『協う』2007年12月号 探訪・くらしとコミュニティ2
特集:循環型社会と生活協同組合

 

生駒市環境基本計画策定委員会の取り組み
〜市民・行政・地域の事業者がともにすすめる新しい計画づくり〜

横田 朋子 (市民生活協同組合ならコープ 組織広報部 広報CS推進課長)

  2007年3月から、 生駒市では新しい環境基本計画の策定に取り組んでいる。 そのキーワードは 「市民参画」、 「協働」 である。 ここでは、 「市民・行政・地域の事業者がともにすすめる新しい計画づくり」 という面から生駒市の事例をとりあげ、 取材にあたっては以下の3人に話を聞いた。

 生駒市生活環境部環境管理課 課長補佐   岡本光弘氏
 生駒市生活環境部環境管理課 計画係係長 古里瑞生氏
 ならコープ・ディアーズコープいこま  店長   中島良孝氏

生駒市の概要
  奈良県北西端に位置し、 大阪府、 京都府に隣接、 西に生駒山を主峰とする生駒山地がある。
  面積53.18km2、 人口116,677人 (奈良県3番目の10万都市) が在住している。
  生駒市では、 2001年に、 従来のし尿処理だけではなくメタン発電、 発酵後の汚泥を堆肥化するというリサイクルプロセスを持つエコパーク21を開設し、 し尿汚泥リサイクル事業を開始するなど環境対応の取り組みをすすめている。
  また、 2006年に就任した現市長は、 施政方針に 「生駒を "環境bP自治体"に!」 を掲げ、 地球環境に配慮した循環型社会の実現と身近な環境の保全に対する市民の関心に応えるために、 2008年度に新環境基本計画の策定をめざしている。

市民参画型運営による 「環境基本計画策定委員会」
  生駒市では、 1999年 「生駒市環境基本条例」 に基づき、 「生駒市環境基本計画」 が策定されたがこの計画は2008年まで終わる。 2009年以降の計画策定をめざして2007年はじめに 「生駒市環境基本計画策定委員会」 を設置した。
  委員会は16歳以上の市内に居住または通学する市民、 市内の事業者をはじめ市の環境施策に関わる部署の職員、 教育委員会、 教員等で構成され、 さらに環境市民および奈良NPOセンターの二つのNPOがコーディネーターとして関わっている。
  基本計画策定のための委員会を設置する際に、 市としては二つの問題意識があった。 ひとつは、 本当の意味で市民が参画して作り上げる計画にするということ。 これまでの様々な 「計画」 は市民にとって自分たちの作った自分たちが住むまちの計画になっていたのかという疑問からである。 計画には行政の役割、 事業者の役割、 市民の役割などが掲げられることが多いが、 「市民の役割」 を行政が決めているのではないかということである。 市民自身が自らの役割を考えることをしなければ意味がない、 と。 そのため、 これまでのように会議に行政が計画の枠組みや内容について案を出し、 意見をもらうという進め方ではなく、 参加する委員の思いや意見を出し合うところからスタートすることになった。
  ふたつめの問題意識は 「絵に描いた餅にしない」 ということである。 今まさに模索中というところだが、計画ができあがって終わり≠ノしないために、 計画スタート後も、 計画の進捗を確認するための市民会議が設置予定されている。

