『協う』2006年2月号 エッセイ

平和を土台に生協運動を推進

生協ひろしま
理事長林 辰也


 昨年六月に理事長を拝命して早や八ヶ月が過ぎました。私は九五年から〇五年まで十年間、非常勤理事(学識理事)を経験したあと、理事長(非常勤)に就任しました。十年間の経験は、生協を外側から客観的に見ることができたことで大変有益であったと思います。また、現場の実務経験のない私は、理事長就任後、今日まで現場理解に努めてきましたが、幸いにも私の前職・広島YMCAでの三五年間の経験が生協の事業や活動に活かせる点が少なからずあることを知り、意を強くしている次第です。
 興味深いことは、生協運動とYMCA運動には次のような大きな共通点があります。@両者は、イギリスの産業革命による社会の混乱と荒廃、貧富の格差などの社会的矛盾を時代背景に一八四四年に英国で誕生した。生協は、消費者が協同して日常の生活を守ることを基盤に創立され、「食」と「くらし」の安全・安心を理念に組合員が「出資、運営、利用」する事業体に発展してきた。YMCAはキリスト教によって青少年を精神的荒廃から救い健全に育成することを理念に誕生し、青少年団体として発展してきた。A生協は一八七九年、YMCAは一八八〇年、ほとんど同時期に日本に導入された。B賀川豊彦先生が両組織の指導者として貢献された。共に「平和」を基本に時代の発展と社会変化に対応しながら世界各国・地域に広がり、今日のような発展を遂げてきました。
 今日、世界は核兵器廃絶、戦争・地域紛争、テロ、飢餓・貧困、環境問題など深刻な課題に直面しています。とりわけ、核兵器の廃絶は喫急の人類存亡の課題です。周知のように、今年は「戦争放棄」を掲げた平和憲法が公布されてから六〇年になります。昨年の総選挙で自民党が過半数の議席を獲得したことで改憲問題がにわかに浮上し、「国民投票法案」が画策されています。改憲派の狙いは、憲法九条の改悪にあります。日中韓関係の悪化、北朝鮮拉致問題、米軍基地再編問題、イラクからの自衛隊撤退問題など重要な外交問題を背景に改憲の動きが加速することを危惧します。世界に誇る平和憲法を守り、平和で民主的な社会の建設を基礎に生協運動が発展することを祈念します。