『協う』2007年12月号 ブックレビュー2
特集:循環型社会と生活協同組合

山谷 修 作著
「ごみ有料化」
有地 淑羽 京都生活協同組合組合員、 『協う』 編集委員

  2005年に国の廃棄物処理基本方針が改正されました。 地方公共団体は有料化を推進すべきであるとの方針が出され、 京都市でも、 昨年から段階的に有料化の導入が始まりました。 まだ有料化を実施していない自治体に住んでいる方にとっても、 また導入された自治体の方にとっても、 他都市のごみ施策の実態や取り組みの経験を知ることは興味深いことだと思います。
  本書には、 全国の都市、 都道府県へのアンケート調査、 自治体へのヒアリング調査など、 フィールドワークで得られた情報や資料やデーターが提示されており、 また、 全国家庭ゴミの有料化の現状、 有料化によるごみの減量効果、 他の自治体に参考になるような先進的な取り組みが紹介され、 さらに地域の住民や自治体が有料化施策を評価する際の基本的な視点が書いてあります。
  この本の中で私が興味を持ったことをいくつか以下に挙げてみました。

「ヤードスティック方式」 とは幾つか複数の自治体で最終処分場などを運営している場合、 各自治体に埋め立て容量を配分して、 割り当て埋め立て地へのごみの搬入量が目標を上回った自治体には超過金を課して、 逆に下回った自治体には還付金を支払う仕組みです。 情報はホームページなどで市民に公開されています。 ペナルテイーを受けた自治体は議会や市民団体の追及を受けることになり、 ゴミ減量に取り組まざるを得なくなります。
  環境の問題では有効な制度設計が大切ですが、 ゴミ処理の広域化が進む中で自治体、 市民をまきこんでの減量競争をさせるやり方は効果の大きい仕組みと言えます。

 戸別回収と不法投棄について制度導入前と後で行われた市民へのアンケート調査の結果にも興味深いものがありました。
  東京多摩地域の幾つかの自治体では、 排出者責任を明確化するため、 有料化と同時に拠点回収から自宅前に出す 「戸別方式」 に変えました。 大きい袋で出すことがはばかられるという減量効果と、 誰が出したゴミかわかることで、 きちんとルールが守られる効果があります。 導入前には、 収集経費の増大やプライバシーの問題をあげ戸別収集に否定的な意見が多かったのですが、 導入の済んだ地域では、 ごみ出しが楽になった、 自分のごみに責任を持つべきなどの賛成意見が多くなっているようです。
  「不法投棄」 も同様に、 有料化の導入時に反対理由の第一番として挙げられる問題ですが、 心配するほどのこともなかったと思っている市民が意外に多いことが伺えます。
  ゴミを有料化することでルール違反を許さないという社会規範が広まるようです。

 審議会には慎重、 推進両方の委員がいますが、 筆者が審議会の委員長をした町田市を例に有料化の制度導入までの合意形成の過程を具体的事例として紹介しています。 市民へのアンケート、 他の自治体への委員の視察、 ごみの実態調査、 その市に合った制度設計の話し合いを重ねながら、 最後は、 くいさがる慎重派を 「突っぱねた」 委員長の強い意志。    
  意見の分かれる新施策を合意に導く際の、 進め方の参考にもなる本だと思いました。

 本書は、 ごみ減量に有料化は有効であると述べています。 しかし有料化ですべてが解決するわけではありません。 制度の導入と同時に分別やリサイクルの仕組を進めて無料の資源回収の仕組を整え、 きちんと分別すれば市民の経済的負担を減らせるような仕組みをつくることも大切です。 またデータをじっくり見ると有料化していなくてもごみの排出の少ない自治体もあります。 この本の中の成功事例を導入するだけではなく、 自分の町ではどのような循環型社会を作っていくかという大枠で考えていくことも大切だと思いました。

 最後に、 私も以前自分の暮らす町のごみ減量化推進委員をしていた時は 「有料化、 制度の厳密適用を」 などと発言していましたが、 今、 ふと考えると時間に追われてあわただしく日々を過ごす中で、 溜まるばかりのゴミに埋もれて暮らす庶民のため息もよくわかるようになってきました。
「事業者、 行政、 市民のパートナーシップで問題を解決する」 という文面が多く載っているゴミ処理基本計画を読んでいると、 企業の環境に対するコスト負担の部分や国の強いリーダーシップも、 行政と市民が取り組んでいる 「有料化」 ぐらいに国と企業も頑張ってほしいと思います。