策定委員会の参加者は
  策定委員会は2007年3月末から毎月2回程度の会議を開催し、 2008年12月までに計画を策定することになっている。 約2年間という長丁場であるが、 スタートから10月までの半年間をネットワーク形成期間、 11月以降を基本計画策定期間としている。
  ネットワーク形成期間では、 講演・学習やワークショップをつうじて、 現基本計画の到達状況の確認をするとともに、 生駒の環境について問題と思うことや 「もっとこうなったらいいのに」 というようなことが出し合われ、 意見交換や交流がはかられた。 その他にも、 各団体、 企業の取り組み事例の報告、 市内の施設見学なども行われている。
  会議に参加する委員は、 大学生・大学院生から地域団体、 事業者、 市民、 市職員等年齢も幅広く立場も様々だが、 会議においては肩書きをはずして対等≠ノ意見の交換をしているという。 委員として関わる市民、 事業者に対して市から求められる役割は同じ≠ナ、 関わる市の職員も対等な立場で参加している。
  第1回の会議に参加した委員からは 「従来の固い会議をイメージしていたのでとまどったが、 なんだかワクワクしてきた」 「自分にも何か出来そうだ」 「次の会議が楽しみ」 など、 本当に会議の感想なの?と思われるような声が出されている。 会議への主体的なかかわり感ややりがいが感じられているようだ。
  中島店長は 「まさにお膳立てがない会議。 意見交換の中でそれぞれの委員からあんなこともしたい、 こんなこともしたいがたくさん出されてきた。 これから自分はどう関わるかそろそろまとめていかなければ」 と話している。 今後は分科会に分かれて話し合われていくが、 実は分科会の枠組みも何も決まったものはない。 どんな分科会が必要なのか、 どういうカテゴリー整理がいいのかも含めて、 これから策定委員会で決めていく。
  そこには事務局として不安はないだろうか、 と古里係長に聞いたところ 「市の計画としてまとめる以上総合性は求められる。 具体的な計画の論議はこれからなので、 まだそこが見えない部分はあるが、 今は絵に描いた餅にしないという思いのほうが強い」 とのことであった。

今後に向けて
  委員会のもうひとつの課題は、 環境基本計画の達成度合をはかるために指標・評価基準づくりである。 検討をはじめている。 全ての計画を数値化することは難しいが市民とともに作った計画を実行して、 何がどこまでできたのかを市民とともに納得し、 喜び合える指標にしたいという事務局の強い思いがある。 岡本課長補佐は 「市民がつくる計画だから、 その評価を市民がすることが大切になる。 環境白書を市民がつくるイメージとでもいうのだろうか」 と話す。 そのためにも市民が納得できる指標づくりが決定的になろう。 大きな課題であるが、 今後の策定委員会の取り組みに期待したい。

ECOMA (生駒市環境地域協議会) の取り組み
  策定委員会の枠組みとは別に、 2007年3月、 地球温暖化対策の具体的な実践行動を協議するための組織として生駒市環境地域協議会 「ECOMA」 が設立された。
この 「ECOMA」 は、 地球温暖化防止のための活動を行う市民、 事業者、 NPO、 行政等が連携・協働し様々な行動を協議・計画していくことをめざしており、 2007年11月現在、 7団体、 2事業者、 行政 (生駒市) で構成されている。
生駒市は、 毎年水質検査で全国ワースト1,2位として登場する大和川水系の竜田川流域に位置し、 生活排水対策は市としても大きな課題となっている。 そこで、 「ECOMA」 は、 最初の取り組みとして竜田川エコハイキングを開催した。 また、 市の環境フェアに出展し啓発活動を展開している。
  現在、 「ECOMA」 に参加するのは事業者としては、 ならコープとイオン株式会社の2者のみだが、 10月には 「ECOMA」 の提案で、 生駒市内のスーパーマーケットの店長懇談会を開催し、 市内スーパーが連携した環境の取り組みを展開できないかと提起したところである。
  一方、 「ECOMA」 は、 市内スーパーで協力を得られたところから、 来店者に環境啓発のとりくみを積み重ねている。 今後はこれを発展させ、 市内スーパー全体でのマイバッグキャンペーンの展開や水質改善のための生活排水対策の行動提起など共通したとりくみなどができないか話し合っている。 そしてともに行動する事業者、 団体の地域協議会への参加も働きかけていこうと考えている。
  環境保全のアクションとして、 新たに 「生駒方式」 とでも呼べる取り組みに発展させたいというのが 「ECOMA」 メンバー共通の思いである。