『協う』2002年8月号 特集1

去る6月22日、 23日に当研究所の第10回目にあたる総会と、 記念シンポジウムを開催した。
 昨今、 肉食偽装問題をはじめ企業の不祥事が相次いで発覚し、 消費者・生活者を巻き込んだ社会不安を招いている。 協同組合は当事者として、 この問題をさまざまな角度から掘り下げ、 解決策を模索することが急がれている。 そこで、 当研究所も第10回総会にあたり、 「協同組合は不信社会をどうのりこえるか −食肉偽装表示問題を入り口に−」 をテーマとした。 当日は分科会も含めて、 全国から211名の参加を得た。 詳細の 「報告書冊子」 は9月中旬以降、 各会員へ発送予定であるが、 本号では、 それに先立って、 シンポジウムの各パネリストの報告要旨を紹介する。
 読者各位が 「食肉偽装」 をはじめとする、 不信社会問題へ実践的に取り組む際の糧になればと願っている。

■ 呼びかけ

増田佳昭氏 (当研究所研究委員、
      滋賀県立大学助教授)
 私は当研究所の機関誌 『協う』 の最新号に、 今回の偽装表示問題が生協に問いかけたものとして3つの論点を挙げた。 ひとつは、 不当な表示を正すことをひとつの社会的な運動として取り組んできた生協が、 なぜ偽装表示問題に巻き込まれてしまったのか。 2つ目は、 産直の問題。 信頼をベースにした取引・提携関係であったはずの産直にまで偽装表示が浸透していたことをどう考えるべきか。 3つ目は、 こういった虚偽表示を発生させた企業の内部システムの問題である。
 現代は、 いわば 「果てしない不安の時代」 であり、 不安を通り越して、 不信にまで変わりつつあるのではないか。 しかも、 日本の社会システムが、 かつての信頼を基礎にしたものから、 不信を基礎にしたものへと、 大きく舵を切りつつあるのではないか。
 今回のシンポジウムは偽装表示問題を共通の入り口に、 その背景に流れている社会的な変化に焦点を当て、 協同組合がどういうスタンスで取り組んでいくべきかを考えてみたい。

