『協う』2003年6月号 書評1

子どもだって食事作りを楽しみたーい!
中本 智子
『協う』 編集委員・京都生協組合員



『子供が食べたいものなあに?
−全国調査が解き明かした子どもの本音−』
西村一郎著
コープ出版 2002年9月 800円+税

 夕方の5時ごろだったか、 買い物帰りに近くの公園でこんな光景に出会った。
 小学3年生ぐらいの男の子が公園の木陰で一心にケイタイのメール送信をしていた。 片方の手にはマックのハンバーガー。 横に置かれた手提げかばんに有名進学塾のロゴが見えるところから察すると、 彼は公園で塾に行く前の腹ごしらえをしつつ、 遊び友達とつかのまの会話を楽しんでいると見えた。 これが本書にあった、 現代っ子の食の傾向 「コ食」 −個食、 粉食、 孤食、 戸食、 小食−なんだなぁ。 と納得しつつ、 うーん、 ちょっと待ってよ。 あんたそれで満足なの?手にあったのがハンバーガーだからではない。 その中身云々より、 楽しそうに食べていない子どもらしからぬ風情に一抹の淋しさを感じたのだ。
 さて、 どうするか?大人は?親は?
 そのヒントが今回本書が全国1500人の子どもを対象として実施したアンケートの中に隠されている。 その中にちょっと興味深い質問。 「あなたが家庭の食事についてしたいことはなんですか?」 これに対して40%のこどもが 「料理をすること」 と答えている。 しかし現実に、 今している夕食での手伝いの内容は 「食器や箸の用意」、 「後片付け」 である。 やりたいと思っていることと、 現実に“させられている”ことにこれだけのギャップがあれば食べることを楽しむ気持ちになれないのというのが子どもの本音なのだろうか。
 一人でテーブルに座って 「パン一個だけ」 とかかれた絵がある。 親と、 ではなくペットの熱帯魚とお話しをしながら食べておいしかったというコメントもみえる。 みんなでおいしい給食を作って、 あの人に食べさせてあげたい。 という女の子もいた。 …子ども達が描いた食卓スケッチは私達大人へのメッセージだ。 子どもの目線から一度 『食』 を見直してみたらおもしろい。 もしかしたらその裏に私たち自身の食文化が透けて見えるかもしれない。 「じゃ、 聞くけど、 大人は食べることを楽しんでいるの?」 公園のケイタイ君にそんな質問をされそうだ。
 本書では生協活動における体験を通した大人と子どもの食生活教育実践も取り上げていて、 こちらも興味深い。 子どもから何かを学ばせてもらおうと思っている、 謙虚な大人のみ必見。