フォーマットの変遷

  戦後の混乱期も一段落した昭和25年前後に、民放ラジオ局が各地で誕生し始めた。その約10年後の昭和33年から35年頃にラジオ局にTV局が併設され始める。
  テレビのフォーマットはほぼ10年毎に、新しく変わっている。TV開局時のニュースは、16mmの白黒フィルムである。
 昭和36年には2インチの白黒VTRが、カラーVTRは昭和41年頃である。昭和39年の東京オリンピック頃からカラー放送が始まるが、ニュースがカラーになるのは昭和45年前後である。

  その約10年後の昭和53年前後に3/4UマチックのENG時代に突入し、制作用VTRは1インチに移行し始める。
  昭和60年〜63年頃にかけて1/2βカムに移行するのだが、この頃には系列毎にβカムを共通フォーマットに決定する。
この頃のライバルは松下のM2であるが、VHSサイズのテープでは大きすぎて、検討に値しなかった。
 この後βカムSPにバージョンアップし、SONY陣営は世界を席巻したかに見えた。 βカムが良く売れた理由の1つが、映像がアナログコンポーネントだった事ににあったと思う。このため専用の再生機が必要で、カメラがあれば再生機が売れることになった。
  もう一つは、メタルテープとラージテープが使用できるSPを5年後に発売したことがβカムの寿命を延ばした原因にもなっている。 20年近く稼動したβカム機器も珍しくない。  

  βカム・M2戦争に負けた松下ではあったが、民生機のVHSではベータを破り、こちらでは世界を席巻した。  
1992年のバルセロナオリンピックの公式フォーマットにD3が採用され、松下の反撃が始まる。
  SONYは、制作用VTRを1インチから1988年にD2(我社では1992年に採用)に、報道用にデジタルベータカム(1994年採用)の提唱を始めていたが、 ここにβカムで席巻していたSONYの隙があった。  
  バブル景気が崩壊し、右肩上がりで成長していた放送業界に陰りが見え、βカムより高いデジタルベータカムへの移行が進まない間隙を縫って松下がDVC/25Mを発表。  低価格カメラAJ-D700(1996年採用)と可搬編集機LT-75が、ローカル局や支局などに配備され始める。
  民生用DVミニのEZ-1が好評だった事も無視できない。 危機感を持ったSONYはSXフォーマットを発表したが、HDD内臓VTRが不評で、松下に食い下がられる。  

  1997年にはJNN系のTBSがDVC50Mを採用しすると、SX化への流れは停滞し、βカムの延命策をとるローカル局も出始めた。  この頃になると、支局からの伝送ルートも確保されたため、支局のフォーマットは本社とは関係ない時代に入り始める。  
  DVCはβカムと違って、TBC(タイムバースコレクタ)が不要だったことも普及に拍車をかけた。 HD化に伴い、フォーマット戦争の第2ラウンドが始まる。  18μ/sから9μ/sへの転換にやや時間がかかった松下陣営だったたが、SONYのHDカムもHD-SDIを持つカメラの開発も必要で、両陣営ともスタートダッシュとは行かなかった。  
  JNN系列はTBSに合わせる局が増え、カメラでは2/3がDVC-HD、VTRでも半分までがDVC-HDに移行しているが、 すでにテープレスでフォーマット戦争第3ラウンドが始まっている。
  テープレスは、キー局からではなく、ローカル局から火がついた。HD機器への投資がおくれ、βカムの延命を図っていた局がP2でHD化を始めた。  
  SONYは、SD時代から開発していたブルーレイディスクをHDカムとして発売。 駆動部のないP2と相対的にメディアの安いXDカムとの戦いだが、長引けばP2カードの価格は下がっていくが、 専用ケースに入っているXDカムのディスクの価格は簡単には下がらない。
  いずれにしろ、同じフォーマットが10年持ったためしはないし、今後はノンリニア編集に移行するので、メディアはなんでも良くなる。 ここにGFカードの食い込む余地はあるのだが、今後は転送に有利なファイルの勝負になっていくだろう。  
  使う側からするとフーマットは統一するほうが便利なのだが、そのために1メーカー独占フーマットにしてしまうのは避けなければならない。