■ パネルディスカッション

1 「食肉偽装問題をどう見るべきか
−表示の信頼性の回復に向けて−」
新山陽子氏 (京都大学大学院教授)
 偽装表示事件の背景にはいくつかの要因があるが、 考えないといけないのは生産者・企業自身による表示の信頼性確保の仕組みづくりである。
 消費者の表示利用度は、 2001年度のいくつかの表示義務づけ以降、 非常に高まっていることが、 農林水産省の表示モニター調査などで明らかになっている。 また、 日生協のインターネット調査では、 表示の信頼度の低下が示され、 その代表が肉類の産地表示である。 一方、 JAS マーク、 有機 JAS マークについては品質が保証されているので信頼度が高い。 ところが、 特別栽培農産物のガイドラインに基づく表示では信頼度が非常に低い。
 食品の衛生や安全性、 健康にかかわる表示は、 消費者の健康に対するリスクを左右する唯一の情報となる場合がある。 これらの表示情報の信頼性に関する根拠づけのひとつは国家の規制に基づく信頼性である。 その法的根拠として食品衛生法があり、 そのもとに検査と監視が定められている。 ところが、 その他の品質に関する情報は、 事業者の責任において表示することになっている。
 では、 さまざまな品質の表示の領域ではこれまで、 どこに信頼性の根拠を置いてきたのか。 ひとつは、 消費者自身の経験による検証である。 2つ目は、 伝統と、 商品の提供者・利用者の空間的な近接性によって成り立つ名声であり、 名声の象徴が商標である。 ところが、 大量生産・大量流通によって通用範囲が非常に縮小してきた。 商品の提供者と利用者の距離が広がり、 空間的近接性が失われ、 それによって情報の直接的な確認ができなくなってきた。 また、 企業の過度な製品差別化行動によって、 消費者自身の経験による検証が困難になった。
 BSE の発生を直接のきっかけに、 生産者団体などを中心にして自己保証のシステムをつくる動きが生まれたが、 偽装表示が発覚して自己保証は保証の意味をなさなくなった。 ヨーロッパが BSE をきっかけに自己保証を始めようとしたが、 やはり機能しなかった。 ヨーロッパが取り組んだ信頼回復への道は、 権限機関の認証制度である。
 表示の情報を検証可能にするためには、 まず検証の基礎となる品質の定義が必要である。 この際に留意すべき点は、 品質概念が大きく変化していること。 品質は、 これまでは製品に体現されてきたが、 現在重視されているのはプロセスの品質である。 どのように生産された商品か、 どこで生産されたかということである。
 次に必要なことは、 定義された品質を保護し、 管理していくこと。 そして、 さらに定義を満たさないものの排除措置を用意することが必要である。
 では、 検証可能性はどのように確保していくのか。 製品を識別する措置と、 その管理記録を採って、 それの保存が必要だろう。 このシステムの検証性をさらに検証していくことが必要だ。 システムの検証をさらに客観化したものが認証制度で、 これは外部の権限機関がシステムの検査・認可・監視をおこなうものである。
 さらに、 検証可能性を補強する手段として近年、 導入されてきたのがトレーサビリティ・システムである。 これは、 一つひとつの製品に製品番号をつけて識別し、 それを誰が取り扱い、 どの場所を経由したかなどを、 取扱者などのコード番号によって識別していくものである。
 最後に、 産業界の連携についてひと言ふれたい。 EU がトレーサビリティ・システムをうまくつくった背景には、 さまざまな食の分野に職能的な連合組織が確立されていたことがある。 ところが、 日本の大きな問題として、 産業界の自主的取り組みが非常に弱い。 しかし、 「職能組織をつくってから、 システムづくりに取りかかる」 という段階論ではできないので、 並行的な取り組みが必要ではないか。
 もうひとつ、 日本の現在の消費者への情報提供の考え方は情緒的ではないかと思う。 「顔の見える関係」 と、 この関係をつくるための生産履歴情報は、 親近感をつくりだすことによって理解を求める手法ではないか。
 政策を立案するにあたって、 二つ対立的な考え方がある。 ひとつは 「人は、 監視を怠れば、 裏切る」 という個人主義 (利己主義) 的人間観であり、 もうひとつは利他主義 (他人を利する主義) に立つ社会的人間観である。 これは、 不信を前提にするか、 信頼 (の可能性) を前提にするか、 という違いであると思う。 アメリカやオーストラリアのアプローチは人間の個人主義的行動が前提になる。 何かをするときには、 必ず経済的なインセンティブ (動機付け) を強調し、 その反対側には厳しい検査と監視が置かれる。 これに対して、 EU のアプローチは非常に社会的だと思う。 問題の要因を社会的に把握し、 人間も 「社会的人間」 としてとらえ、 利他主義の行動に期待する。 日本は、 歴史的な社会制度からみて、 EU のアプローチのほうに親和性があるのではないか。

