『協う』2007年4月号 生協のひと・生協のモノ


イギリス生協のフェアトレード商品

杉本貴志
関西大学商学部教授
『協う』編集長


 コープ商品といえば、「安心・安全」・・・組合員ばかりでなく、一般の人々にも、 生協とは何よりも安心で安全な食品を売っているところというイメージが強い。そしてそれを象徴するのがコープ商品であろう。
  しかし、 実はそれは日本の生協に特有の事情といってもいいかもしれない。たとえば生協運動の母国イギリスで、 「コープの特徴は?」 という問いに、「他のスーパーよりも安全性にこだわっている」 と答える消費者は、現在ではおそらくほとんどいないのではないか。
  それでは、イギリスのコープ商品の "売り" は何か?ひとことで言えば、それは「社会性」 あるいは 「倫理性」といえるだろう。この国の生協は、コープ商品は安全だというのではなく、コープ商品は倫理的だと、社会に訴えるのである。 その代表がフェアトレード製品であって、いまやコープはイギリスの大手小売チェーンのなかでもっともフェアトレードに熱心なチェーンとして知られている。
  第三世界の生産者を不当に収奪することなく、彼らの生活を保証する適正な価格で産品を輸入しようというフェアトレードの運動については、かつて本誌46号で日本の生協のバナナ貿易を取り上げ、 そのほか92号などでも言及したことがあるが、英国のコープはコーヒー、紅茶、ワイン、ジュース、チョコレート等々、多数のオリジナル・フェアトレード商品を開発するとともに、各地で自治体ぐるみの 「フェアトレード・タウン」 宣言を推進するなど、日本の生協よりもはるかに積極的である。 自分たちの組合員の健康な食生活よりも、 途上国の貧しい生産者の生活に思いを寄せるのが、 イギリス流のコープのあり方だといえるだろうか。ここらあたりの日・英生協の違いは、 環境問題について、 専ら自分たちの健康を損なう公害問題としてそれに接近してきた日本と、 それを当初から生態系の問題として考えてきたヨーロッパとの違いとに、どこか通じるものがあるといえそうである。
  さて今回は、 こうした英国コープのフェアトレード製品のラインアップから、白ワインとチョコレートを試してみた。 本誌編集委員の感想は、「ワインは雑味がなく、フルーティな香りで "まったり"していないですね。」 「ダークチョコは、カカオのきつい苦みがなく、後味がまろやか・さっぱりですね。」「ミルクチョコの方は、 甘ったるさがなくすっきりしている。ただちょっと塩味していませんか?」 といったものだったが、価格からしても、日本の生協がイギリスの生協と手を結んで、 これらを輸入してみてもおもしろいのではないかと思うのだが、如何?