  TVは10年毎にフォーマットが変わっているのに比べ、ラジオの音声フォーマットは50年一日の如く変わっていない。  
  昭和26年頃にM-1からスタートした音声6mmテープのデンスケ、EM-1、EM-2、EM-3と変わり、今ではすでにテープ・テレコともSONYは製造を中止しているが、 共通フォーマットとしては残っている。  
  昭和45年頃から流行りはじめたカセットテープも、当初は音質が良くないことなどから、まだまだEM-2が主力機だった。
  マルチトラックでの収録が話題に上った昭和50年頃には、8chのテレコもあったが、いつの間にかなくなった。
  昭和51年頃にはローカルワイドニュースが始まり、ニュースカメラの主力が音声付ムービーのミニエクレールやキャノンスクーピックになると、 音声収録の予備機としてカセットテレコが使い始められる。  
  この頃には、6mmテープを使ったLカセットが発売され、ラジオマスターのオンエア同録用に設置されたがたが、このもいつの間にか撤去された。  その後DATも使われたが、今はMDのデンスケが主流である。  
  報道で作るラジオニュースはVTRの編集機で編集され、最後に6mmテープにダビングされ、直接TVのニュースサブからDVCのままVTR再生してQRやLFに送るようにした。  
  6mmテープを、スプライシングテープで切り貼りできる人は、社内にはもういない。
  選挙の政見放送でさえMDで持ち込まれる時代なのに、民放共通フォーマットがいまだに6mmなのはなぜだろう。

カセット別VTRフォーマット

DVCグループには

DVC   いわゆるDVCの25M、50M、100M(HD)と民生用のDV(通常はミニカセットだがLカセットもある) DVカム (ソニー製のDVC)がある。
 DVCはテープカセットの色が25Mが黄色、50Mが青、100Mが赤、と混用防止のため色分けしてあるが、テープ自体は同じなので間違えても録画できる。
 なを、海外では全て黄色のテープしか売っていない。
 DVカムもDVCとの混用も可能であるが、メーカーは推奨していない。


DVCプロ100Mには、Lカセットが標準の18μ/sの旧フォーマットと、 Mカセットを標準とする9μ/sのEXがあるが、旧フォーマットはRCC、TBSなど一部の局でしか使用していないので、一般的には考える必要はないが注意は必要。 なをEXには2時間録画できるXLカセットもある。

DVカム DVミニ大きいほうがDVカム、小さいのがDVミニ

 ややこしいことに、DVカムではDVミニテープを使用するカメラもあり、 見かけだけではDVフォーマットで録画したか、DVカムフォーマットで録画したかどうかは確認できず、再生してみないわからない。

 

βカムグループには

SX HDカム黄色がSX、黒がHDカム

βカムグループには、アナログβカム(オキサイトとメタル)、 デジタルβカムSX、HDカム(HD)、HDカムSR(5,1サラウンド対応)、 このほか民生用のベータマックス、EDベータもあるが、全てフォーマットが違うので、原則、テープの共用ができない

このうち、HDカムSRと民生用を除く、βカムグループはHDW−M2000ですべて再生ができる。 但し、ソニーは、SDとしてはデジタルβカムしか残さない方針のようだ。


このほか

D2 D5 D2:民放各社の番組交換基準となっているが、すでにVTRの生産は終了している。 3/4インチテープを使ったデジタル録画であるがHDに対応できない

D3:NHKがSDの番組録画やバンクに使用している。

D5:TBSのBSiが、HDの番組再生につかっている。次期HDの番組交換基準の候補の一つである。


1インチ 1インチ、今も番組交換基準で、すでにVTRの保守が困難になっており、あと数年で消える運命にある。今や唯一のオープンリールテープである。


3/4インチ 消え行くフォーマット

3/4インチUマチック:初期のENGを支え、業務用に長く使われたが、BVU-800の音声ヘッドがすぐ錆びて音が出なくなるので、保守が困難である。

S・SVS−C:ビクターなどが民生用に良く売ったが、さすがにDVの普及で見かけなくなった。

ハイ8:ソニーが、最後にはデジタルまで作って売ったが、今はアーカイブ用にテープを残すのみである。


2インチの厚さ 消えたフォーマット

2インチ:1961年頃から白黒VTRが使用されはじめ、その5年後にはカラーが登場、のちには小型のVR-3000もつくられたが、 1978年頃から1インチにその座を譲り始めた。
M2:βカムに対抗して、松下がVHSテープを3倍速で回すENGを開発したが、カセットサイズが大きい事が嫌われ、普及しなかった。 民生で負け、プロ用でデフェクトスタンンダードになったβカムとは好対象となった。


シネコVTR以前

16mm洋画の吹替用に使われたのが、このシネコのテープ。映画音声の編集用に使われていたものを流用したので、リールではなくコア巻きとなっているので扱いが大変だった。フィルムと同期して廻るのだが、放送中に同期がずれると、合われるのが大変だったらしい。

HD番組交換基準

AJ-HD3700B

 番組交換基準は決まっていませんが、CMはHDカム、5.1サラウンドはHDカムSRとなっています。 広島地区では、RCCとHOME、NHK制作がDVC、HTV、tss、HNK報道がHDカムと半々になっています。

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