2 「生協は不信社会にどう立ち向かうべきか」
大川耕三氏 (コープえひめ)
 私は、 生協においては、 むしろいままでの取り組みを御破算にして、 あらためてものの見方・考え方をしっかりつくり直す必要があるのではないか、 という角度からの話題提供をしたい。
 この間、 全国の生協もかかわって出ている現象を挙げると、 主に次のようになる。 外国産のものを国産と表示し、 あるいは混入させて売る。 銘柄でない牛・豚・鶏肉を銘柄肉と表示して売る。 投薬食肉を無投薬肉として売る。 賞味期限をごまかして売る。 これら一連の問題にわが愛媛県の生協もかかわっており、 みなさんにもご迷惑をおかけした。
 この問題は2月15日付の朝日新聞が大きく報道しているが、 銘柄牛のなかに他県産牛の混入があった (内部調査では約20%)。 特に店舗での特売時のコントロールが難しいことから出発し、 それが恒常化していたようである。 現在、 大きな問題になっているのは、 ある意図を持って恒常的に偽装を施している事態である。 これらの問題に、 いくつかの角度から意味付けをしてみる。
 まずひとつは、 消費者・組合員の過度とも思えるような国産指向にのっかり、 必要以上に国産品を売り込むという生協側の姿勢に問題はなかったのか、 という反省である。 もともとは組合員が買うためにつくった組織なのに、 長い歴史のなかで、 事業規模の拡大や職員による専門化の進行などによって、 生協事業の目的である 「組合員のくらしに役立つ商品づくりや商品供給」 という考え方が希薄になっていないだろうか。 ともすると、 商品供給のための予算が一人歩きして、 その持っている意味や目的が後ろに置かれる傾向がありはしないか。 さらに、 「無農薬○○」 とか 「有機○○」 には比較的熱心な生協も多いと思うが、 組合員からみると、 たとえば大根が高いときに1/2とか1/3で供給してくれるほうがはるかに価値が高いという場合もある。 こういう値打ちが、 忘れられていないだろうか。
 もうひとつは、 生協側の 「もっと売りたい。 もっと買ってもらいたい」 という気持ちが強くなったために、 過度な商品差別化をしたのではないかという問題である。 この点について、 あらためて点検をして、 組合員のみなさんと一緒になって、 商品づくりにこれまでと違った価値を見いだし、 つくっていく課題に取り組む必要があるのではないか。 「使って、 ほんとうによかった」 と言われるような商品づくりや、 「この商品づくりに私もかかわれている」 「いい商品だから他の人にも伝えたい」 と思われるような商品づくりや供給事業が大切だと思う。
 たとえば、 私たちの生協でもミズノのポロシャツの供給おすすめ活動に毎年取り組むなかで、 組合員のみなさんから 「子ども用のポロシャツがあったらいいね」 というつぶやきをヒントに、 ムトウと一緒になって子ども用のポロシャツをつくった。 そういう商品づくりが少しずつ進んでいくことに、 生協の新しい取り組みの手応えを感じる。
 3つ目に、 共同購入事業の制約から、 品切れによるペナルティーはすべてメーカーや生産者に押しつけている。 メーカーや生産者とのゆがんだ取引関係の結果として、 今回の偽装問題が出てきたのではないかと思われる。
 今回のさまざまな事件をきっかけに、 あらためて生協として 「暮らしに役立つ事業」 「暮らしや感動が広がる生協事業」 のあり方や方向をつくりあげていくことが必要ではないか。

