『協う』2007年12月号 特集1

特 集:循環型社会と生活協同組合 
  わが国では大量生産・大量流通・大量消費の結果生じた大量の廃棄物に対応するため、 2000年に循環型社会形成推進基本法が制定され、 個別リサイクル法も次々と整備された。 近年法改正も順次行われ、 制度的枠組みが確立されていくとともに、 「大量リサイクル社会」 が到来しつつある。 このような背景のもと、 本号の特集では、 生協事業をとりまく廃棄物問題の現状と課題、 そして今後の展望を模索する。


環循型社会へ向けての食品小売事業者の対応

望月 康平 (京都大学大学院博士後期課程・ 「協う」編集委員)

 本稿では、 まず生協が排出する廃棄物の特徴を概観した上で、 個別リサイクル法の中でも特に食品流通事業に関連が深い 「食品リサイクル法」 と 「容器包装リサイクル法」 に焦点を当て、 各事業者の対応をみていきたい。

地域生協が排出する廃棄物の特徴
  表1は京都生協が事業活動を通して排出した廃棄物の2000年と2004年の実績を示したものである。 排出量が特に多いのは生ごみ、 ダンボールであり、 紙ごみ、 発泡スチロール、 プラスチック類がそれに続く。 地域生協によって事業規模に違いがあり、 またその地域によって処理方法が異なるとしても、 表1のような排出傾向は全国的に共通していると思われる。
  これら廃棄物への対応には、 その種類ごとにそれぞれの課題があるが、 ここでは近年法的枠組みが整備されつつある生ごみを取り上げたい。

食品廃棄物をめぐる状況の変化とその対応
  食品廃棄物は日本国内で年間約1100万t発生している。 これらに対する政策的対応として、 2001年に食品リサイクル法 (食リ法) が施行された。 その結果、 食品関連事業者は2006年までに食品廃棄物の再商品化率 (リサイクル率+削減率+減量化率) を20%以上にし、 その後もさらにその率を高めることが求められている。
  一般的に、 有機性廃棄物のリサイクルのためには、 @臭気の問題、A費用の問題、B堆肥や飼料の品質管理と需要先確保の問題、 など、 克服すべき課題が多い。 しかし、 食リ法の施行後、 多くの食品関連事業者は積極的に対応を進めてきた。 早くからリサイクルに取り組んできた生協の実績を見ると、 2006年度にリサイクル率80%以上を達成しているのが13生協、 50%を超えるのが18生協にのぼる。 一方食品小売企業においても、 表2のように急激な勢いでリサイクル率を上昇させてきている状況がある。 今後は単にリサイクルを行っているというだけでは他の事業者との差を強調することはできなくなり、 その内容をより環境や地域に配慮した取り組みにシフトしていくことが必要となるだろう。
  たとえば、 現在はほとんどの事業者が堆肥化や飼料化を専門業者に委託し、 比較的広域的に処理を行っているが、 本来有機性廃棄物は地域内循環を行うことが理想である。 特に生協は、 地元生産者との関係や組合員組織というチャネルを持っており、 これらを活かすことによって、 地域の実情にあわせた独自の取り組みを行える可能性がある。 この観点から、 今回 「探訪くらしとコミュニティ」 (p.10) で扱ったコープこうべのエコファームの事例は注目に値すると考えられる。

容器包装のリサイクルとその課題
  次に、 容器包装廃棄物、 特に容器包装プラスチックについて若干詳細に見ていきたい。
  容器包装は家庭ごみに占める割合が6割と非常に高く、 これに対応する政策として、 1995年に容器包装リサイクル法 (容リ法) が成立し、 さらに2006年に改正されている。 改正法では、 各小売事業者が店頭などで容器包装の自主回収を行った場合、 その分だけリサイクル義務を減免する仕組みが強化された。 このため、 生協が先進的に行ってきた牛乳パック、 食品トレイ、 ペットボトル、 卵パックなどの回収は、 今後一般の食品スーパーでもさらに急激に展開されていくだろう。
  この一方で、 容器包装の約6割を占めるプラスチック製容器包装 (いわゆる 「その他プラ」) のリサイクルに関しては多くの課題が残っている。  第一の問題は、 小売事業者による回収責任が果たされておらず、 市町村が分別収集を行っている点である。 市町村は容リ法の施行以来、 追加的に350億円の分別収集コストを負担している。 第二の問題は、 擬木や物流に使用するパレットなど、 「その他プラ」 を原料にしたリサイクル製品の製造コストが、 売却価格に対して非常に高いことである。 この赤字補填のために小売事業者は高額なコスト負担を義務付けられている (例えば日本生協連は、 2005年度の使用量12,133tに対して委託金として約5億8千万円を支払っている)。 また第三の問題として、 リサイクル施設からの有害化学物質の発生や周辺住民への健康被害が報告されており、 周辺住民とリサイクル業者の間で紛争に至るケースも存在する。 リサイクルが新たな公害を生み出しているのである。
  このように経済的にも技術的にもリサイクルが難しいその他プラに関しては、 「リデュース」 (量の削減)が徹底して追求されるべきではないだろうか。

生鮮食品容器包装調査の結果から
  容器包装プラスチックのリデュースのための第一歩として、 まずは現状把握のために、 本年10月に筆者と 『協う』 の組合員編集委員は各食品小売店での生鮮食品の容器包装調査を行った。 別表(P9)がその結果の一部である。 調査結果からは、 コンビニでは個別売りにも包装が付いている、 共同購入ではセット売りが中心であるため透明のプラスチック袋の使用が多い、 商店街では盛り売りを行っており包装が少ない、 などの傾向が見られたものの、 どの売り場でも広く容器包装プラスチックが使用されていた。
  容器包装プラスチックはその目的によっておよそ以下の3種類、 @セット売りのための包装 (ジャガイモ、 ミカンなど)、 A鮮度の維持のための包装 (レタス、 水菜など)、 B包装しなければ持ち運びに不便なもの (シイタケ、 カイワレなど)、 に分けられる。 これらの目的を組み合わせたもの (精肉、 鮮魚など) もあるし、 産地で包装され、 ブランド表示を付加したものも増えている。
  このような容器包装プラスチックの削減の取り組みとしては、 例えばイオンがリターナブルコンテナを用いて青果のバラ売り・量り売りを進めている、 イトーヨーカ堂は対面販売によって精肉・青果・鮮魚・惣菜のバラ売り・量り売りを積極的に展開している、 イズミヤは農産物70品目で盛り売り・バラ売りし、 鮮魚類にも盛り売りを広げている、 などがそれぞれの環境報告書で紹介されている。 今後さらに激しい 「削減競争」 が期待されるが、 生協は、 レジ袋の削減でそうであったように、 今後容器包装の削減でも社会をリードしていく必要があるのではないだろうか。
  特集関連記事として、 次ページの座談会は前述の生鮮食品容器包装の調査結果を踏まえているので是非、 別表 (P9) を眺めていただき、 「生鮮食品の販売風景」 や 「10年後の理想の売り場」 を想像しながら、 現場の議論を読み進めていただきたい。 廃棄物問題に関わる分野は広く、 本誌面でその全てをカバーすることはできないが、 今後も多面的な角度から追い続ける必要があるだろう。

 本記事を作成するにあたって、 京都市内各小売店舗の皆様に調査のご協力をいただき、 また京都生協の皆様には多くのデータの提供をしていただいた。 この場を借りてあらためて感謝を申し上げます。