコミュニケーション」
・ その他刊行物
@年報 第3号『協同組合 新たな胎動』
@改訂版『消費組合巡り』
A総会シンポジウム報告(くらし)
B丹後シンポ
C97・98女性トップセミナー (予定)

].理事会・研究委員会・運営態勢など
・ 第1回研究委員会(8月28日)
「研究所第2期の方向」井上英之所長、「総会シンポジウムフォロー」進行:浜岡政好副所長、ゲスト 杉尾哲男コープこうべ地域・業態プログラム推進タスクフォース統括部長、「生協のあり方検討会答申について」進行:上掛利博幹事、報告川口清史副所長、「鈴木イトーヨーカ堂グループ代表との対談について」野村秀和理事長など。
・ 第1回常任理事会(10月31日)「研究所の今後の課題について」話合った。
・ 第1回理事会・第2回研究委員会(12月23日)
「98年研究所の活動の中間状況」井上英之所長、「問題提起:日本農業と農政の現段階」藤谷築次理事、「最近の生協の現状と展望」野村秀和理事長、「生協の福祉活動と事業について」上掛利博幹事。
・ 『協う』の編集事務局態勢を、99年2月号より変更しました。幹事会との関係などをより組織的につよめる目的で、6月の幹事会で編集長若林靖永幹事、事務局近藤祥功研究所事務局を確認しました。
小林治子さんとは委託内容を、従来の『協う』編集部から研究所のその他刊行物の刊行援助に変更し、契約を交わしました。
・ コープしが調査、環境関係もふくめて、大学院生など研究会補助態勢は延べで5名でした。

]T.会員動向
全京都企業組合連合会および賛助会員であるいわて生協、コープかごしまが今年度をもって脱退、個人への切り替えを表明されています。
個人会員は10名の加入、29名の脱退でした。
この面からも、研究所のあり方が問われてきています。

]U.決算
調査受託などにより事業収入が予算を超過し、一方刊行物が予定を下回ったため、大幅な収支改善となりました。98年度の活動のまとめと決算(案)参照。



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