3 「企業論理と不信社会」
森岡孝二氏 (関西大学教授、 株主オンブズマン代表)
 株主オンブズマンは1996年2月に発足し、 6年余り経過した。 90年代の日本の不況のなかで、 企業不祥事が続発するようになり、 総会屋利益供与事件、 粉飾決算事件、 今回問題になっている食品安全にかかわる偽装表示事件、 あるいは三菱自工のようなクレーム隠しなど、 さまざまな広がりがあった。
 生協のいかなる発展をもってしても、 民間企業形態のひとつとして、 株式会社は残り続ける。 われわれは、 株主として会社のあり方を変え、 あるいは市民として会社を監視することが課題のひとつになっている。
 このシンポジウムのお話があった時期に、 2つの取り組みを進めていた。 ひとつは、 食品企業154社 (113社から回答) に対するアンケート調査である。 このデータからみえてくるものは、 まず、 食品企業でも、 必ずしも食品の安全第一の経営にはなっていない点である。 安全担当の役員を置いているのは93社 (82.3%) だから、 20社 (18%) は安全責任体制が取られていない。 コンプライアンス機構 (法令、 および倫理遵守のための専門委員会等の組織) を置いている企業は全体の1/4 (25%)、 内部告発の奨励保護制度があると答えた企業は11社 (9.7%) にとどまる。 さらに、 不祥事が多発している原因や背景を尋ねてみると、 「遵法精神の欠如」 が複数回答で9割、 「社内チェックシステムの欠陥」 が8割、 「日常の社員教育の不徹底」 が7割である。 これらは 「行政の監督機能の弱さ」 に比べて高い比率を占めているから、 当事者たちは 「問題は、 行政システムよりも、 内部にある。 企業風土に問題がある」 ことを表明しているといえる。
 この間のもう一つの私たちの取り組みは、 雪印乳業への株主提案である。 雪印乳業は、 2年前の6月に起きた集団食中毒事件や、 その後の子会社の雪印食品による牛肉偽装表示事件によって消費者の信頼を失い、 会社存亡の危機にある。 この会社に対して、 おこない得る手段として、 株主代表訴訟と 「消費者団体の推薦を受けて、 安全担当の社外取締役を選任する」 という株主提案の2つの選択肢が考えられた。 どちらが事件の再発防止につながるか、 あるいは消費者の立場、 株主の立場に合致するかを考え、 株主提案を選択した。 3月初めに株主に呼びかけ、 「消費者団体の推薦を受けて、 食品の安全と適正表示を監視する社外取締役を置き、 その取締役のもとに、 若干名の委員によって構成される恒常的な商品安全監視委員会を設置する」 という株主提案をおこなった。 この提案が新聞で報道された時点で、 雪印の経営陣から 「ぜひ、 ご提案について相談させていただきたい」 という連絡があり、 株主提案時では、 すでに雪印は受け入れることを表明していた。 最終的には消団連前事務局長の日和佐信子さんが浮かび上がり、 社外取締役に選任されることになった。
 このような株主提案は、 消費者の声を直接反映させるパイプを開くことによって、 企業を変えていこうという試みであり、 日本ではおそらく、 消費者と株主がタイアップして企業へ監視役を送り込む初めての事例といえる。
 どんな体制を構築しても事件を完全に防止することはできない。 その点から言えば、 事件が起きた際、 迅速に対応する体制、 被害を最小にする体制、 消費者に速やかに知らせる体制ができているかどうかが問題である。 それと同時に、 社内の安全監視について、 日常的に社内チェックシステムが確立しているかどうか。
 99年に発覚した神戸製鋼所の利益供与事件の裁判の原告と被告役員との和解文書には、 兵庫県の弁護士会の推薦を受けてコンプライアンスの委員会をつくることと、 そのなかにスピークアップ制度を導入することが書かれている。 スピークアップ制度とは、 社内で違法行為に気づいた社員が、 不当な圧力を受けずに積極的に上部に通報できる制度である。 これら2つの制度が重なって、 問題を予防し、 事件に対して迅速に対応することが可能になることが、 今回の議論を通じて大きな世論になりつつある。 協同組合としての生協は企業と同じように物流活動や商品供給をおこなっているわけだから、 その点でのあり方が問われている。

4 「信頼のシステムをどう創造するか」
岩崎嘉夫氏 (前川総合研究所専務取締役)
 私ども前川製作所は、 「共創」 というコンセプトを持ちながら、 企業活動を行っている。 不信社会にどう立ち向かうかという今日のテーマに対して、 求められているのは 「共創」 の関係を広げることであるというように問題提起したい。
 前川製作所は、 冷凍・冷却技術を核として生産システムの開発をすすめてきた企業で、 コンプレッサーをはじめとする各種コンポーネント、 熱エンジニアリング技術、 無人化システムの技術を元に、 各種省エネルギーシステム、 食品加工自動化ロボット、 様々なケミカルプラントなどのシステム提供を行っている。 昨年の主なとりくみとしては、 マグロ競り場の衛生・鮮度維持、 水産市場向け 『低温ゾーニングシステム』 発売、 鮮魚介類の品質・鮮度・色を保持 『調整海水プレート製氷システム』 発売、 チキンの正肉を低温下で自動軽量する 『オートマイダス』 といった専門業者向けシステムを販売し、 屋上緑化、 壁面緑化用、 世界最軽量発泡土壌の開発に成功し、 第4回オゾン層保護大賞 『経済産業大臣賞』 を受賞した。
 このように前川製作所は、 顧客の生産システムの改善、 構築をすすめる企業だから、 何よりもまず顧客のおかれている市場の情況・顧客の求めているバックにあるニーズを理解し、 それに対して我が社が何ができるか、 どんな提案ができるかが問われる。 しかも、 単に顧客の期待に応えるということは、 顧客がすでに自覚しているニーズに応えるということだけにとどまらない。 顧客の、 先の顧客やその市場を理解しようとして、 顧客自身もまだまだ気付いていないニーズに応えるところまでいかなければならない。
 そのために 「マエカワは、 顧客とともに生かされている場を共有し、 共同体的な関係に立って共創を求めていく」 を基本スローガンに 「一緒に何かを発見する。 かたちにする。 創造する。 =共創」 に取り組んでいる。 前川製作所は単なる機械メーカーでもなければ冷凍機メーカーではない。 エネルギーのコンサルタント・エンジニアリングの会社でもあり、 サービス会社でもある。 これらを包含する総合的な機能を持った企業として、 顧客との共創の場の拡大を重視してきた。
 組織としては、 自分の市場を持ち、 顧客と対応する単位組織が自らの判断で顧客の期待に応えるという仕事のやり方をすすめるために、 独法 (独立法人) と呼ぶ小さな単位に分社化してきた。 それぞれの小さな単位組織が市場と顧客に対応しながら、 本社のシナリオによってではなく、 全体性をもった単位組織が互いに協力共同しながらグループ全体をより豊かにするというネットワーク組織を形成してきた。
 最近は社内共創から社外共創にチャレンジしている。 いろんな顧客から 「生産システムの革新だけでなく、 生産システムを担う会社の体質・風土・意識の改革に一緒に取り組んで欲しい。 さらに、 我が社のお客さんと共創に取り組めるようになるためのアドバイスをしてくれないだろうか。 あるいは、 一緒に商品の拡販に取り組んでもらえないだろうか」 と言われ始めた。 これらのニーズを満たすのが 「トータルシステム」 の提供であり、 さらに現在は当該戦略の視野をもっと広げたいと感じだした。 それが 「社会システムつくり」 の提案であり、 現に具体的に動き始めている。 仮に顧客が食品加工メーカーだとすると、 この顧客のお客さんは生協で買い物をする生活者である。 例えば京都生協を利用する消費者は京都という地域に住んでいる。 したがって、 この 「地域」 という 「社会システム」 に関わっていかないと、 私達の 「トータルシステム」 は完結しないし、 長期的には存立性が危うくなる。
  「社会システム」 の構築に向けて、 顧客・生協・大学・自治体等と一緒に取り組んでいきたい。 信頼のシステムづくりとは、 まわりの関係者とこのようにして 「社会システム」 をつくっていくことではないだろうか。

■ 増田氏による討論のまとめ

 非常に刺激的なシンポジウムになったことは間違いありません。 感想も含めて3つ指摘し、 まとめに代えたい。
 ひとつは、 この間の産直不祥事等を見るにつけ、 従来、 生協や農協が 「信頼」 という言葉を安易に使ってきたことがあるだろうと思う。 はたして信頼に足るシステムだったかどうかについては、 これを機会に本格的に検証しなければならない。 その意味で、 信頼を担保する検証システムは必要最低限で埋め込んでいかざるを得ないだろう。 ルールを明確にし、 そのルールを守らないと、 産直そのものの存在意義が問われることになるのだろう。
 2点目は、 現代は 「不信社会」 で、 「万人の万人に対する競争」 という状態になりつつあるが、 何らかのかたちの 「協同」 は現代社会においても必要なのだろう。 組合員同士が共感し、 一緒に行動する場は不可欠なのであって、 何らかの中間的な人間組織の倫理性なり組織性に依存しなければならない。
 3点目は、 消費者・組合員としての成長の問題をどう考えるかである。 たしかに、 社会が安心できないシステムになってきていることは間違いない。 そのなかで、 協同組合が、 ただ単に組合員の代理として商品の購入などをする商業組織ではなく、 その活動のなかで組合員自身が成長し、 生活力をつけていく組織でもあるはずで、 その点をもっと活動のなかで重視しなければいけない。

文責;岡本哲弥 (京都大学大学院博士課程)
※9月中旬発行予定の 「報告書冊子」 は、 1000円でお分けする予定です。 研究所までお問合せください。